ビロウ
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ビロウ(Livistona chinensis、蒲葵、枇榔、檳榔)はヤシ科の常緑高木。漢名は蒲葵、別名はホキ(蒲葵の音)、クバ(沖縄)など。古名はアヂマサ。
ビロウの名はビンロウ(檳榔)と混同されたものと思われるが、ビンロウとは別種である。
葉は掌状に広がる。ワシントンヤシにも似るが、葉先が細かく裂けて垂れ下がるのが特徴である。東アジアの亜熱帯(中国南部、台湾、南西諸島、九州と四国南部)の海岸付近に自生し、北限は福岡県宗像市の沖ノ島。
利用
沖縄などでは庭木・街路樹に用いるほか、葉は扇や笠に利用し、また若芽を食用にする。沖縄市の市の木である。
文化
ビロウにちなむ地名として、枇榔島(宮崎県門川町、鹿児島県志布志市、南大隅町)、蒲葵島(高知県大月町)などがある。
古代天皇制においては松竹梅よりも、何よりも神聖視された植物で、公卿(上級貴族)に許された檳榔毛(びろうげ)の車の屋根材にも用いられた。天皇の代替わり式の性質を持つ大嘗祭においては現在でも天皇が禊を行う百子帳(ひゃくしちょう)の屋根材として用いられている。民俗学の折口信夫はビロウに扇の原型を見ており、その文化的意味は大きい。扇は風に関する呪具(magic tool)であったからである。
参考文献
- 吉野裕子 『扇―性と古代信仰―』 人文書院、1984年。のち、講談社学術文庫。ISBN 9784409540114