スカパーJSAT
スカパーJSAT株式会社(スカパージェイサット、英語: SKY Perfect JSAT Corporation)は、日本の通信衛星事業者、衛星放送プラットフォーム事業者(有料放送管理事業者)および有線一般放送事業者である。
法人格としては「スカパー」に該当する株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(SKY Perfect Communications Inc.)が前身となっており、併せて記述する。
Contents
概要
2008年10月1日、スカパーJSATグループの中核事業3社のうち、スカパーを存続会社とし、衛星運営会社のJSAT株式会社、宇宙通信株式会社を合併して設立した。
衛星インフラを主軸としている電気通信事業者であり、十数機の通信衛星を運用、アジア随一、世界有数規模の通信衛星保有企業となっている。
大口利用者には、防衛省・NTTグループ・自治体衛星通信機構が挙げられる他、CS放送(CSによる衛星基幹放送事業者及び衛星一般放送事業者)、番組素材配信(日本放送協会を含む基幹放送事業者)、ケーブルテレビ局向け番組配信(日本デジタル配信)にも多くの衛星通信回線を提供している。
うち、日本国内の衛星放送分野では、唯一のCSによる衛星基幹放送の基幹放送局提供事業者並びに衛星一般放送事業者に放送設備を提供する電気通信事業者でもあり、全てのCS放送番組を各視聴者へ向け送信し、かつ唯一の有料放送管理事業者として スカパー!及び スカパー!プレミアムサービスというプラットフォームを運営する事で知られている。これに付随し放送番組やインターネット向けの映像コンテンツの制作・供給、CS放送受信機器の販売・レンタルなども行っている。
沿革
- 1994年11月10日 - 株式会社ディーエムシー企画(DMC Plannning Inc.)設立。
- 1995年
- 7月 - 株式会社ディーエムシー企画が株式会社ディーエムシーと商号変更。
- 9月 - 株式会社ディーエムシーが日本デジタル放送サービス株式会社(Japam Digital Broadacast Service Co., Ltd.)と商号変更。
- 1996年
- 6月20日 - ニューズ・コーポレーションとソフトバンク、「JスカイB」計画発表。
- 9月30日 - 日本デジタル放送サービス、東経128度CSプラットフォーム「パーフェクTV!」開始。
- 12月17日 - ジェイ・スカイ・ビー株式会社(JスカイB)設立。
- 1997年12月 - 日本デジタル放送サービスとJスカイBの合併交渉開始発表。
- 1998年
- 2000年
- 6月28日 - 日本デジタル放送サービス、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ(スカパー)と商号変更。
- 9月19日 - スカパー、マルチチャンネルエンターテイメント株式会社(現・株式会社スカパー・エンターテイメント)を子会社として設立。
- 11月9日 - 株式会社ワン・テン企画設立。
- 2001年5月7日 - 株式会社ワン・テン企画が株式会社プラット・ワンと商号変更。
- 2002年
- 2003年6月2日 - スカパー、株式会社オプティキャストを設立。同社は新築やアンテナを設置できない集合住宅等向けに、スカパー!等の電波を光信号に変換して光ケーブルで伝送するオプティキャストサービス(現スカパー!プレミアムサービス光)を2004年に開始した。
- 2004年
- 2005年6月 - 携帯電話を利用した新規事業を展開するため株式会社スカパー・モバイルを設立。
- 2005年10月 - 日経平均株価の構成銘柄に採用される。元・マザーズ上場企業が日経平均株価の構成銘柄に採用されるのは、これが初めてのことであった(その後、2015年10月にディー・エヌ・エーも採用される)。
- 2006年12月 - 衛星放送業界で最大のライバル会社であったWOWOWと業務提携。WOWOWのアナログBS5チャンネルで放送されている内容をスカイパーフェクTV!で放送開始。オプティキャストが運営する(現スカパー!プレミアムサービス光)でものちに放送も開始(2007年1月から)。
- 2007年
- 2008年
- 6月27日 - 総務大臣への届出により、有料放送管理事業者となる。
- 8月21日 - JSAT株式会社は、JSAT MOBILE Communications株式会社を設立。
- 10月1日 - スカパーを存続会社として、兄弟会社の宇宙通信株式会社及びJSAT株式会社を合併、商号をスカパーJSAT株式会社へ変更するとともに、衛星放送子会社の株式会社スカパー・ブロードキャスティング、マルチチャンネルエンターテイメント株式会社(現スカパー・エンターテイメント)、株式会社eTEN(現スカパー・ブロードキャスティング)を吸収分割により、親会社である株式会社スカパーJSATホールディングスの直接の子会社とする。
スカパー!のハイビジョン放送サービス、スカパー!HDサービス(現スカパー!プレミアムサービス)を開始。 - 11月30日 - 連結子会社の株式会社インフォメーションネットワーク郡山を解散。
- 2009年2月20日 - 放送法施行規則改正により、特別衛星放送および一般衛星放送の受託放送事業者にみなされる。
- 2010年
- 2月26日 - 保有する株式会社ケーブルテレビ足立(現ジェイコム足立)の株式をジャパンケーブルネット株式会社(2014年に株式会社ジュピターテレコムと合併)に譲渡。
- 4月1日 - 完全子会社の株式会社スカパー・ウェルシンクを吸収合併。NTT東日本、NTTドコモ、NTTデータ、NTTコミュニケーションズが保有する株式会社データネットワークセンター(現スカパー・カスタマーリレーションズ)の全株式を取得し、同社を完全子会社化。
- 8月5日 - 完全子会社の株式会社スカパー・モバイルを解散。
- 2011年6月30日 - 放送法改正により、衛星基幹放送の基幹放送局提供事業者および衛星一般放送事業者に放送設備を提供する電気通信事業者にみなされる。
- 2014年4月1日 - 完全子会社の株式会社オプティキャストを合併。有線一般放送事業者ともなる。
主要事業
衛星事業
関連衛星一覧
シリーズ | 通 算 打上数 (内失敗) |
スカパーJSAT | 概 略 | |
---|---|---|---|---|
保有数 | 管制数 | |||
N-SAT-110 | 1 | 1 | 1 | 2000年に打ち上げ、運用中の日本国内向け衛星。旧JSATと旧宇宙通信が区分保有、管制業務は旧宇宙通信が担当していた。このため、JCSAT-110、SUPERBIRD-Dという別名を持っている。 |
JCSAT | 12(1) | 7 | 7 | 旧JSATから続く、日本及びアジア・太平洋地域向けシリーズ。 |
SUPERBIRD | 8(1) | 3 | 3 | 旧宇宙通信によるシリーズ。但し最後に打ち上げたSUPERBIRD C2は、スカパーJSAT成立直後の2008年10月に納入となった。 |
BSAT-3c/ JCSAT-110R |
1 | 1 | 0 | 2011年に打ち上げ、放送衛星システムと区分保有の日本国内向けBS・CSハイブリッド衛星。CS部分をスカパーJSATが保有しJCSAT-110Rと呼称、N-SAT-110をバックアップする。管制業務は放送衛星システムに委託。 |
Horizons | 2 | 2 | 0 | 旧JSATと旧パンアムサット(インテルサットに被合併)による北米向けシリーズ。2007年までに打ち上げられた2機を運用中。インテルサットとの区分保有機で、同社に管制業務委託。但しHorizons-2は軌道遷移し次のIntelsat 15と同じ用途へ変更されている。 |
Intelsat 15 | 1 | 1 | 0 | インテルサットが保有する中継器22本のうちスカパーJSATが5本区分所有し、JCSAT-85と呼称する。アジア、インド洋、中近東、ロシアなどをカバーする。 |
N-STAR | 3 | 1 | 1 | NTTグループによるシリーズ。2002年までに3機が打ち上げられ、管制業務を旧JSATが受託。運用中であるのはNTTドコモが保有していたN-STARc(2010年、スカパーJSATへ譲渡)のみ。運用を終えた2機も、運用末期に旧JSATへ譲渡となっていた。その後継機としての役割も持っているJCSAT-5Aについては運用当初から旧JSATの保有機であるが、NTTグループにおいてはN-STARdと呼称している。 |
WINDS |
1 | 0 | 1 | 2008年に打ち上げられた「きずな」の愛称を持つ宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超高速インターネット衛星。2012年に管制・運用業務受託。 |
MBSat | 1 | 0 | 1 | モバイル放送とSKテレコムが区分保有する、移動体向け放送衛星。2004年に打ち上げられ運用中。管制業務を旧宇宙通信が受託。 |
合計 | − | 16 | 14 | 本表のJCSAT、SUPERBIRDについては、N-SAT-110、BSAT-3c/JCSAT-110R及びIntelsat 15を除外した数値。 |
有料多チャンネル事業
プラットフォーム
- スカパー! - 衛星基幹放送(BSデジタル放送および東経110度CSデジタル放送)
- スカパー!プレミアムサービス - 衛星一般放送(東経124度・128度CSデジタル放送)
- スカパー!プレミアムサービス光 - 有線一般放送(光放送)
放送・番組供給
- スカパー!向けチャンネル
- スカパー・エンターテイメントによる衛星基幹放送へのみ供給している。
- Ch.BS241 BSスカパー!
- Ch.BS840 スカパー!ガイド
- Ch.CS001 e2メイト(2008年7月1日より放送休止中)
- Ch.CS100 スカパー!プロモ100
- Ch.CS800 - 802,805 スカチャン
- スカパー!プレミアムサービス向けチャンネル
- スカパーJSATが衛星一般放送事業者及び有線一般放送事業者として放送。
- Ch.200 スカパー!プロモ200
- Ch.202 スカパー!インフォ202
- スカパーJSATが有線一般放送事業者として放送、スカパー・ブロードキャスティングによる衛星一般放送へ供給。
- Ch.161 - 199 スカチャン、スカチャン3D(※スカチャン3Dは2013年3月31日放送終了)
- Ch.599 スカパー!プロモ599
- 一部番組の供給
スカパーJSATが、上記チャンネル放送分以外に放映権を得て制作するスポーツ中継番組などがあり、グループ・関連企業が編成するFIGHTING TV サムライ、J SPORTSなどのチャンネルへ番組供給している。
- 海外における放送供給
2014年2月22日、インドネシアの衛星放送・INDOVISION(英語版)にて日本のテレビ番組を放送するチャンネル「WAKUWAKU JAPAN」の放送を開始した[1]。
コンテンツ配信
- スカパー! YouTubeパートナーページ - YouTube日本版におけるプロモーション動画(無料)
- スカパー!オンデマンド - PC、スマートフォン、タブレット、スカパー!HDチューナー向けビデオ・オン・デマンドサービス
衛星通信回線提供
- スカパー!通信サービス - スカパー!のシステムを利用した映像通信サービス
映像機器販売・レンタル等
- スカパー!ダイレクト - 自社も販売元のひとつとなっているスカパー!プレミアムサービス用チューナー(以下参照)をはじめ、他社製品を含む各種映像機器・アンテナ関連製品の直販・レンタル、一般世帯向けCS受信設備の工事仲介などを行っている。
- 製品群
- スカパー!プレミアムサービス用チューナー製品
- スカパー!標準チューナー - CS-5000S(2006年)、SP-SR100H(2007年)
- スカパー!HD対応チューナー - SP-HR200H(2008年)
- スカパー!DVR(HDDレコーダー) - SP-DV100S(2007年)
- スカパー!プレミアムサービス光用チューナー製品(レンタルのみ)
- スカパー!光HD対応チューナー - SP-HR250H(2010年)
- スカパー!プレミアムサービス用アンテナ製品
- スカパー!標準アンテナ(1端子出力) - SP-AS100M(2007年)
- スカパー!2ルームアンテナ(2端子出力) - SP-AM100M(2007年)
- スカパー!・スカパー!プレミアムサービス用アンテナ製品
- スカパー!マルチ衛星アンテナ(プレミアムサービスは2端子出力、BS・110度CSは1端子出力) - SP-AM200M(2008年)、SP-AM400M(2010年)、SP-AM500M(2012年)、SP-AM600M(2013年)
- 4K・8K対応スカパー!マルチアンテナ(従前のマルチ衛星アンテナの機能に加えBS・110度CS左旋円偏波に対応) - SP-SHV100D(2017年)
- スカパー!用テレビリモコン製品
- スカパー!e2かんたんリモコン - SP-RM110U(2009年非売配布、2010年契約者限定発売)
スカパーJSAT独自ブランド製品であるSPシリーズは、末尾のアルファベットが開発協力メーカーを示している(D-DXアンテナ、H-ヒューマックス、M-マスプロ電工、S-ソニー、U-ユニデン)。なおCS-5000Sは、ヒューマックスジャパンのスカパー!用チューナーCS-5000をプライベートブランド化した製品である。
事業所等
- 横浜衛星管制センター(神奈川県横浜市緑区)
- 群馬衛星管制所(群馬県北群馬郡榛東村)
- 茨城ネットワーク管制センター(茨城県常陸大宮市)
- 山口ネットワーク管制センター(山口県山口市)
- 東京メディアセンター(東京都江東区)
- 目黒メディアセンター(東京都品川区)
- 香港支店(中国香港行政特別区)
- ジャカルタ駐在所(インドネシア共和国ジャカルタ首都特別州)
スタジオ
- 江東区新砂の東京メディアセンター内にスタジオを保有しており、BSスカパー!などで使用している。
主なグループ企業
- 親会社
- 株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ(東京都品川区)
- WAKUWAKU JAPAN株式会社(東京都港区)
- 株式会社衛星ネットワーク(東京都港区)
- 株式会社ディー・エス・エヌ - Xバンド防衛通信衛星PFI事業体
- JSAT MOBILE Communications株式会社(東京都港区)
- JSATインターナショナル インク(米国ワシントンD.C.)
- JSAT IOM Limited (英王室領マン島) - 外国政府・国際機関との協議
- 株式会社ジェイ・スポーツ(東京都江東区)
- 日活株式会社(東京都文京区)
- 株式会社エム・シー・シー (東京都文京区) - 通信衛星SUPERBIRDのXバンド中継器による電気通信
- エキサイト株式会社(東京都港区)
- ホライゾンズ・サテライト・ホールディングスLLC(米国) - JSATインターナショナルとインテルサット(旧・パンアムサット)が共同出資する持株会社
- ホライゾンズ-1・サテライトLLC(米国) - 通信衛星Horizons-3Bの運営会社
- ホライゾンズ-2・サテライトLLC(米国) - 通信衛星Horizons-3Bの運営会社
- ホライゾンズ-3・サテライトLLC(米国) - 通信衛星Horizons-3Bの運営会社
- その他の出資先
- 株式会社アイキャスト(東京都豊島区)
- 株式会社エー・ティー・エックス(東京都港区)
- 株式会社ザ・シネマ(東京都港区)
- シーエス映画放送株式会社(東京都品川区)
- 株式会社スペースシャワーネットワーク(東京都港区)
- 株式会社ハリウッドムービーズ(東京都港区) 他
過去の子会社・関連会社
現スカパーJSATの子会社・関連会社であったもの、及び旧スカパーグループのみ。
- 持株会社の直接子会社へ移行
- 株式会社スカパー・ブロードキャスティング
- マルチチャンネルエンターテイメント株式会社(現・株式会社スカパー・エンターテイメント)
- グループ内他企業へ合併または解散
- 株式会社アクティブ・スポーツ・ブロードキャスティング
- 株式会社eTEN
- 株式会社インフォメーションネットワーク郡山
- 株式会社オプティキャスト
- 株式会社オプティキャスト・マーケティング
- 株式会社サムライティービー
- 株式会社シーエス・ナウ
- 株式会社スカパー・ウェルシンク
- 株式会社スカパー・マーケティング [2]
- 株式会社スカパー・モバイル
- 日本メディアーク株式会社
- グループを離脱
- 株式会社ケーブルテレビ足立(現・株式会社ジェイコム足立)
脚注
- ↑ スカパーJSAT、インドネシアで日本チャンネル「WAKUWAKU JAPAN」開局へ(CNET Japan, 2014年1月30日)
- ↑ スカパー・マーケティングはスカイパーフェクTV!受信機器のレンタルを行っていた企業。株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズが全事業を引き継ぎ解散。主要株主は株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ51%、JSAT株式会社49%であった。
関連項目
- 日本における衛星放送
- スカパー! チャンネル一覧
- スカパー!アワード
- スカパー! ドラマティック・サヨナラ賞
- スカパー・モバイル
- 衛星ネットワーク - アップリンク業務を担当
- スカパー・カスタマーリレーションズ - 顧客管理業務を担当
- 日本プロサッカーリーグ - 2007年から10年間、オフィシャルブロードキャスティングパートナーを務めていた。「DAZN」を展開するパフォーム・グループに次の優先権を奪われたことで最終的にリーグ放送から撤退(ただし、YBCルヴァンカップや天皇杯の中継は継続される予定)。
外部リンク
- スカパーJSAT株式会社 (日本語)
- 衛星放送のスカパー! (日本語)
- プレミアムサービス (日本語)
- プレミアムサービス光 (日本語)
- スカパーJSAT㈱の概要と事業環境について 2013年4月11日 宇宙政策委員会説明資料