ブランドン・レアード
ブランドン・J・レアード(Brandon J. Laird, 1987年9月11日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サイプレス出身のプロ野球選手(内野手)。北海道日本ハムファイターズ所属。メキシコ系アメリカ人[1]。
日本では好物の寿司にちなむ「スシポーズ」や、焼き鳥を裏返す仕草のパフォーマンスを披露することでも知られる。元メジャー捕手のジェラルド・レアードは実兄にあたる[2]。
Contents
経歴
アマチュア時代
2005年のMLBドラフトでクリーブランド・インディアンズから27巡目で指名されるが拒否し、州内のサイプレス大学に進学した。
ヤンキース時代
2007年のMLBドラフトでニューヨーク・ヤンキースから27巡目で指名され入団。ヤンキース傘下のルーキーリーグチームであるガルフ・コーストリーグ・ヤンキースでキャリアをスタートさせた[2]。
2008年シーズンはマイナーリーグ・A級チャールストン・リバードッグスに、
2009年シーズンはA+級タンパ・ヤンキースに所属し試合に出場した[2]。
2010年8月2日、AA(ダブルA)級トレントン・サンダーからAAA(トリプルA)級スクラントン・ウィルクスバリ・レイルライダースへ昇格[3]。昇格前のAA・2010年シーズンには打率.291・23本塁打[4]・90打点を記録しており[2]、この年のAA・イースタンリーグのMVPと新人賞 (Eastern League Rookie of the Year Award) を受賞[4]。前年までAA以上への昇格経験が一度もなかった選手としては大いに名誉ある功績として認識された[4]。
2011年には他チームの一定条件を満たすマイナーリーグ所属選手を引き抜くことができる「ルール・ファイブ・ドラフト」からプロテクトする目的でメジャー昇格が決まり[5]、7月18日にラミロ・ペーニャが故障者リスト入りしたのに伴いメジャーに昇格[6]。7月22日に本拠地ヤンキー・スタジアムでメジャーデビューを果たした。デビュー戦はオークランド・アスレチックスとの一戦で、この試合でレアードは相手投手のクレイグ・ブレスロウから初安打・初打点となるセンター前ヒットを記録。その後もジョーイ・デバインから四球を与えられ出塁するとニック・スウィッシャーのシングルヒットで初となる本塁生還を果たした。
2012年8月27日、ヤンキースがヒューストン・アストロズからスティーブ・ピアースを獲得したのに伴い、40人枠から外れることとなり放出された[7]。
アストロズ時代
ヤンキースから放出後、2012年9月1日付でヒューストン・アストロズに移籍[8]。
2013年シーズンは当時アストロズ傘下であったAAA・オクラホマシティ・レッドホークスで開幕を迎え、4月18日にブレット・ウォレスのマイナー降格と同時にメジャー昇格。12試合で打率.352を記録したが[9]、同年10月2日にはロースターから外れ[10][11]、10月4日にFAとなる[2]。
ロイヤルズ傘下・ナショナルズ傘下時代
2013年11月23日、カンザスシティ・ロイヤルズとマイナー契約を結んだ[12]。
2014年3月15日にトレードでワシントン・ナショナルズへ移籍した[13]。
日本ハム時代
2014年11月18日に、北海道日本ハムファイターズとの獲得が合意に達したことが発表された[14]。
2015年、前半戦は日本の配球に苦しみ、6月頃まで2割を下回る打率しか残せなかった。しかし、怪我人が続出したチーム事情に、三塁手としての守備の堅さ、監督の栗山英樹に「使い続ければ必ず調子は上向く」とのアドバイスを受けていたことから、先発メンバーとして起用され続けた。その言葉通り、7月以降に打棒が爆発する。後半戦で22本塁打を記録し、リーグ3位タイのシーズン34本塁打を記録した。その活躍ぶりや伸びしろを評価され、8月の段階で2016年度の契約が確定した[15]。
2016年、対策に万全を期したこの年は、春先から打ち続ける。チームメイトの中田翔が本塁打量産をレアードに任せて中田自身は打点を稼ぐことに特化するなど信頼を寄せられた[16]。前半戦から20本の本塁打を記録し、特に5月には12本塁打を放つ固め打ちを見せた。球団の北海道移転から通算500勝目を飾る決勝弾を放つなど、サヨナラ本塁打を3本記録した。日本プロ野球史上初、打った本塁打が全て打順6番以下での本塁打王を獲得した[17]。10月2日に日本ハムと2年契約を結んだことが発表された[18]。日本シリーズでは、第4戦での勝ち越しとなる2ラン本塁打および第6戦での満塁本塁打を含む3本の本塁打を放ち、日本シリーズMVPを受賞した。
2017年、3月に開催されるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にメキシコ代表として出場[1]。チームは予選で敗退したが、自身は3番・三塁と主戦力として出場し、2本塁打を放つ活躍を見せた。
WBC終了後、開幕早々の4月に、これまで4番の座に座っていた中田翔の故障により、初めて4番として出場。その後も大谷翔平、近藤健介の離脱に伴い3番・4番・5番に座る機会が増えた。5月12日には2打席連続本塁打し、翌日13日には前日の2四球を挟んで4打数連続本塁打のプロ野球タイ記録を記録した[19]。9月9日に球団助っ人3人目となる「3年連続30本」を達成した。10月1日に発生したラスベガス・ストリップでの銃乱射事件においていとこが犠牲になったことを受け4日に帰国を決めた[20]。
人物
来日してから、日本料理を好むようになった。特に寿司が好物であり、本塁打を打った際には寿司を握る仕草をするというパフォーマンスを行う。これは不振に苦しんでいた2015年のシーズン途中、白井一幸コーチに紹介された寿司店の店主からレアードが依頼されて始めたものであった[21]。当初、白井コーチはこの仕草を「リラックスして打て」というサインにしていたが、調子が一気に上向いたことから冗談半分で「ホームランを打て」のサインにしている。本人もこのポーズをいたく気に入り、本塁打を放ちベンチへ戻ったあとにはカメラに向かって"スシポーズ"を見せる。
2017年のWBCにメキシコ代表として出場し、3月12日の1次ラウンド・プールDのベネズエラ代表対メキシコ代表戦にて5回に3点本塁打を放ち、同じくNPBから代表に呼ばれていたルイス・クルーズと共に寿司を握る仕草を披露した。[22]
また、多くの外国人選手の最大の障壁となる納豆も、苦にするどころか好物としており、スタミナ源としてチームメイトの他の外国人選手にも勧めるほどである。
2009年の12月に、兄のジェラルドと2人でNBAのフェニックス・サンズ対ボストン・セルティックスの試合をUSエアウェイズ・センターで観戦しに行った際、乱闘騒ぎを起こし警察に逮捕されている[23]。
詳細情報
年度別打撃成績
年 度 |
球 団 |
試 合 |
打 席 |
打 数 |
得 点 |
安 打 |
二 塁 打 |
三 塁 打 |
本 塁 打 |
塁 打 |
打 点 |
盗 塁 |
盗 塁 死 |
犠 打 |
犠 飛 |
四 球 |
敬 遠 |
死 球 |
三 振 |
併 殺 打 |
打 率 |
出 塁 率 |
長 打 率 |
O P S |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2011 | NYY | 11 | 25 | 21 | 3 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | 0 | 0 | 4 | 1 | .190 | .292 | .190 | .482 |
2012 | HOU | 17 | 37 | 35 | 2 | 9 | 1 | 0 | 1 | 13 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 8 | 1 | .257 | .297 | .371 | .668 |
2013 | 25 | 76 | 71 | 7 | 12 | 3 | 0 | 5 | 30 | 11 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | 2 | 26 | 2 | .169 | .224 | .423 | .647 | |
2015 | 日本ハム | 143 | 554 | 498 | 62 | 115 | 22 | 2 | 34 | 243 | 97 | 1 | 0 | 0 | 4 | 43 | 0 | 9 | 129 | 18 | .231 | .301 | .488 | .789 |
2016 | 143 | 598 | 547 | 71 | 144 | 21 | 0 | 39 | 282 | 97 | 0 | 0 | 0 | 4 | 44 | 1 | 3 | 138 | 16 | .263 | .319 | .516 | .835 | |
2017 | 137 | 571 | 503 | 56 | 115 | 18 | 1 | 32 | 231 | 90 | 0 | 0 | 0 | 7 | 54 | 0 | 7 | 125 | 18 | .229 | .308 | .459 | .767 | |
MLB:3年 | 53 | 138 | 127 | 12 | 25 | 4 | 0 | 6 | 47 | 16 | 0 | 0 | 1 | 0 | 8 | 0 | 2 | 38 | 4 | .197 | .255 | .370 | .625 | |
NPB:3年 | 423 | 1723 | 1548 | 189 | 374 | 61 | 3 | 105 | 756 | 284 | 1 | 0 | 0 | 15 | 141 | 1 | 19 | 392 | 52 | .242 | .310 | .488 | .798 |
- 2017年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
年度別守備成績
年 度 |
球 団 |
一塁 | 三塁 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 |
試 合 |
刺 殺 |
補 殺 |
失 策 |
併 殺 |
守 備 率 | ||
2011 | NYM | 3 | 16 | 5 | 1 | 3 | .955 | 9 | 3 | 7 | 0 | 1 | 1.000 |
2012 | HOU | 4 | 21 | 0 | 0 | 1 | 1.000 | 8 | 2 | 10 | 1 | 0 | .923 |
2013 | 13 | 71 | 2 | 0 | 8 | 1.000 | 4 | 1 | 8 | 1 | 1 | .900 | |
2015 | 日本ハム | 1 | 3 | 0 | 0 | 1 | 1.000 | 142 | 86 | 250 | 17 | 18 | .952 |
2016 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1.000 | 140 | 91 | 228 | 13 | 19 | .961 | |
2017 | - | 136 | 76 | 214 | 18 | 18 | .942 | ||||||
MLB | 20 | 108 | 7 | 1 | 12 | 1.000 | 21 | 6 | 25 | 2 | 2 | .939 | |
NPB | 2 | 4 | 0 | 0 | 1 | 1.000 | 418 | 253 | 692 | 48 | 55 | .951 |
- 2017年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
タイトル
- NPB
- 本塁打王:1回 (2016年)
表彰
- NPB
- ベストナイン:1回 (三塁手部門:2016年)
- 月間MVP:2回 (野手部門:2016年5月、2017年5月)
- スカパー!サヨナラ賞:3回 (2015年9月、2016年6月、2016年7月)
- 日本シリーズMVP:1回 (2016年)
記録
- NPB初記録
- 節目の記録
- 100本塁打:2017年8月16日、対千葉ロッテマリーンズ17回戦(札幌ドーム)、5回裏にジェイソン・スタンリッジから左中間ソロ ※史上285人目
- NPBその他の記録
- 1試合3併殺打:2015年4月11日、対福岡ソフトバンクホークス1回戦(鹿児島県立鴨池野球場)で記録。相手投手は3打席とも攝津正。 ※史上30人目(最多タイ)
- シーズンサヨナラ本塁打2度:1回 (2016年) - 6月10日、対阪神タイガース1回戦(札幌ドーム、投手は藤川球児)と7月10日、対千葉ロッテマリーンズ14回戦(同、投手は木村優太) ※日本ハムでは1995年の田中幸雄以来21年ぶり、外国人選手としてはチーム史上初。
- オールスターゲーム出場:2回 (2016年、2017年)
背番号
- 60 (2011年)
- 13 (2012年)
- 4 (2013年)
- 5 (2015年 - )[24]
登場曲
- 「Walk Thru feat. Problem」Rich Homie Quan(2015年)
- 「GDFR」Flo Rida(2015年)
- 「Dragon Night」 - SEKAI NO OWARI (2015年 - 2016年途中)
- 「King Kunta」Kendrick Lamar(2015年)
- 「Juicy」The Notorious B.I.G.(2015年)
- 「anti-hero」SEKAI NO OWARI(2015年)
- 「No Flex Zone」Rae Sremmurd(2015年)
- 「Middle feat. Bipolar Sunshine」DJ Snake(2016年)
- 「Pop Style」Drake(2016年)
- 「Public Service Announcement」Jay-Z(2016年 - )
- 「Sahara」DJ Snake(2016年 - )
- 「スシ食いねェ!」 - シブがき隊 (2016年CS)
- 「Atlines」Outkast(2016年)
- 「I Like The View」Lil Wayne(2017年)
- 「Tomorrow Til Infinity feat. Gunna」Young Thug(2017年)
- 「All Time Low」Jon Bellion(2017年)
- 「キセキ」GReeeeN(2018年)
- 「Nonstop」Drake(2018年)
- 「Liquor Store Blues feat. Damian Marley」Bruno Mars(2018年)
- 「Talk Up feat. Jay-Z」Drake(2018年)
- 「I Like It Loud feat. Marshall Masters & The Ultimate MC」Tiesto & John Christian(2018年)
- 「Can't Take A Joke」Drake(2018年)
- 「Mike Stud」Frio(2018年)
- 「So Fresh, So Clean」Outkast(2018年)
代表歴
脚注
- ↑ 1.0 1.1 “日本ハムのレアードがメキシコ代表でWBC出場か 地元メディアが報じる”. Full-Count (2016年12月7日). . 2017閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 “Brandon Laird Register Statistics & History|Baseball-Reference.com”. Baseball Reference. Sports Reference. . 2016閲覧.
- ↑ Nalbone, John (2010年8月20日). “Thunder lose; Franklin ejected; Laird promoted”. Nj.com . 2011閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 “Scranton/Wilkes-Barre Yankees Blog » Laird named Eastern League MVP, ROY”. Blogs.thetimes-tribune.com. (2010年9月2日). オリジナルの2010年12月3日時点によるアーカイブ。 . 2011閲覧.
- ↑ “Yankees add three to 40-man roster”. The LoHud Yankees Blog. (2010年11月19日) . 2011閲覧.
- ↑ “Hurt corner: Pena to DL thins options at third”. MLB.com (Major League Baseball). (2011年7月18日) . 2011閲覧.
- ↑ Stephenson, Colin (2012年8月28日). “Yankees' acquisition of Steve Pearce proves timely with injury to Mark Teixeira”. The Star Ledger (NJ.com) . 2014閲覧.
- ↑ “Astros claim Laird from Yankees”. MLB.com. (2012年9月1日) . 2014閲覧.
- ↑ “Astros option infielder Wallace to Triple-A”. Sportsnet (Rogers). (2013年4月18日) . 2013閲覧.
- ↑ McTaggert, Brian (2013年10月2日). “Astros add Singleton to 40-man roster”. MLB.com . 2014閲覧.
- ↑ de Jesus Ortiz, Jose (2013年10月2日). “Astros continue staff shakeup by making Tremley bench coach”. Houston Chronicle . 2014閲覧.
- ↑ Kaegel, Dick (2013年11月23日). “Infielder Laird among five signed to Minor League deals”. Royals News (MLB.com) . 2013閲覧.
- ↑ Bill Baer (2014年3月15日). “Nationals acquire infielder Brandon Laird from the Royals”. NBC Sports (NBC) . 2014閲覧.
- ↑ “ブランドン・レアード選手と契約合意”. 北海道日本ハムファイターズ (2014年11月18日). . 2014閲覧.
- ↑ “日本ハム・レアード来季残留 23発&守備を評価”. 日刊スポーツ. (2015年8月25日) . 2016閲覧.
- ↑ 日ハム中田、本塁打へのこだわり捨てた? 「とにかく打点」、その理由は… Full-Count 2016.05.31(株式会社Creative2、2018年10月5日閲覧)
- ↑ 宮入徹 (2016年9月6日). “レアード史上初 6番以下で全本塁打のキングへ”. スポニチアネックス . 2016閲覧.
- ↑ “レアード 大幅昇給2年6億円 使い続けてくれた栗山監督に感謝”. スポニチアネックス. (2016年10月2日)
- ↑ “日本ハム レアードがプロ野球タイの4打数連続本塁打”. デイリースポーツ. (2017年5月13日)
- ↑ “【日本ハム】レアードのいとこがラスベガス銃乱射事件に巻き込まれ死亡 米へ緊急帰国”. スポーツ報知. (2017年10月3日17時23分) . 2017閲覧.
- ↑ “日本ハム・レアード “すしポーズ”誕生のきっかけとなった絶品握り寿司のお店を紹介!”. 週刊ベースボールONLINE. ベースボール・マガジン (2016年4月8日). . 2016閲覧.
- ↑ https://www.baseballchannel.jp/wbc/28987/
- ↑ “Tigers' Gerald Laird, brother arrested in brawl at Suns-Celtics game”. MLive.com (AP通信). (2009年12月31日) . 2012閲覧.
- ↑ “背番号決定のお知らせ”. 北海道日本ハムファイターズ (2014年12月12日). . 2014閲覧.
関連項目
外部リンク
業績 |
---|
テンプレート:日本シリーズMVP テンプレート:パシフィック・リーグ本塁打王 テンプレート:パシフィック・リーグ ベストナイン (三塁手) |