ポップ・ロック

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ポップ・ロックPop rock)とは、ギターを基礎にした曲に軽い歌詞を乗せた、キャッチーでポップなスタイルを用いる、ポップ・ミュージックロックの合成物を指す。「ポップ・ロック」にはいろいろな定義があり、「アップビートな類のロック」をポップ・ロックのサブジャンルとして分類する意見もある。

定義

『American Popular Music』という教本では、ポップ・ロックを次のように定義している。「エルトン・ジョンポール・マッカートニーロッド・スチュワートピーター・フランプトンといったアーティストたちによって表現されたアップビートな類のロック」[1]。これに対して、音楽評論家のジョージ・スタロスティンは、主にギターを基礎にしたキャッチーでポップな歌を用いるポップ・ミュージックのサブジャンル、と定義している。スタロスティンは、伝統的にパワー・ポップと呼ばれてきたもののほとんどがポップ・ロックのサブジャンルに含まれるだろうと言い、リリカルな内容のポップ・ロックについては「普通音楽にとって二次的なもの」と論じた[2]

批評家フィリップ・オースランダーは、ポップとロックの違いはイギリスよりアメリカ合衆国でより大きいと言う。アメリカ合衆国では、ポップはペリー・コモのような甘く低い声の流行歌手たちの中にルーツを持っているのに対して、ロックはロックンロールのようなアフリカ系アメリカ人音楽に影響を受けたものの中にルーツを持っている。ポップとロックを混ぜ合わせたというポップ・ロックの概念は、ポップとロックは対極のものであるという一般的概念と対をなすものだ、とオースランダーは指摘する。

オースランダーならびにサイモン・フリス(Simon Frith)、グロスバーグといった数人の研究家たちは、ポップ・ミュージックは「本物でない」「シニカル」「俗受けする」「エンタティンメントのありきたりな形式」と言われることが多いが、対称的にロックは、歌手やバンドによる曲作りを重要視した「本物」「真摯」「インストゥルメンタルの名人芸」そして「聴衆とのリアルなつながり」 と言われている、と主張した[3]

サイモン・フリスによる1950年代から1980年代までのポピュラー・ミュージックの歴史分析に、B・J・ムーア=ギルバートが異議を唱えた。ムーア=ギルバートは、フリス(や他の研究家たち)は、1960年代にフォーク志向の音楽が発達した時はそれを「フォーク・ロック」と呼び、1970年代のポップの要素を吹き込まれたスタイルを「ポップ・ロック」と呼んだように、新しいジャンルが出てくるたびにそれを「〜ロック」と名付けることで、ポピュラー・ミュージックにおけるロックの役割を強調しすぎている。こうしたアプローチはロックを不公平に頂点に置き、他のどんな影響もロックの中心核に付け足したものにしてしまう、と批判した[4]

ポップ・ロックというカテゴライズは主観的で、音楽批評家・ジャーナリストの間では意見が分かれている。いろいろな雑誌、音楽批評家・ジャーナリストたちがそれぞれの目安を提供しているが、ここでは「ビルボード」誌が1970年代から2000年代にかけて「ポップ・ロック」にカテゴライズした目安に沿って例を挙げてみる。

1970年代

「ビルボード」誌がこの時期のポップ/ロック・パフォーマーと見なしている中には、次のようなアーティスト、グループがいる[5]

このうちビージーズについて、ブリタニカ百科事典は、「1970年代後期のディスコ時代を体現したイギリス=オーストラリアのポップ・ロック・バンド」と定義している[6]。一方、スリー・ドッグ・ナイトについて、ポピュラー・ミュージックの歴史に関するある大学の講義は、「60年代後期・70年代初期に最も人気があったポピュラー・バンドの1つ。ソウルの影響を持つ、ポップ・ロック、シングル志向のサウンド」と定義している[7]

1980年代

「ビルボード」誌がこの時期のポップ/ロック・パフォーマーと見なしている中には、次のようなアーティスト、グループがいる[8]

1980年代、ディスコ・ブームの終焉に伴って、「1980年に低迷した音楽産業が探したのは隙間を埋める何か」とセールスを伸ばす助けであった。この時代には、イージー・リスニング・ポップがトップセラーだった。音楽批評家マイケル・グロスはそれを「儲け主義の綿菓子」と呼んだ。オリビア・ニュートン=ジョンの『マジック』、クリストファー・クロスの『セイリング』、ホール&オーツの『ふられた気持ち』などのことを指している。『オール・アウト・オブ・ラブ』といった「エア・サプライの甘ったるいポップ・ロック」のヒットは、この時代の「チャートでヒットするための公式を最も良く例証した」[9]

1980年代後半で、「ビルボード」誌がポップ・ロックに含めている中には、以下のパフォーマーたちがいる。

その中で、マドンナは、この10年間で最も傑出したポップ・ロック・アーティストとして特筆されている[10]

1990年代

「ビルボード」誌がこの時期のポップ/ロック・パフォーマーと見なしている中には、次のようなアーティスト、グループがいる[11]

1990年代後半では、

2000年代

「ビルボード」誌がこの時期のポップ/ロック・パフォーマーと見なしている中には、次のようなアーティスト、グループがいる[12]

脚注

参考文献

  • Birrer, F.A.J. "Definitions and research orientation: do we need a definition for popular music?" in D. Horn (ed). Popular Music Perspectives, 1985. Gothenburg. pg 99-105.
  • Chambers ,I. Urban Rhythms, Pop Music and Popular Culture. 1985:OUP.
  • Fiske, J.Understanding Popular Culture, - 1989 - Routledge
  • Frith, S. The Sociology of Rock - 1978 - Constable
  • Frith, S. Sound Effects: Youth, Leisure and the Politics of Rock'n'Roll - 1983 - Constable
  • Hamm, C. Yesterdays: Popular Song in America - 1979 - New York
  • Harker, D. One For the Money: Politics and Popular Song - 1980 - Hutchinson
  • Harron, M. "Pop as Commodity," cited in S Frith - Facing The Music: Essays on Pop, Rock and Culture 1988, Mandarin. pg 173-220
  • Hill, D. Designer Boys and Material Girls: Manufacturing the '80's Pop Dream. 1986 - Blandford Press
  • Middleton, R. Studying Popular Music. - 1990 - OUP
  • Moore, A.F. Rock: The Primary Text, - 1993 - OUP
  • Shuker, R. Understanding Popular Music - 1994 - Routledge

外部リンク

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