テンセント
テンセント（英: Tencent、繁体: 騰訊、簡体: 腾讯、拼音: Téngxùn）は、中華人民共和国広東省深圳市に本拠を置く持ち株会社で、インターネット関連の子会社を通してソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供している。
テンセントの100%子会社であるテンセント日本（Tencent Japan合同会社）は東京都港区にある。
概要
1998年に創業して、2004年に香港証券取引所に上場されて、2008年に香港ハンセン株価指数の構成銘柄になっている[1]。
売上高では世界最大のゲーム会社であり[2]、アプリの収益は世界一を誇り[3]、アクティビジョン・ブリザード[4]やユービーアイソフト[5]など他のゲーム企業の大株主でもある。創業者の馬化騰はアジア1位の富豪にもなっており[6]、時価総額ではアジア最大の企業だったこともある[7][8]。2017年にはアジアの企業で初めて5000億ドルを突破し、フェイスブックを超えてアップル・グーグル（親会社のアルファベット）・アマゾン・マイクロソフトといった世界五大企業に入っている[9]。このうちグーグルとはクロスライセンスで提携している[10]。
世界最大のPCゲーム「League of Legends」を運営する米ライアットゲームズ社、ギネスワールドレコーズから「最も成功したゲームエンジン」[11]と認められたUnreal Engineで知られる米Epic Games社、世界1位のモバイルゲーム[12]「クラッシュ・オブ・クラン」を運営するスーパーセルの親会社でもあり、また、韓国最大のモバイルチャットアプリ「カカオトーク」を提供する韓国企業カカオ、および韓国最大のモバイルゲーム企業であるネットマーブル（CJグループ）の大株主でもある[13]。自動車メーカーのテスラにも出資しており[14]、ハッキングを実演してテスラ車の脆弱性を修正させるなどセキュリティ面でも協力している[15][16][17][18]。
テンセント・ピクチャーズで漫画やゲームのハリウッドなどでの映画化も手掛けており、日本のアニメも製作・配信してるビリビリ動画[19]や日本の漫画を翻訳出版している広州天聞角川動漫[20]にも出資し、絵梦を通じて日本のアニメスタジオの買収[21]や日中合作アニメの制作[22]も行っている。VRの他、AIの研究開発にも力を入れており[23][24]、テンセントの囲碁プログラム「絶芸」はUEC杯や電聖戦など国際大会で優勝している。また、電子決済でもアリババに匹敵するシェアを誇っている[25]。
中国安徽省の蕪湖市で世界初[26]のエレクトロニック・スポーツによるまちづくりを進めており、ゲーム大学や競技場などを建設している[27][28]。また、ゲーム内のチーターの約99%が中国を占めるとゲームの開発者が問題視し[29]、テンセントが社会主義核心価値観[30][31]に基づいたローカライズを行ってる「PUBG」（テンセントはデベロッパーBlueholeで創業者に次ぐ大株主でもある[32]）のチートツールの製作者や販売者は中国当局との協力で2017年時点で120名超も逮捕されてる[33]。中国で全国民14億人の格付け[34][35][36][37]のために運用されてる社会信用システムをゲーム世界にもテンセントゲームクレジットとして導入しており、模範的なユーザーに特典を与えてチーターやマナーを守らないプレイヤーなどには実名登録されたアカウントにペナルティを与えている[38]。
サービス項目
- Qzone（QQ空間＝ソーシャル・ネットワーキング・サービス・サイト）
- テンセントQQ（騰訊QQ＝インスタントメッセンジャー）
- WeChat（微信）
- など
企業の軌跡
- 1998年、馬化騰（現CEO）が深圳で起業
- 2004年、香港証券取引所に上場
- 2008年、香港ハンセン株価指数の構成銘柄に入る
- 2011年、日本のGREEと提携[39]
- 2012年、日本のKDDIと提携[40]
- 2013年、日本のバンダイナムコ、集英社と提携[41]
- 2014年、日本のガンホー・オンライン・エンターテイメント、ミクシィと提携[42][43]
- 2015年、日本のカプコンと提携[44]
- 2017年、日本の任天堂、セガゲームスと提携[45][46]
- 2018年、日本のソニー・ミュージックエンタテインメントと提携[47]
関連項目
脚注
- ↑ 中国市場を席巻する騰訊
- ↑ “テンセントとはいかなる企業か？ 時価22兆円、ゲーム世界一、WeChat11億人の脅威”. ビジネス+IT (2016年6月20日). . 2016閲覧.
- ↑ “アプリの収益、世界一はテンセント――App Annieがランキングを発表”. TechCrunch Japan (2017年3月19日). . 2017閲覧.
- ↑ Activision buys itself back from Vivendi for $8 billion joystiq.com, Retrieved 2014-02-28.
- ↑ “【社説】中国に新関税、iPhoneが示す問題とは”. ウォール・ストリート・ジャーナル (2018年3月23日). . 2018閲覧.
- ↑ “テンセントの馬化騰氏、アジア1の富豪に、個人資産500億ドル超える―米華字メディア” (プレスリリース), Record China, (2018年1月22日) . 2018閲覧.
- ↑ “テンセント、時価総額アジア最大に 中国ＳＮＳ大手” (プレスリリース), 日本経済新聞, (2016年9月7日) . 2017-6-19閲覧.
- ↑ “アリババの時価総額がアジアトップに、「新三大エンジン」に注目集まる―中国” (プレスリリース), Record China, (2016年9月20日) . 2017-6-19閲覧.
- ↑ “中国テンセント、時価総額でフェイスブック抜く－世界５大企業入り”. ブルームバーグ. (2017年11月22日) . 2017閲覧.
- ↑ “米グーグルと中国テンセント、特許クロスライセンス契約締結”. ブルームバーグ. (2018年1月19日) . 2018閲覧.
- ↑ “First videogame created with the Unreal Engine”. Guinness World Records. . 2018閲覧.
- ↑ “中国テンセント、８６億ドルで世界１位のモバイルゲーム会社買収”. 中央日報 (2016年6月22日). . 2016閲覧.
- ↑ “韓経：韓国ゲーム輸入した中国テンセント、世界１位に…韓国は世界１０位圏外”. 中央日報 (2016年6月23日). . 2017閲覧.
- ↑ “中国テンセントが米テスラに出資、自動車関連技術で存在感”. ロイター (2017年3月29日). . 2018閲覧.
- ↑ “テスラ「モデルS」をハッキング、中国研究チームが実演”. AFPBB (2016年9月21日). . 2018閲覧.
- ↑ “テスラのモデルSはハック可能、ハッカーにやりたい放題される危険性”. GIGAZINE (2016年9月21日). . 2018閲覧.
- ↑ “中国のセキュリティーラボが、テスラ車を「ハッキング」した瞬間”. WIRED (2016年9月24日). . 2018閲覧.
- ↑ “こうしてTesla車を遠隔ハッキングした、中国Tencentが詳細を公開”. 日経BP (2017年7月28日). . 2018閲覧.
- ↑ “オタク人口2億人 中国で始まった「国産アニメ」制作バブル”. フォーブス. . 2018閲覧.
- ↑ “カドカワ中国合弁にテンセントが出資、マンガ作品など展開加速へ”. ロイター. (2016年9月6日) . 2018閲覧.
- ↑ “絵梦、子会社アニメーションスタジオ・アートランドの全株式譲渡 連結対象から外す”. アニメーションビジネス・ジャーナル (2017年9月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “日中共同企画TVアニメ「霊剣山 星屑たちの宴」、2016年1月スタート！ 原作は中国のオンライン小説/マンガ「從前有座霊剣山」”. アキバ総研 (2015年11月20日). . 2016閲覧.
- ↑ “中国・騰訊HD（テンセント・ホールディングス）、VR（仮想現実）やAI（人工知能）に注力”. ロイター (2016年9月25日). . 2017閲覧.
- ↑ “人工知能分野への投資で、中国企業が米国を追い越す勢い”. MIT Tech Review (2017年1月18日). . 2017閲覧.
- ↑ “テンセント、中国の電子決済でアリババ猛追”. 日本経済新聞. (2017年11月22日) . 2018閲覧.
- ↑ “Tencent developing “esports town” in China”. eSports Pro. (2017年5月18日) . 2018閲覧.
- ↑ “テンセントが中国でe-Sports地域活動を展開、「ゲーム大学」など予定”. GameSpark. (2017年5月17日) . 2017閲覧.
- ↑ “電子ゲームブームが中国を席巻 eスポーツの発展を促進”. 中国網. (2017年12月14日) . 2017閲覧.
- ↑ “『PUBG』チーターの99％は中国のユーザであることが判明。累計プレイヤー数3000万人を突破したメガヒット作ならではの苦難”. AUTOMATON. (2017年12月22日) . 2018閲覧.
- ↑ “中国向け「PUBG」のローカライズをテンセントが担当、「社会主義の本質的な価値観」に沿うよう内容を調整”. IGN. (2017年11月24日) . 2018閲覧.
- ↑ “腾讯与PUBG公司达成战略合作 获得《PUBG》国服代理权”. 腾讯游戏. (2017年11月22日) . 2018閲覧.
- ↑ “Tencent May Invest $470 Million To Become PUBG Dev's Second Largest Shareholder”. Shacknews. . 2018閲覧.
- ↑ “PUBGチートツールで逮捕者。中国当局にテンセントが協力、取り締まりを強化”. Engadget. (2018年1月17日) . 2018閲覧.
- ↑ “14億人を格付けする中国の「社会信用システム」本格始動へ準備”. ニューズウィーク (2018年5月2日). . 2018閲覧.
- ↑ “ネットや現実の違反行為で点数を付け個人の信用レベルを格付けしブラックリスト化する恐るべき全人民監視計画”. GIGAZINE (2016年11月30日). . 2018閲覧.
- ↑ “中国が強化する社会統制：市民を信用格付け”. =ウォール・ストリート・ジャーナル (2017年8月28日). . 2018閲覧.
- ↑ “【寄稿】中国「サイバー監視システム」の野望”. ウォール・ストリート・ジャーナル (2016年8月3日). . 2018閲覧.
- ↑ “テンセント、ゲームの世界にも信用スコアを導入”. CNET. (2018年4月10日) . 2018閲覧.
- ↑ グリーと中国テンセント、ソーシャルアプリの相互展開で提携
- ↑ KDDI、中国最大のSNS事業者テンセントとスマホアプリで提携
- ↑ 中国ポータルサイト大手、集英社・バンダイと業務提携＝海外進出図る―中国メディア
- ↑ ガンホー､テンセントと事業提携
- ↑ ミクシィ、中国テンセントと提携 「モンスターストライク」を独占提供
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