ハロルド・ブルーム
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ハロルド・ブルーム(Harold Bloom 1930年7月11日‐ )は、米国の文学研究者、批評家、イェール大学名誉教授。19世紀ロマン派の詩が専門だが、『影響の不安』の理論、また『ウェスタン・キャノン』のほか、独自の文学理論と、反左翼的な姿勢、全世界の文学に通じた博識の学者として知られる。
ニューヨーク市ブロンクスに生まれ育ち、イディッシュ語を母語とした。1947年コーネル大学に入学、1952年に卒業、1955年イェール大学で博士号を取得する。以後イェール大学で教員を務めた。ノースロップ・フライを先行者と見なし、ユダヤ教的なカバラー、グノーシスなどを用いる独自の批評を展開し、1973年には『影響の不安』を刊行して評判となる。また1994年には『ウェスタン・キャノン』を刊行してベストセラーとなるが、これはシェイクスピアを西洋文学の中核として、当時左翼的(フェミニズム批評、ポストモダン、ポスト・コロニアリズム、カルチュラル・スタディーズ)批評によって否定されつつあった「キャノン」(古典)の尊重を掲げたものとして、保守的批評家と見なされたが、実際にはフェミニズム、ポスト・コロニアリズムの名作とされるものも挙げられている。
そのほか、世界文学の古典についての膨大な論文集を編纂し、そのすべてに序文を書いている。
日本では「影響の不安」という語が有名で、1980-90年代に文芸評論家によって使われたが、実際はより難解なロマン派の詩の理論であり、2004年に邦訳が出て詳細な注がつけられた。
邦訳
- アゴーン <逆構築批評>の超克 高市順一郎訳 晶文社 1986年6月
- カバラーと批評 島弘之訳 国書刊行会 1986年11月 (クラテール叢書)
- 聖なる真理の破壊 旧約から現代にいたる文学と信 山形和美訳 法政大学出版局 1990年11月 (叢書・ウニベルシタス)
- 影響の不安 詩の理論のために 小谷野敦、アルヴィ宮本なほ子訳 新曜社 2004年9月
外部リンク
- 図書館にあるに関係する蔵書一覧 - WorldCatカタログ
- Antonio Weiss (Spring 1991). “Harold Bloom, The Art of Criticism No. 1”. Paris Review .
- "Introduction to Theory of Literature Lecture 14". Open Yale lectures on the influence of Bloom and Eliot.
- New York Times article Bloom archive