ビートル (高速船)
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ビートル (Beetle) はJR九州高速船(2005年10月1日に、それまでの九州旅客鉄道〈JR九州〉船舶事業部が独立)が運航している高速船である。 運航船舶はボーイング929の旅客型「ジェットフォイル」である[1]。全没翼型水中翼船と呼ばれるタイプの水中翼船で、半没翼型水中翼船より波浪による船体の揺れが少ないといわれている。
概要
福岡県福岡市の博多港と大韓民国釜山広域市の釜山港を結ぶ航路と、長崎県対馬市の比田勝港と釜山港を結ぶ航路で運航されている。博多-釜山は約3時間で、1日2-3本。比田勝-釜山は約1時間10分で、1日1-2本。
なお、JR西日本宮島フェリー(JR西日本の子会社)の宮島航路と違い、こちらは国際航路であり、運賃形態が独立しているため、「青春18きっぷ」では乗船できない。
JR九州初代社長の石井幸孝の肝いりで開始したプロジェクトだったが、営業努力にもかかわらず就航当初は乗客数が伸び悩み赤字路線だった。しかし2004年の冬のソナタのヒットを機に黒字路線へ成長した[2]。九州最大の都市である福岡と、韓国第二の人口を持つ大都市の釜山を海上経由で高速連絡し、両都市間の既存航空路線に対する高い競争力を獲得、旅客機から輸送シェアを奪い、更には輸送需要そのものを増やすことに成功した。JR九州が民営化後に展開した新規ビジネスでも特筆される事例である。
歴史
- 1990年(平成2年)
- 1991年(平成3年)
- 3月25日:博多 - 釜山間に高速船「ビートル2世」運航開始。
- 1992年(平成4年)
- 3月25日:高速船「ビートル」の航路を博多港 - 平戸 - ハウステンボス間に変更。
- 1994年(平成6年)
- 3月31日:博多港 - 平戸 - ハウステンボス間の高速船「ビートル」休航。
- 1998年(平成10年)
- 2000年(平成12年)
- 11月28日:ビートル新予約システム「SHIPS2」稼動。
- 2001年(平成13年)
- 4月6日:ビートル3隻体制での運航開始。(「ビートル2世」、「ビートル3世」「ジェビ」)
- 2003年(平成15年)
- 2005年(平成17年)
- 2006年(平成18年)
- 2011年(平成23年)
- 11月1日:高速船ビートル新規航路就航(対馬 - 釜山)。
- 2014年 (平成26年)
- 2015年 (平成27年)
- 2016年 (平成28年)
- 1月8日 - 9時55分頃、釜山発博多行きの便(乗員乗客191人)が、釜山港から約15kmの海上で鯨とみられる物体と衝突し、10人が負傷し、高速走行できなくなり釜山へ引き返した[6][7]。
- 1月20日 - 16時半頃、釜山発博多行き(乗員乗客161人)が、福岡市西区の小呂島北約14キロメートルの海上で、海洋生物らしき物体と衝突。乗員の女性が軽傷。釜山港を午後2時半に出発し、衝突時は時速約70キロで航行中だった。衝突後は時速約20キロで航行し、博多港に約2時間20分遅れで到着した。
- 4月1日 - 未来高速との共同運航契約が3月末で終了。それに伴い、再びJR九州単独運航になる。
- 7月3日:対馬で開催される国境マラソンIN対馬にあわせ、博多港 - 比田勝航路を臨時運航。
- 9月23日:博多 - 平戸(国内航路)を2往復臨時運航。
- 9月24日:博多 - 平戸(国内航路)を2往復臨時運航。
- 9月25日:博多→平戸(国内航路)、平戸→釜山(国際航路)を臨時運航。
- 10月7日:博多 - 平戸(国内航路)を1往復臨時運航。
- 11月12日:博多 - 平戸(国内航路)を2往復臨時運航。
- 11月13日:博多 - 平戸(国内航路)を1往復臨時運航。
- 2017年 (平成29年)
- 2018年(平成30年)
運航船名
- ビートル
- ビートル2世
- ビートル3世
3隻すべて「ジェットフォイル」である。
過去に在籍していた船名
- ビートル5世
→東海汽船に売却。「セブンアイランド大漁」として平成27年1月就航。
設備
- ビートル、ビートル2世、ビートル3世ともリニューアルにて座席数が統一され、定員191名(一般席175席、グリーン席16席。グリーン席にはRECARO社製の座席を採用)
その他
- 初代の「ビートル」は「ウミトブカブトムシ」とアピールされ広告などがなされた。これはハルボーンでの格納状態(水中翼の浮力での高速航走時は“フォイルボーン”、速力による水中翼の揚力が無い状態を“ハルボーン”という。水中翼浮力が無く海底への距離が足りない場合は水中翼を喫水線上に畳むことがジェットフォイルでは可能)の前部水中翼をカブトムシの角に見立てたもので、船体塗色も、全体が茶色のものであった。
- 日韓共同事業として運航を開始した経緯から、以前は韓国高速海運所属の姉妹船「ジェビ」(韓国語で「つばめ」の意)があった(運航はJR九州に委託)。2006年4月、韓国・未来高速社「コビー」との共同運航開始に伴い、「ジェビ」「ジェビⅡ」はJR九州高速船所属となり、「ジェビ」→ 「ビートル」「ジェビⅡ」→「ビートル5世」に、それぞれ改称された。(共同運航は2016年3月31日まで)
- 日帰りで福岡から釜山へ行けるため、ビートルを利用して釜山へ免税品を買いに行く人をビートル族と呼ぶ事がある。
脚注
- ↑ 「ジェットフォイル」とはボーイング社が開発した民間旅客用水中翼船の個別商品名であり、水中翼船の一般名ではない。
- ↑ 人口減少と鉄道 石井幸孝著 p78
- ↑ 『鉄道ジャーナル』第32巻第7号、鉄道ジャーナル社、1998年7月、 98頁。
- ↑ 4.0 4.1 4.2 またクジラ?高速船が衝突 - 日刊スポーツ、2006年3月17日
- ↑ 第1節 海難の発生 (PDF) - 海難レポート2007、海難審判庁、2007年7月
- ↑ 高速船が海洋生物と衝突か 釜山発博多行き、10人けが朝日新聞デジタル(2016年1月8日12時56分配信)2016年1月8日閲覧。
- ↑ 191人乗り高速船、クジラ?と衝突8人けが、ひき返す 韓国・釜山→博多産経WEST(2016年1月8日14時20分配信)2016年1月8日閲覧。
- ↑ 九州郵船ウェブサイト
- ↑ JR九州高速船ウェブサイト
参考文献
関連項目
- 関釜フェリー - 下関市と釜山広域市を結ぶフェリー。
- コビー - 当初は「ビートル」と別航路として博多 - 釜山間を運航、2006年4月以降「ビートル」と共同運航化。
- 大亜高速海運 - 「ビートル」と別航路として博多 - 釜山間に高速船「ドリーム号」を運航。
- カメリアライン - 博多 - 釜山間を結ぶフェリー航路
- 日韓高速船 - 下関と釜山広域市を結んでいたジェットフォイル船。
- 日韓共同きっぷ - 特別企画乗車券。「ビートル」が経路に含まれている。
- コリアレールパス - 韓国鉄道公社の外国人向け乗り放題乗車券。「ビートル」とのセット券がある。
- 関釜連絡船・博釜連絡船 - 戦前、旧鉄道省が下関・博多 - 釜山間に運航していた鉄道連絡船。