プロ野球監督
プロ野球における監督、プロ野球監督(プロやきゅうかんとく)は、チーム(球団)を統率し指揮する職業、またはそれを担う人物のこと。
概要
監督の主な役割は、野球競技においてチームを指揮し、チームを勝利に導くことである。プロの場合はチーム成績の責任も負うことになる。その他の役割や選定方法などはチームや地域の経営理論などによって異なる。
野球の監督の特徴としては、選手と同様のユニフォームを着用していることが挙げられる。これは、野球の創成期に選手の中からチームのまとめ役(選手兼任監督)が選ばれていた名残、あるいは、野球は監督がプレイフィールドに入ることが許可される競技であるからとされている。なお、公認野球規則においては監督にユニフォームの着用を義務付ける規定はなく(ただし、協会・大会の特別規則により義務付けられていることがある)、コニー・マックのようにスーツ姿で指揮を執る監督も存在した。
MLB
メジャーリーグベースボール (MLB) では、ゼネラルマネージャー (GM) が球団経営における多くの権限を有し、球団の顔としての役割も持つ。これに対して監督はフィールドマネージャーと呼ばれ、GMの決めた方針に沿ってチームを運営し、試合における選手起用や勝敗に責任を負う[1]。
監督の選定においては、現役時代の成績などはあまり重視されず、マイナーリーグや独立リーグを含む監督・コーチとしての実績など、指導者としての能力が重視される。そのため、MLBの監督には現役時代に活躍した人物はそれほど多くなく、スター選手と言えど、NPBのように引退後すぐに監督に就任することはまずない。逆にMLB選手経験のない監督も少なからず存在する。
また、MLBでは任期途中やシーズン途中であっても成績次第で解任されることも珍しくなく、シーズン序盤で解任されることもある[2][3]。
NPB
日本野球機構 (NPB) では監督はチームを指揮するほかに、メディアへの露出や選手との交渉役、ドラフト会議への出席など、チームの顔としての側面が強い。また、MLBと異なりファームが同一組織に存在し、これも統括する立場にあることから、戦力の補強や一軍登録など、球団運営に関しても強い影響力を持つ。
監督の選定においては、現役時代の功績も重要な選考基準とされる傾向にある。上記の通りチームの顔としての側面が強いことから、在籍経験者などチームに縁のある人物から選ばれることが多いほか、輝かしい成績を残した選手が引退後ほとんどコーチ経験もないまま監督に就任する例もある[4][5]。その一方で求心力の問題や監督・コーチとしての経験を積む場が限られていることから、選手およびコーチとしての実績がない又は少ない人物が監督になる例は少ない。プロ選手としての経験が無いNPBの一軍監督が在任した最後の例は1968年に阪神タイガースの一軍監督を務めた藤本定義が最後であり、1969年以降はプロ選手経験のある人物がNPBの一軍監督をしている[6][7]。
また、NPBではシーズン途中で監督が解任されることは珍しく、解任される場合もいったん「休養」の形で現場を離れさせ、シーズン終了を待って辞任又は契約満了による離任という流れになることが少なくない。
脚注
- ↑ 柏英樹『プロ野球選手になるには』ぺりかん社、2009年
- ↑ NumberWeb 解任続出の前半戦に見る、メジャー監督の悲哀。
- ↑ J SPORTS 【MLBコラム】監督の仕事 その1 ~監督の責任~
- ↑ 日刊ゲンダイ なぜ日本では修業ゼロの“素人”がプロ野球監督になれるのか
- ↑ VICTORY プロ野球は、いつまで引退選手を即監督に起用するのか? 中溝康隆コラム
- ↑ プロ選手としての経験が無い人物がNPBの一軍監督に就任した最後の例は1966年に東京オリオンズ一軍監督に就任して1年間務めた田丸仁が最後である。
- ↑ プロ選手としての経験が無い人物がNPBの二軍監督を務めた例であれば、1969年以降でもサンケイアトムズ二軍監督の田口周(1968年 - 1975年)や福岡ダイエーホークス二軍監督の有本義明(1993年 - 1995年)の例がある。