ポール・リカール・サーキット
テンプレート:Infobox motorsport venue シルキュイ・ポール・リカール(フランス語: Circuit Paul Ricard、ポール・リカール・サーキット)は、フランスの南部・マルセイユ近郊のル・キャステレ村にあるサーキット。リキュールで名高いペルノ・リカール社を創立したポール・リカール (Paul Ricard) の名前が冠されている。
概要
プロヴァンス地方の中心都市マルセイユから東約40km、地中海から北に約15kmの山中に位置する[1]。なだらかな丘の上にあり、南仏特有の青い空と日差し、「ミストラル」と呼ばれる強い北風が特徴。
サーキットの建設費を出資したポール・リカールの名を冠して1970年4月19日に開業した[2]。四輪では1971年から1990年までF1のフランスグランプリの舞台となった。二輪では1973年から1999年までロードレース世界選手権(現在のMotoGP)が行われたほか、1980年から1999年までフランスの人気レース、ボルドール24時間耐久レースが行われた。
1999年にポール・リカールが死去した後、F1の商業面の最高責任者バーニー・エクレストンの関連会社エクセリス社が経営権を取得。近年のF1開催サーキットを多く手がけるヘルマン・ティルケの再設計により[4]、様々なコースレイアウトに変更できるよう大幅な改修が行われ、2002年にポール・リカール・ハイテク・テスト・トラック (Paul Ricard High Tech Test Track,HTTT) と呼ばれるテスト専用サーキットへと生まれ変わった[2]。ウェットコンディションを人工的に再現する散水装置も備えており、F1から市販車、レーシングカートまで、様々な車の走行テストが可能である。2001年にはトヨタと提携し、トヨタのF1進出プロジェクトのテストを行う前線基地となった[5]。2010年には翌年からF1のタイヤサプライヤーとなるピレリのテストも行われた[6]。
2009年にはグランドスタンドなどの観客設備を再整備し、再びシルキュイ・ポール・リカールとして一般に開放[2]。FIA GT選手権やユーロF3、ル・マン・シリーズ、世界ツーリングカー選手権(WTCC)、FIM世界耐久選手権(EWC)、ブランパンGTシリーズなどのレースが多数開催されている。また、FIA 世界耐久選手権 (WEC) のシーズン開幕を告げる合同テスト(プロローグ)が例年行われる。
2013年よりベルギーGP(スパ・フランコルシャン)と隔年開催する形で、当地においてF1フランスGPを復活させる計画が進んでいたが[7][8]、支援を約束していたサルコジ大統領が2012年の大統領選で落選。後任のオランド大統領が支援を否定し、フランスGPの復活は一時頓挫した。
2016年12月5日、当サーキットで2018年から5年間F1フランスGPを開催する契約を結んだことが発表され、10年ぶりにフランスGPが復活することになった[9]。ポール・リカールでフランスGPを開催するのは1990年以来28年ぶりとなる。プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏、トゥーロン市、ヴァール県、フランス自動車連盟 (FFSA)が財政的に支援する[10]。
レイアウト
オリジナルのレイアウトは一周約5.81km。ホームストレートから1コーナーの高速S字 (S de la Verrerie) を抜け、2コーナーのシケインで減速。3コーナー(Saint-Beaurne)で折り返し、全長の4割近くを占める1.8kmの「ミストラル・ストレート(Mistral Straight)」を疾走。ほぼ全開で曲がる高速コーナーの「シーニュ(Signes)」を抜けて2連続右コーナー「ボーセ(Beausset)」を回り込み、中低速テクニカルセクションに入る。鋭角の最終コーナー (Vilage du Pont) を立ち上がるとホームストレートに戻る。
1986年のテスト中、エリオ・デ・アンジェリスが1コーナーでクラッシュし、炎上事故により死亡。それ以降は前半区間を使わず、ホームストレートエンドから直接バックストレートの途中へ繋がるように短縮され、3.813kmのショートコースとして利用された。路面は全体的にフラットで、1990年のF1フランスGPでは空力的に神経質なレイトンハウス・CG901がこの路面にマッチし、イヴァン・カペリが優勝目前まで快走した[11]。
テストトラックとしてはシケインやショートカットを組み合わせることで、フルコース5,861mから最短826mまで167通りのレイアウトを選択できる[12]。
2018年から復活するフランスGPではオリジナルに近い5.842kmのロングコースを採用。エンジンが最高回転で回り続けることを避けるため、またはオーバーテイクポイントを増やすため、1.8kmのミストラス・ストレートの途中にあるシケイン (chicane Nord) を通過する[13]。1コーナーは最もタイトなバージョンが使用される[14]。DRSゾーンはホームストレートとミストラル・ストレート前半の2区間に設けられる[15]。
FIM世界耐久選手権 (EWC) のボルドール24時間耐久レースではミストラル・ストレートにシケインを置かない5.791kmのレイアウトを使用しており、二輪でも最高速度340km/hを記録する[1]。
- Circuit Paul Ricard Le Castellet 1970-1999.png
オリジナルのロングコース
- Paul Ricard 1986.jpg
1986年から1990年のフランスGPで使用されたショートコース。
- Circut Paul Ricard 2018 layout map.png
2018年からのフランスGPのレイアウト
座標: 東経5度47分36.40秒北緯43.2516083度 東経5.7934444度
脚注
- ↑ 1.0 1.1 山田宏のEWC ここが見所!(2017-2018年)Vol.1「ボルドール24時間の見所」 - ブリヂストンmotorsport 2018年6月21日閲覧
- ↑ 2.0 2.1 2.2 History - Circuit Paul Ricard 2018年6月21日閲覧
- ↑ 『Racing On 2006年12月号』 イデア。
- ↑ “Paul Ricard HTTT” (英語). Tilke GmbH. . 2012閲覧.
- ↑ “トヨタF1、3月23日に仏でシェイクダウン(2/19)”. web CG. (2001年2月19日) . 2011閲覧.
- ↑ “ピレリ ポールリカールでテストを開始”. GP Update. (2010年9月2日) . 2011閲覧.
- ↑ “F1フランスGP、間もなく復活決定との報道”. F1トップニュース. (2011年12月22日) . 2011閲覧.
- ↑ “フランスGP、2013年9月に復活との報道”. ESPN F1. (2012年1月6日) . 2011閲覧.
- ↑ “F1フランスGP、2018年にポール・リカールで復活が決定”. F1-Gate.com (2016年12月5日). . 2016閲覧.
- ↑ “フランスGP復活が正式発表”. ESPN F1 (2016年12月5日). . 2016閲覧.
- ↑ 1990年以来のF1開催のポールリカール②1990年フランスGP - STINGER(2018年6月19日)2018年6月21日閲覧
- ↑ Track and facilities - Circuit Paul Ricard 2018年6月21日閲覧
- ↑ 【F1】ポール・リカールの名物コーナー、”シーニュ”は全開340km/h?! - motorsport.com(2017年8月10日)2018年6月21日閲覧
- ↑ “ポール・リカール、F1復活にむけたサーキットレイアウトを発表”. F1-Gate.com (2016年12月10日). . 2016閲覧.
- ↑ 10年ぶりのF1フランスGP、ポール・リカールのDRSゾーンは2カ所に - オートスポーツweb(2018年6月21日)2018年6月21日閲覧
関連項目
- F1サーキットの一覧
- ル・ボーセモータースポーツ - 企業名は当サーキットのコーナー「ボーセ」にちなむ。
- マニクール・サーキット - 1991年から2008年までF1フランスGPを開催した。
外部リンク
- Circuit Paul Ricard(フランス語、英語)