ニフティ
ニフティ株式会社(英: NIFTY Corporation)は、インターネットサービスプロバイダを主力事業とする電気通信事業者であり、ノジマの完全子会社である。
概要
日商岩井(NI)と富士通(F)の折半出資会社として発足した株式会社エヌ・アイ・エフを母体としている。設立当初はCompuServeと提携してニフティサーブの名称で商用のパソコン通信サービスを行ない、一時は日本で最大手のパソコン通信サービスであったが、その後のインターネットの普及に合わせてインターネット接続サービスを軸とした事業に移行する。ダイヤルアップ接続やISDN回線が一般的な1999年2月末時点の会員数は約269万人で、国内インターネット接続事業者の中で最大規模であった。1999年3月に経営不振の日商岩井が所有株式を富士通に売却して富士通の全額出資子会社となった[1]。11月に富士通のISP事業部門で会員数54万人のInfoWebと統合して、@niftyが誕生した[2][3]。
パソコン通信サービスを開始した当初、CompuServeで確立されていた「フォーラム」というコミュニティを形成し、その運用をシスオペと呼ばれる管理者に委託していた。「フォーラム」は@niftyに統合後も続いたが利用者数は減少し、インターネットに移行したフォーラム(いわゆるWEBフォーラム)以外のパソコン通信によるフォーラムは2005年3月31日で終了し、2006年3月31日にすべてのパソコン通信サービスを終了した。残ったWEBフォーラムも2007年3月31日24:00にサービスを終了した。掲示板の閲覧は2007年6月28日15:00まで可能である。フォーラムによってはfolomyなどニフティ以外のサーバーへ移転してコミュニティとしてのサービスを継続しているが、@niftyとは無関係である。
沿革
- 1986年双日)および富士通の出資によって、株式会社エヌ・アイ・エフとして東京都千代田区に設立。 2月 - 日商岩井(現:
- 1986年 9月 - 商号をエヌ・アイ・エフ株式会社に変更。
- 1987年ニフティサーブを開始。 4月 -
- 1991年品川区の大森ベルポートに移転。 4月 - 商号をニフティ株式会社に変更。本社を
- 1999年完全子会社となる[4]。 3月 - 富士通の
- 1999年11月 - 富士通のInfoWebをニフティサーブに統合し、@niftyを開始[5]。
- 2005年投資事業有限責任組合GB-III)を設立。 4月 - ベンチャー企業の投資育成を目的に、投資ファンド「WING」(
- 2005年 9月 - マーケティング分野の事業拡大を目的に富士通より株式会社ライフメディアの株式を取得し子会社化。
- 2006年12月 - 東京証券取引所第2部に上場。
- 2007年一橋大学大学院准教授の阿久津聡が就いた。 5月 - 企業内研究所としてニフティ研究所を新設。所長は友澤大輔。顧問は丸の内ブランドフォーラム代表の片平秀貴と
- 2011年12月 - 本社を新宿区の新宿フロントスクエア内にある新宿フロントタワーに移転。
- 2016年[6]。 6月 - 親会社の富士通が株式公開買付けを実施、96.74%の株式を取得
- 2016年[7]。 7月 - 東京証券取引所第2部上場廃止。株式等売渡請求により富士通の完全子会社となる
- 2017年 4月 - クラウド事業を中心とする富士通クラウドテクノロジーズ株式会社と、コンシューマ向け事業を中心とするニフティ株式会社に分社。ニフティ株式会社が株式会社ノジマの完全子会社となる。
- 2017年11月 - デイリーポータルZおよび東京カルチャーカルチャーを東急グループのISPであるイッツ・コミュニケーションズに事業譲渡[8]。
社名の由来
- 設立時の社名、株式会社エヌ・アイ・エフは、「ネットワーク・インフォメーション・フォーラム」の英語表記[9]の頭文字に由来するである。
- ニフティサーブおよび改称後の社名のニフティとは、NIFに接辞語のtyをつけて、英語の「かっこいい」「粋な」という意味を持たせたものである。1941年当時、既にディズニーが作品でNiftyという英語本来の単語を使用している。
主なサービス
@nifty
@nifty(アット・ニフティ)は、ニフティ株式会社が運営するインターネットサービスプロバイダである。ウェブ検索はGoogleを使用。ニュース、株価、旅行、音楽、映画その他の情報サービスも提供している他、毎年夏に「@nifty BBフェスタ」というイベントを東京・大阪・名古屋の3都市で開催している。
- 1999年 - ニフティ株式会社のニフティサーブおよび富士通のInfowebが統合されサービス開始。プロバイダの経路はInfoWebのサービスを引き継いでいるため、ニフティのリモートホストはinfoweb.ne.jpであり、Infowebの名残を残す。
- 2006年Winnyなどファイル共有ソフトの帯域制限を告知。 3月 -
- 2006年[10]。 4月 - Winnyなどファイル共有ソフトの帯域制限を一部地域で開始
- 2007年 7月 - ファイル共有ソフトの帯域制限の対象をほぼ全国に広げる。
- 2009年10月 - ライバル関係であるNECビッグローブとコンテンツの相互乗り入れを開始。
NifMo
NTTコミュニケーションズがMVNEでNTTドコモのXi/LTEを使用するMVNOである。下り最大150Mビット毎秒である。
インターネット接続サービス(プロバイダー)
- @niftyひかり
- auひかり
- コミュファ光
- フレッツひかり
- ドコモ光
- ADSL
モバイル接続サービス(プロバイダー)
@nifty MOBILE(YM)4G 定額3年
ワイモバイルの4Gを利用した、下り最大112.5Mbps/上り最大37.5Mbpsの定額データ通信サービス。2013年12月5日から提供開始。
@nifty WiMAX
UQコミュニケーションズのモバイルWiMAX網を利用した定額制及び準定額制データ通信サービス。
@niftyメール
nifty.com形式
ドメインはnifty.comで、接続サービスを契約している会員向け。メールボックス容量3GBだったが、2007年6月4日のnifmail.jp形式の無料ウェブメールサービス開始とともに5GBに拡張された。
ココログ
@nifty会員・非会員共に利用できるブログサービスである。
2003年12月2日サービス開始[11]。Movable Typeを開発したシックス・アパート社が開発したTypePadというブログホスティングサービスのOEM。シックス・アパート社よりライセンス供与されておりニフティが運用している。
サービス普及のために様々な取り組みを行ったが、当初ブログは訳のわからないもので、お金も儲からないため、ブログを開設してくれる協力者は少なかった。試みの一環として、芸能人ブログとして眞鍋かをりが自身のブログ「眞鍋かをりのココだけの話」を開設(現在は閉鎖)。当時ニフティのコミュニティーサービス再興のための部署にいた清田いちるは、真鍋がブレイクしたことをきかっけにブログが様々な媒体で取り上げられたこと、2004年8月に『週刊SPA!』でエロ系コンテンツを扱うブログ「エログ」が注目されたことで、日本でブログが広まったと述べている。また清田自身が個人ブログ「小鳥ピヨピヨ」を開始し、アクセスを伸ばした。[12]
2005年6月頃からアクセス速度の低下などの不具合が発生していたが2007年3月22日および4月4日のメンテナンスで改善された[13][14]。
2007年8月8日に携帯デザイン(無料)を155種類リリースするなど、携帯向けサービスの拡充が図られている[15]。
- 過去のメンテナンスに関する事象
InterPot(インターポット)
Javaで作られたオンラインコミュニケーションゲーム。うるまでるびがデザインを担当。チャットやらくがき機能でコミュニケーションを取れるほか、デンナ・モニターを使って自分の土地をホームページやブログに貼ることも可能。
@nifty バックアップ
オンラインバックアップサービス。パソコンのデータバックアップを専用ツールにより、毎日自動で行うことができる。2010年7月に@nifty バックアップV2として、サービスリニューアルが行われた。
@niftyフォン
050IP電話である。
- @niftyフォン-C:フレッツの接続、ソフトバンク・TOKAIのADSL接続に、NTTコミュニケーションズのVoIP基盤で提供される。
- @niftyフォン-F:フレッツ接続に、ぷららネットワークスのVoIP基盤で提供される。新規お申し込みの受け付けは、停止中。
- @niftyフォン-K:電力系通信事業者のADSL接続に提供される。KDDIのサービス提供終了に伴い、2016年6月30日をもって、サービス終了する[19]。
ニフティから離れたサービス
イッツ・コミュニケーションズへ事業譲渡
- デイリーポータルZ
- 「オルタナ系ポータルサイト」を自称するインターネットコンテンツ。2002年10月提供開始。
- 2017年11月1日付で東京カルチャーカルチャーとともにイッツ・コミュニケーションズに事業譲渡。ただし、事業譲渡後もURLは「portal.nifty.com」を使用している。
- 東京カルチャーカルチャー
- 「ネットとリアルをつなぐ」をコンセプトに運営される飲食店兼イベントスペース。通称「カルカル」。2007年開店。
- 当初はお台場(江東区青海)のパレットタウン内にあったが、2016年12月に渋谷区渋谷のcocotiへ移転した。
富士通クラウドテクノロジーズへ事業譲渡
- ニフティクラウド
- パブリック型クラウドコンピューティングサービス。ドメインはcloud.nifty.com。2010年1月開始。サービス提供開始以来、1,000社以上の導入実績。VMwareで仮想化されたサーバー資源を利用でき、短時間で利用/停止できるオンデマンド性や、時間単位の従量課金、国内データセンターなどが特長。現在は「ニフクラ」「NIFCLOUD」の呼称を使用。NIFTY Cloud
- mBaaS
- mBaaS(mobile backend as a Service)とは、スマートフォンアプリでよく利用される汎用的な機能をクラウドから提供するサービスです。クラウド上に用意された機能をAPIで呼び出すだけで利用できるので、サーバー開発・運用不要。NIFTY Cloud mobile backend
- シンプルVPN
- 低コストで導入できる拠点間接続やリモート接続用VPNサービス。レイヤー2VPN方式を採用。利用できるプロトコルやアプリケーションに制限がなく、ブロードキャスト通信も可能。シンプルVPN
- ShaMo!
- スマートフォンアプリで使える安価な法人用電話サービスとして2016年4月から提供開始。iOSとAndoroid版が存在する。ShaMo!(シャモ)
終了したサービス
- ニフティサーブ
- @nifty do LTE
- NTTドコモのFOMA/LTEを利用した定額データ通信サービス。2012年10月15日から提供開始。2015年3月31日を新規申し込み終了[20]、2017年3月31日をもってサービスの提供を終了。
- @nifty MOBILE(YM) LTE(@nifty EMOBILE LTE)
- ワイモバイルのG4/LTEを利用した定額データ通信サービス。2014年2月28日をもって新規申込を終了[21]。
- @nifty Mobile BB
- イー・モバイルのEMモバイルブロードバンドを利用した定額制及び準定額制データ通信サービス。2014年11月30日、サービス終了[22]。
- @nifty Mobile P
- ウィルコムのAIR-EDGEを利用した定額制データ通信サービス。2011年3月31日サービス終了[23]。
- nifmail.jp形式
- 無料で使えるWebメールサービス。ドメインはnifmail.jp。2007年6月4日開始、2010年9月30日終了。メールボックス容量5GB。パソコンや携帯電話のブラウザを使ってメールを送受信することができた。メールアドレスの有効期限は最終ログインから120日[1]。サービス終了を発表後、メールデータ保存・移行のため、電子メールクライアントによる受信も可能となった[2]。
- @nifty TimeLine(タイムライン)
- 2007年2月28日サービス開始。時間軸に沿った情報を登録できる年表型CGMサービス。Ruby on Railsで開発されている。2009年4月24日に『男はつらいよ』40周年公式サイトにて、@nifty TimeLineが使えるようになる。
- 2011年6月30日をもってサービス終了となった。
- iREGi(アイレジ)
- @niftyが提供する提携ECサイト上における収納代行・決済サービスである。提携するECサイト(デジタルコンテンツ・ビーケーワンなど)で利用すると、@niftyのプロバイダ料金の請求先として登録しているクレジットカードに請求されるので、クレジットカード番号の漏洩抑止からセキュリティが高まる。但し、クレジットカード以外の支払い方法の場合は利用不可・利用金額に上限がある。@nifty以外のプロバイダーを利用していても「@nifty無料会員(旧iREGi会員)」に入会し、クレジットカード番号を登録することでiREGiによる決済が利用できる。2010年9月30日にサービス終了した。
- 同種のサービスとしてはSo-netの「Smash」などがある。
- アバウトミー
- 2007年5月17日サービス開始。オープン型のプロフィールサービス。複数のウェブサービスを集合させ、質問を通じたコミュニケーションが充実。ひとこと機能などもある。利用者は、@nifty会員のほか、livedoorID、はてなID、JugemKey、Typekey、OpenIDに対応。10分で作るRuby on Railsの動画で著名な増井雄一郎、NaCL、英和システムマネジメント社の協力を得て、Ruby on Railsで開発。2011年6月30日にサービス終了した。
- アプラグ
- ブログパーツサービス。ユーザーが自分でXMLを記述することでアプリを作成することも可能。また、それを利用することで他のブログパーツをまとめて管理することも可能。2011年5月31日にサービス終了した。
- BuzzPulse(バズパルス)
- クチコミマーケティングサービス。国内のブログに日々投稿される企業の商品やサービス・ブランド等の「クチコミ」の「評判」を分析するマーケティングツール。
- サービスは大きく3つに分けられ、
- ブログ分析サービス(一部コンサルティング)
- ASP型ブログ集計サービス
- クチコミプロモーションサービス
- がある。
- 時期は不明であるが、2012年2月現在はサービスが終了している。
- デコゲット
- 携帯専用デコメールSNS。デコメール素材を投稿したり、コメントを付けて他人とデコメ素材を共有することが可能。3キャリアに対応している。
- 時期は不明であるが、2015年9月現在サービスが終了している。
- ビデオ共有
- 動画共有サービス。投稿された動画に対して、ブログ投稿、マイクリップ登録、評価・コメント、ブログパーツ設定などの機能を利用できる。2011年6月30日にサービス終了した。
- 参照: ニフティービデオ共有
- ニフニフ動画
- 動画コメント投稿サービス。YouTubeに投稿された動画にコメントを付けることが可能。2007年6月11日の時点でβ版だったが、2008年10月7日に運営を完全に終了した。
- MOOCS
- 音楽情報とソーシャル・ネットワーキング・サービス「MOOCS park」からなる音楽総合サイト
脚注
- ↑ 日商岩井、保有ニフティ全株式を富士通に売却
- ↑ 新ドメインは“www.nifty.com”---11月1日スタートの“@nifty”新サービス発表
- ↑ メーカー系プロバイダに転機 富士通とNECが拡大路線を放棄 -- ITpro
- ↑ “ニフティ、富士通の100%子会社に”. INTERNET Watch (1999年3月23日). . 2012閲覧.
- ↑ “ニフティとInfoWebが統合、「@nifty」へ”. INTERNET Watch (1999年7月8日). . 2012閲覧.
- ↑ “支配株主である富士通株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ” (プレスリリース), ニフティ, (2016年6月16日) . 2016閲覧.
- ↑ “富士通株式会社による当社株主に対する株式等売渡請求を行うことの決定、当該株式等売渡請求に係る承認及び当社株式の上場廃止に関するお知らせ” (プレスリリース), ニフティ, (2016年6月23日) . 2016閲覧.
- ↑ “「デイリーポータルZ」および「東京カルチャーカルチャー」の譲渡について” (プレスリリース), イッツ・コミュニケーションズ株式会社、ニフティ株式会社, (2017年10月31日) . 2017閲覧.
- ↑ 英: network information forum
- ↑ 会員サポート - ファイル交換ソフト利用時の通信速度の制限について、ニフティ株式会社、2006年 4月19日(2006年 4月23日時点のアーカイブ)
- ↑ @nifty のblogサービス ココログ スタートしました!:お知らせココログ:@nifty
- ↑ 古田雄介の“顔の見えるインターネット” ― 第49回 ココログとGizmode Japanを作った元祖ブロガー ASCII.JP 2009年06月01日
- ↑ 4/3 ココログベーシック/プラス/プロ メンテナンス実施のお知らせ
- ↑ ココログベーシック/プラス/プロ メンテナンスのお知らせ
- ↑ ニフティ、ブログサービス「ココログ」にて携帯対応版デザインテンプレートを提供開始(2007年9月29日時点のアーカイブ)
- ↑ ココログメンテナンス実施について(7/11 14:00-7/13 14:00(2006年7月17日時点のアーカイブ)
- ↑ 「ココログ」53時間メンテ中に問題発生、元に戻して再開
- ↑ ココログベーシック/プラス/プロ メンテナンス終了のお知らせ
- ↑ “@niftyフォン-K サービス提供終了のお知らせ” (プレスリリース), ニフティ, (2015年6月30日) . 2015閲覧.
- ↑ “@nifty do LTEの新規申し込み受け付け終了につきまして” (プレスリリース), ニフティ . 2015閲覧.
- ↑ “nifty MOBILE(YM) LTE 定額にねんプランの新規申し込み受付終了につきまして” (プレスリリース), ニフティ . 2015閲覧.
- ↑ “@nifty Mobile BBサービス終了について” (プレスリリース), ニフティ, (2014年8月13日) . 2015閲覧.
- ↑ “@nifty Mobile Pサービス終了のお知らせ” (プレスリリース), ニフティ, (2011年4月1日) . 2015閲覧.
参考文献
- 古田雄介 「小鳥ピヨピヨ 清田いちる」『中の人 ネット界のトップスター26人の素顔』アスキー・メディアワークス 、2012年
関連リンク
- ジャパンネット銀行 1999年当時親会社であった富士通と、さくら銀行は、@nifty上でのサービス展開を前提に同行を設立することに基本合意[3]した。その後他社からの出資も受け入れ「インターネット専業銀行」の草分けとなった[4]