フィリピン海
フィリピン海(フィリピンかい、英語: Philippine Sea, タガログ語: Dagat Pilipinas)は、日本、台湾、フィリピン、ミクロネシアに囲まれた海で、太平洋の付属海(縁海)である。1952年(昭和27年)に太平洋から区域名が分離されたが、日本では十分に浸透しておらず、いまだ太平洋の一部とされることも多い。
範囲
国際水路機関 (IHO) が定めた境界では、フィリピン海は、伊豆半島・伊豆諸島・小笠原諸島・火山列島・マリアナ諸島・ヤップ島・パラオ諸島で北太平洋と、淡路島・四国で瀬戸内海と、九州・南西諸島で東シナ海と、台湾・ルソン島で南シナ海と、フィリピン諸島の南方にあるハルマヘラ島(インドネシア領)で東インド多島海のスル海・セレベス海・モルッカ海と分けられている。日本海とは日本列島西部で隔てられている。
したがって、西日本(伊豆半島より西)の南方の海は、狭義では太平洋でなくフィリピン海ということになる。
名称
第二次世界大戦のフィリピン海海戦(en:Battle of the Philippine Sea、日本側呼称はマリアナ沖海戦)をきっかけにアメリカ海軍で使われるようになった。戦後の1952年(昭和27年)にIHOの決定で太平洋から分離され、現在では世界各国でこの名称が浸透している。
一方、日本政府はフィリピン海を公式に認めているものの国内ではほとんど浸透していない。海上保安庁の発行する公式海図ですらフィリピン海の名称は使用されていない。ただ、地震大国でもある日本では主に災害対策の文脈において、将来に起こる可能性があるプレート境界地震の原因プレートの名称としてのフィリピン海プレートの名は頻繁に使用される。
フィリピン海を取り囲む陸地
北から時計回りに
海洋権益
フィリピン海は、中華人民共和国が海洋権益の拡大を志向する第一列島線と第二列島線に挟まれている。中国の海軍艦艇や調査船、軍用機が度々出没し、探査結果を基に海底地形に命名するなどしている[1]。
このためフィリピン政府は、ルソン島東方沖海底にあり、資源埋蔵が期待される「ベンハム隆起」(en:Benham Rise)を2017年に「フィリピン隆起」(Philippine Rise)に改称。外国船による調査を禁止する措置とった[2]。
脚注・出典
- ↑ 「中国、海底地形28件命名 2011年以降、EEZ内に拡大警戒」『産経新聞』朝刊2018年2月25日(2018年6月3日閲覧)。
- ↑ 「比 東側海域支配を強化/隆起周辺 中国の海洋進出に対抗」『産経新聞』朝刊2018年5月21日(2018年6月3日閲覧)。
関連項目
- フィリピン海プレート
- フィリピン海溝
- マリアナ沖海戦(フィリピン海海戦)
- フィリピン・シー (空母)
- フィリピン・シー (ミサイル巡洋艦)
- マゼラン諸島
- 第一列島線-中華人民共和国の軍事戦略上の概念である「第一列島線」と「第二列島線」に挟まれている海域は、大部分がフィリピン海と一致する。