ホロホロチョウ
ホロホロチョウ(ほろほろ鳥、珠鶏、英: Guinea fowl、学名:Numida meleagris)は、キジ目ホロホロチョウ科ホロホロチョウ属に分類される鳥類。本種のみでホロホロチョウ属を形成する。属名は北アフリカの古代王国ヌミディアに由来する。種小名はホロホロチョウを意味するギリシャ語で、ギリシャ神話の英雄メレアグロスに由来する。
分布
アンゴラ、イエメン、ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ガーナ、ガボン、カメルーン、ガンビア、ギアナ、ギニアビサウ、ケニア、コートジボワール、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ザンビア、シエラレオネ、ジンバブエ、スーダン、スワジランド、赤道ギニア、セネガル、ソマリア、タンザニア、チャド、中央アフリカ共和国、トーゴ、ナイジェリア、ナミビア、ニジェール、ベナン、ボツワナ、ブルキナファソ、ブルンジ、マラウイ、マリ共和国、南アフリカ共和国、モザンビーク、モロッコ、リベリア、ルワンダ、レソト
形態
全長53cm。胴体は黒い羽毛に覆われ白い斑点が入る。
頭部に羽毛はなく、ケラチン質に覆われた骨質の突起がある。また咽頭部には赤や青の肉垂がある。雌雄はよく似ているが、肉垂と頭部の突起は雄の方が大きい。
家畜化されたホロホロチョウの羽色は、白、茶色、灰色など様々である。
生態
草原や開けた森林等に生息する。地表棲だが、抱卵中のメスを除いて夜間は樹上で眠る。群れを形成して生活し、2,000羽以上もの大規模な群れが確認されたこともある。横一列になって採食を行ったり、雛を囲んだり天敵から遠ざけるような形態をとることもある。繁殖期になるとオスは縄張りを持ち、群れは離散する。危険を感じると警戒音をあげたり走って逃げるが、短距離であれば飛翔することもできる。和名は江戸時代にオランダ船により持ち込まれたときに使われていた名称である「ポルポラート」が由来と考えられている。
食性は雑食で、昆虫類、節足動物、甲殻類、果実、種子等を食べる。
繁殖形態は卵生で、地面を掘り落ち葉や草等を敷いた巣を作り卵を産む。繁殖期になるとオス同士が追いかけあったり争う。メスのみが抱卵を行い、オスはその間別のメスと交尾を行う。雛の世話は雌雄とも行う。
人間との関係
食用とされることもあり、生息地以外でも家禽として飼育されることもある。ホロホロチョウ科の構成種の総称であるGuineafowl(「ギニアの鳥またはニワトリ」の意、メスの場合は「ギニアのめん鳥」の意の"Guineahen")は家禽の原種である本種がアフリカ西部(ギニア湾)産であることに由来する。フランスや西インド諸島で飼育されており、フランス料理などで用いられることが多い。野鳥に似た歯ごたえで癖がなく、美味として知られる。
家禽としてのホロホロチョウは、神経質な上に、寒さに弱いなど扱いに難しい部分もあるが、一方で病気には非常に強く、薬を使わなくても丈夫に育つという利点もある[1]。
日本国内における飼育状況
日本国内でも飼育を試みる研究機関・農家が和歌山県や岩手県の牧場など、数地点存在する。しかし、繁殖には熱帯的な夏季の気候を要し、独特の鳴き声やショックに弱いことなどから、現時点では広い敷地が必要などの特性がある。また、日本人向けの料理としては今のところ、焼き鳥などに限られるなどレパートリーの開発が進んでおらず、ベンチャービジネスの素材としてしばしば脚光を浴びるものの、一般的に普及するには至っていない。
和歌山県農林水産総合技術センター畜産試験場・養鶏研究所は、全国で唯一ホロホロチョウの飼養研究を行う畜産試験場である。
画像
- Numida meleagris (8281208915).jpg
つがいと雛
- Zoo América-2852-Numida meleagris.jpg
家畜種の頭部
- Guinea fowl.jpg
家畜種
脚注
- ↑ “ほろほろ鳥を食卓に、ホロホロ鳥の専門農場「石黒農場」”. 有限会社石黒農場. . 2015-2-8閲覧.
参考文献
- 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、102頁。
- 『動物大百科7 鳥類I』、平凡社、1986年、148-151、154頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、127頁。
関連項目
外部リンク
- 2007 IUCN Red List of Threatened Species
- BirdLife International 2004. Numida meleagris. In: IUCN 2007. 2007 IUCN Red List of Threatened Species.