パークアンドライド

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パークアンドライドの標識(イギリス
パークアンドライドの標識(ドイツ
パークアンドライド用の駐車場(オックスフォード
パークアンドライド用の路線バス(オックスフォード)

パークアンドライド英語: park and ride) とは、自宅から自家用車で最寄りの駅またはバス停まで行き、自動車駐車させた後、バスや鉄道などの公共交通機関を利用して、都心部の目的地に向かうシステムである。

概説

パークアンドライドは、末端交通機関である自動車(または原付軽車両)を郊外公共交通機関乗降所(鉄道駅バス停留所など)に設けた駐車場停車させ、そこから鉄道路線バスなどの公共交通機関に乗り換えて目的地に行く方法である[1]。都市部や観光地などの交通渋滞の緩和、交通公害の抑制、違法駐車の削減などを図るため交通政策で推進される[2]P&R と略すこともある。

鉄道駅や高速バス停留所に近接して利用者用駐車場を設置し、利用者には無料または安価に長期間駐車を認めるサービスもパークアンドライドと称されている。都心の外縁部に設ける都心アクセス用駐車場をフリンジパーキングという。

パークアンドライドは、アメリカ合衆国で普及したシステムで、このことで都心部の交通環境の悪化を防いでいるほか交通量自体が減少するため、渋滞の緩和だけではなく、排気ガスによる大気汚染の軽減、二酸化炭素排出量の削減といった効果も期待されている。

最寄り駅までマイカーを利用して電車に乗り換える場合をパークアンドレイルライドという[2]

また最寄り駅までマイカーを利用してバスに乗り換える場合をパークアンドバスライドという[2]

末端交通機関に自動車(マイカー)以外を利用する場合にも種類によって次のようなパターンがある。

  • サイクルアンドライド(末端交通機関が自転車の場合)
  • バスアンドライド(末端交通機関がバスの場合)
  • 観光バスアンドライド(観光バスを郊外駐車場に置き、そこから市内バスや鉄道に誘導する場合)
  • ライドアンドライド(末端交通機関も軌道系の場合)

種類

実施主体による分類

設置場所による分類

  • 通勤
  • 郊外
  • 都市への自動車流入防止型
  • 観光地・レジャー施設型
    レジャーシーズンやイベント期間など、特に混雑が予想される期間中は、マイカーによる乗り入れを規制するマイカー規制を実施して、サテライト駐車場からシャトルバスによる目的地までのピストン輸送が行われている[3]

利用促進のための課題

パークアンドライドは、渋滞の解消と都市環境の改善に大きく貢献するシステムだといわれている。そのため、システムの社会的意義を利用者に理解してもらい、社会貢献をしているという意識を高めてもらうことが利用促進の前提条件となる[1]

パークアンドライドを実現するためには、公共交通機関へ乗り換えるための駅やバス停などの周辺に大規模駐車場を確保する必要がある。さらに、駐車場は無料または低価格に設定し、経済的負担を強いることがないように利用者に配慮する必要も出てくる。つまり、マイカー通勤から公共交通機関へ乗り換える通勤スタイルに変更したことで、利用者に不満が出てくるようなことがあっては、パークアンドライドという交通体系への理解と協力者が現れないことになる[1]。また、交通不便地域に在住する人たちにとっては、容易に鉄道やバスに乗り換えることも難しくしている。こうした地域在住者にマイカー通勤自粛を呼びかけるだけではパークアンドライドは進展しないため、官民が協力して本システムを作り上げる努力が不可欠となる[1]

各国の状況

フランス

ストラスブールでは郊外に大規模な割安の駐車場を設定し、トラム(路面電車)の利用者に往復チケットを交付することでトラムの利用と自動車の相乗りを奨励する政策がとられている[4]

日本

自治体・鉄道事業者

パークアンドライドを促進するため、自治体、鉄道事業者では駐車料金の割引制度を設定しているところもある。

民間駐車場

パークアンドライドを促進するため、駐車場料金の最大料金を設定しているところもある。

脚注

参考文献

  • 浅井建爾 『日本の道路がわかる辞典』 日本実業出版社、2015-10-10、初版。ISBN 978-4-534-05318-3。

関連項目

外部リンク