ジャンル
ジャンル(フランス語: genre)とは、芸術表現群をある一つの側面から客観的に分類したものをいう。分類の基準として用いられるのは作品であることが多いが、その内実は多様である。また、「女流文学」のように作品ではなく作者の特徴を基準としたものもある。体系として広く共有された形では存在しないため、使う人によって「SF映画」などのジャンル名の判断基準が異なっていたり、複数のジャンル間で重複があったりすることもしばしばである。
より狭義には、文学などでは、テーマやスタイルにまつわる作品の特性を基準として作品を分類するカテゴリーを特にジャンルと呼ぶ。この意味では作品の出資者の国籍、作者の性別や国籍などといった基準による分類カテゴリー「女流文学」「ラテンアメリカ文学」などはジャンルではないということになる。
「戦争映画」「西部劇」なども、カテゴリー名としては題材や舞台についての限定を与えるだけで、主題、スタイルについては必ずしも特定しない。
但し、「ハリウッド映画」が名称上は単に映画の製作会社の本拠地を限定しているだけのものでありながらも、実質的には主題やスタイル上の特徴(ハッピー・エンディングであること、実験的な手法を避ける傾向にあること、娯楽性を重視すること、作品が「映画」であることを強調せずある種「自然な」感じのする映像表現を多用すること、など)を含意しているカテゴリーもあるため、特定の分類用語をとりあげてそれがジャンル名であるか否かを決めようとすると困難にぶつかる場合もある。
比較的長い期間、人々に用いられているジャンルがある一方、(例えば少なくとも古代ギリシア時代にまで遡ることのできる「悲劇」)時代の変化を捉えるべく新しいジャンル名が提案され、普及することもある。
映画については、あるジャンルに固定できる映画は多くはない。公開時(放送、リリース時)のセールスの仕方に従っているのが通例である。