スコラ哲学
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スコラてつがく
scholasticism
ヨーロッパ中世の聖堂や修道院の付属学院 scholaで研究され教えられた哲学,神学。大学が成立すると,神学部,人文学部の教科となった。自由七科など純粋に世俗的な学問も含むが,その中核は理性的認識と宗教的真理を補完的調和にもたらすことにあった。通例 4期に分ける。(1) 前期(9~12世紀) 科学,哲学,神学が未分化のなかで然りと否 sic et nonの弁証論的方法が実践され,普遍論争が展開されていった(シック・エト・ノン)。代表者はフラックス・アルビヌス・アルクイヌス,ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナ,アンセルムス,ピエール・アベラール,サン・ビクトルのフゴら。(2) 最盛期(13世紀) 哲学と神学の区別が完成し,アリストテレスが哲学に取り入れられ,体系的なスンマが多く著された。アルベルツス・マグヌス,トマス・アクィナスのドミニコ会,アレクサンデル・ハレシウス,ボナベントゥラ,ヨハネス・ドゥンス・スコツスのフランシスコ会(フランシスコ修道会)の二大潮流が形成された。(3) 後期(14~15世紀) 二重真理説を根底に哲学や科学で合理主義化が進み,唯名論が主流。ウィリアム・オッカム,ニコラウス・クザーヌスが代表者。(4) 近世(16~17世紀) 恩恵論争が盛ん。カエタヌス,フランシスコ・デ・スアレスらが代表者。このあとも学院での伝統は絶えず,20世紀にいたってデジレ・ジョゼフ・メルシエらの新スコラ哲学が脚光を浴び,哲学思潮の一つによみがえった。今日でもなお神学の基礎として教えられている。