ペーパーカンパニー
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ペーパーカンパニーとは、登記上設立はされているが、事業活動の実態がない会社を漠然と指す俗語。特にその法人格が悪用されているとのニュアンスをこめて用いられることが多い。幽霊会社もしくはダミー会社ともいう。
「ペーパーカンパニー」という語句で幽霊会社を指すのは和製用法であり、英語では「shell corporation」「dummy company」「mailbox company」などと呼ばれる(英語で「paper company」は製紙会社を指す)。
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概説
ペーパーカンパニーはしばしば税金対策のために用いられることがある。2003年(平成15年)度末時点の国内普通法人(株式会社、有限会社など)の総数は2,550,360だが、そのうち所得を計上しているのは約3割に過ぎない[1]。
近年の法改正で株式会社の設立が容易になり、また特定非営利活動法人(NPO法人)も増加しているが、これらの法人に対する活動実態を明らかにする制度(事後チェック)の整備が望まれており、NPO法人では設立認証の取り消しの事例もある。なお、純粋持株会社(○○ホールディングスなど)は子会社の経営管理という統括機能など具体的な事業を行っている場合は、ペーパーカンパニーではない。
ペーパーカンパニーと関連する類型
- 法的根拠をもたず、または犯罪行為をもいとわない組織を「会社」と自称しているもの
- 単独または2人以上の組織により、悪徳商法、詐欺、カルト宗教、闇金融などの違法またはグレーゾーンの行為を行う目的で「株式会社○○」などを自称しているものがある[2]。
- 特に海外法人であると称している場合、日本国内からの確認が容易でない場合がある。もっとも、この場合は単なる虚偽であり、ペーパーカンパニーとは呼べない。
- 法的根拠をもって設立されているが、外見上の目的とは別の活動を行っているもの
- 悪徳商法、詐欺、カルト宗教などの犯罪を含めた悪質行為の目的で会社を隠れ蓑として使うものはダミー会社とも言われる。事実上支配している会社や経営者が自分の名前が表に出にくいようにするために用いることがある。
- 設立登記はなされているが、(地理的な意味での)オフィスを持たず、事業を行っていないもの
- 設立後直ちに、または活動停止後に登記上は存在しながら、当該の所在地にオフィスを持たずに放置されているものは休眠会社とも言われる。粉飾決算や脱税などに悪用されることがあり、そのような場合にペーパーカンパニーと呼ばれることがある。
- 会社情報に虚偽が含まれるもの
- 通信販売やスマホ用アプリ(アイテム課金)などで収益を上げる事業者は、特定商取引に関する法律(特定商取引法)により、社名(商号)、所在地(住所)、代表者の氏名、電話番号(固定電話)などを正確に表示しなければならないが、所在地の番地(またはビル名や部屋番号など)や、電話番号を正確に表示していないなど、虚偽の情報を表示している場合もある(内容証明の送付時に、送付先の所在地に不備があると「宛先不明」で返送される)。
- 特別目的会社
- 一定の取引や資産保有のためのみに設立される会社。取締役など法律上必要な役員は存在するが、日常的な業務は存在せず、常勤職員者がいない。タックス・ヘイヴンに国際金融取引のために設立するもの、便宜置籍船の所有者として設立するもの、証券化取引における資産を保有する主体として設立するものなどがある。
脚注
- ↑ 国税庁『法人企業の実態(平成15年分)』
- ↑ 雇用助成金詐取:容疑の7人逮捕…大阪府警 毎日新聞 2012年9月15日