センダン
センダン(栴檀、学名: Melia azedarach)は、センダン科センダン属に分類される落葉高木の1種。別名としてオウチ(楝)、アミノキなどがある。
「栴檀は双葉より芳(かんば)し」ということわざが存在するが、これはセンダンではなくビャクダン(白檀)を指す[1]。
特徴
樹高は5-15 mほどで、成長が早い。若い樹皮は紫褐色で楕円形の小さな横斑が点在するが、太い幹の樹皮は縦に裂け、顕著な凹凸ができる。夏の日の午後は梢にクマゼミが多数止まり、樹液を吸う様子が見られる。
葉は奇数2-3回羽状複葉で互生し、一枚の葉全体の長さは50 cm以上ある。小葉は草質で薄い。楕円形で浅い鋸歯がある。
5-6月頃に、若枝の葉腋に淡紫色の5弁の花を多数、円錐状につける。花にはアゲハチョウ類がよく訪れる。なお、南方熊楠が死の直前に「紫の花が見える」と言ったのはセンダンのことと言われている。
果実は長径1.5-2 cmほどの楕円形の核果で、10-12月頃に黄褐色に熟す。秋が深まり落葉してもしばらくは梢に果実が残る。果実は果肉が少なく核が大きい。たまにヒヨドリなどが食べに訪れる。しかしサポニンを多く含むため、人、犬が食べると中毒を起こし摂取量が多いと死に至る。
葉や木材には弱い芳香がある。背が高い上に、新芽・開花・実生・落葉と季節ごとの見かけの変化も大きく、森林内でも目立ちやすい。
- W sendan2011.jpg
- Chinaberry at fall bearing fruit with no leaves.jpg
落葉してしまった梢に果実が残る
分布・生育地
ヒマラヤ、中国、台湾、朝鮮半島南部と日本[2]の熱帯・亜熱帯域に自生する。
日本では、本州(伊豆半島以西)、伊豆諸島、四国、九州、沖縄に分布する[2]。
利用
- 樹 - 街路樹、庭木、公園樹[3]。
- 樹皮 - 生薬の苦楝皮(くれんぴ)として、駆虫剤(虫下し)として煎液を内服[4]。
- 材 - 建築・器具用材、家具。ミンディ材と書かれているのはこのセンダンのこと。ケヤキの模擬材として使われることもある。
- 葉 - 強い除虫効果をもつため、かつては農家において除虫に用いられていた。
- 果実 - 生薬の苦楝子(くれんし)として、ひび、あかぎれ、しもやけに外用。整腸、鎮痛薬として煎液を内服。
- 核 - 数珠珠。
インフルエンザ対策
沖縄県に自生するセンダンの抽出成分が、インフルエンザウイルスを不活化させることが報告された[5]
自治体指定の木
日本の以下の自治体の指定の木である。括弧表記はかつて存在していた自治体。
市
町
村
- (上野村) - 沖縄県、現在は合併し宮古島市
脚注
- ↑ 現代言語研究会 (1996)、212頁
- ↑ 2.0 2.1 林 (2011)、385頁
- ↑ 菱山 (2011)、166頁
- ↑ 今月の薬用植物 2001年4月 せんだん(Melia azedarach) 熊本大学薬学部
- ↑ 根路銘国昭 ほか、「インフルエンザの科学的予防法 : センダン液でウイルスを殺す」 日本アンチエイジング歯科学会誌 4(-), 68-72, 2011-12, NAID 40019259583
参考文献
- 『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』 菱山忠三郎(監修)、成美堂出版、2011-06。ISBN 978-4415310183。
- 林弥栄 『日本の樹木』 山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2011-11-30、増補改訂新版。ISBN 978-4635090438。
- 茂木透写真 『樹に咲く花 離弁花2』 高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2000年、266-269。ISBN 4-635-07004-2。
- 『すぐに役立つ故事ことわざ辞典』 現代言語研究会、あすとろ出版、1996-01-25、改訂版。ISBN 4-7555-0808-8。
関連項目
- センダングサ - キク科の一年草。葉の形がセンダンに似る。
- インドセンダン - センダン科アザディラクタ属に属するインド原産の常緑樹。別名ニーム。インドにおいて伝統的にハーブとして用いられ、またニームオイル・ニームケーキとして害虫忌避剤や肥料として用いられる。こちらにはセンダンに見られるような強い毒性は無い。
- 木の一覧
- 金杉橋 - かつて橋の近くに存在したセンダンの巨木が光って見えたから名付けられた。
外部リンク
- “Melia azedarach”. National Center for Biotechnology Information (NCBI). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。 (英語)
- Melia azedarach - Encyclopedia of Life (英語)
- 波田善夫. “センダン”. 植物雑学事典. 岡山理科大学. . 2011閲覧.