ブッポウソウ目
ブッポウソウ目(ブッポウソウもく、学名 Coraciiformes)は、鳥類の1目である。
Contents
特徴
南極を除く世界中に生息する。
全体的に色彩の鮮やかなものが多い。
科と亜科
伝統的には11科(数え方により増減する)が含められてきたが、現代的な分類ではうち5科は外され、6科のみが属する[1]。
ここでの亜科を科に格上げすることもある。
狭義のブッポウソウ目
- カワセミ科 Alcedinidae - ユーラシア北部と北アメリカ北部を除き世界中に分布。体の割に大きな頭とクチバシが特徴。カワセミ、アカショウビン、ヤマセミなど。ダイビングして魚等を食す。
- ハチクイモドキ科 Momotidae - 中央アメリカから南アメリカ北部に分布。ラケット状の尾羽が特徴。
- コビトドリ科 Todidae - カリブ海の島々に分布。全長10cm程度の小さな鳥。
- ジブッポウソウ科 Brachypteraciidae
- ブッポウソウ科 Coraciidae - カラスに似た体形で、輝く青色の翼が特徴。ブッポウソウなど。
- ハチクイ科 Meropidae - アジア、アフリカ、オーストラリアに分布。ハチを好んで食べる。
分離された目
サイチョウ目とオオブッポウソウ目が、ブッポウソウ目から分離された。
- サイチョウ目 Bucerotiformes
- サイチョウ科 Bucerotidae - 大きなクチバシを持つ。
- ジサイチョウ科 Bucorvidae - サイチョウ科に含めることも
- ヤツガシラ科 Upupidae - 特徴的な冠羽を持つ。ヤツガシラ目とすることも。
- モリヤツガシラ科(カマハシ科) Phoeniculidae - ヤツガシラ目とすることも。
- オオブッポウソウ目 Leptosomatiformes
- キヌバネドリ目 Trogoniformes - 以前から別目とする説が主流だったが、ブッポウソウ目に含める説もあった。
系統と分類
狭義のブッポウソウ目は単系統だが、伝統的な広義のブッポウソウ目は単系統ではなく側系統であり、キツツキ目とキヌバネドリ目(キヌバネドリ科のみ)を系統として含む[2]。サイチョウ目とオオブッポウソウ目が分離されたのは、キツツキ目を独立目として残すためである。
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ブッポウソウ目がキヌバネドリ目を内包する側系統であることは以前より指摘されていた[3][4]。それに対し、ブッポウソウ目を複数の単系統(と思われた)目に分離するか、キヌバネドリ目をブッポウソウ目に含める措置が取られた。
Feduccia (1977)[5]は、キヌバネドリ目の姉妹群と考えたカワセミ科+ハチクイモドキ科+コビトドリ科+ハチクイ科をカワセミ目 Alcediniformes に分離し、さらにサイチョウ目(サイチョウ亜目)、ヤツガシラ目(ヤツガシラ亜目)を分離し、ブッポウソウ目にはブッポウソウ科+ジブッポウソウ科+オオブッポウソウ科のみを残した。ただし実際には、このカワセミ目とブッポウソウ目は単系統ではない。
Maurer (1981)[6]は、キヌバネドリ科をブッポウソウ目に含めた。キヌバネドリ科は Feduccia のカワセミ目の内部に位置するとし、キヌバネドリ科を合わせてカワセミ亜下目 subinfraorder Alcedinides に分類した。
Cracraft (1982)[7]は、キヌバネドリ科をブッポウソウ目カワセミ亜目 Alcedines(ブッポウソウ目+オオブッポウソウ目にあたる)に含め、ブッポウソウ下目 Coracii ・カワセミ下目 Alcedini(Feduccia のブッポウソウ目・カワセミ目にあたる)と並ぶキヌバネドリ下目 Trogones とした。ブッポウソウ目には他にサイチョウ亜目 Bucerotes・ヤツガシラ亜目 Upupes が属していた。
Sibley & Alhquist (1990) は、サイチョウ目(サイチョウ亜目)とヤツガシラ目(ヤツガシラ亜目)を分離した(カワセミ目は分離しない)。キヌバネドリ目はブッポウソウ目の姉妹群だと考えた。このブッポウソウ目は現在のものとほぼ同じだが、オオブッポウソウ科を含んでおり単系統ではない。Feduccia のブッポウソウ目とカワセミ目はブッポウソウ亜目 Coracii とカワセミ亜目 Alcedini としてカワセミ目に含まれていた。
脚注
- ↑ Gill, Frank; Donsker, David, eds. (2010), IOC World Bird Names (version 2.5)
- ↑ Hackett, S. J.; Kimball, Rebecca T.; et al. (2008), “A Phylogenomic Study of Birds Reveals Their Evolutionary History”, Science 320 (5884): 1763–1768, doi:10.1126/science.1157704
- ↑ Mayr, Gerald (2003), “On the phylogenetic relationships of trogons (Aves, Trogonidae)”, J. Avian Biol. 34: 81–88
- ↑ Johansson, Ulf S.; Ericson, Per G. P. (2003), “Molecular support for a sister group relationship between Pici and Galbulae (Piciformes sensu Wetmore 1960)”, J. Avian Biol. 34 (2): 185–197, doi:10.1034/j.1600-048X.2003.03103.x
- ↑ Feduccia, A. (1977), “A Model for the Evolution of Perching Birds”, Syst. Zool. 26: 19–31
- ↑ Maurer, D. R.; Raikow, R. J. (1981), “Appendicular myology, phylogeny, and classification of the avian order Coraciiformes (including Trogoniformes)”, Ann. Carnegie Mus. 50: 417–434
- ↑ Cracraft, Joel (1982), “Toward a phylogenetic classification of the recent birds of the world (Class Aves)”, Auk (4): 681–714, doi:10.1126/science.1157704