シルバーウィーク
シルバーウィーク、シルバーウイーク(和製英語: Silver Week, SW)とは、日本の秋の休日が多い期間のこと。ゴールデンウィークに対する言葉。
分類
シルバーウィークの定義は以下のものがある。
- かつて、1950年代、映画界によって作成・提唱された、文化の日を中心とした一定期間を指す宣伝用語。
- 9月または10月末 - 11月に祝祭日が多い大型連休の通称。
- 日付の並びなどで2009年に初めて発生した、9月の大型連休。
- 2007年に当時の与党で検討された、現行の祝日の日付を移すことで10月末から11月初旬に構想された大型連休。
定義
1950年代における映画界発祥の用語
日本の映画会社、大映の専務によって1950年代前半に作成され同社によって提唱された、4月末から5月初めの大型連休の呼称「ゴールデンウィーク」と同様に、同じ松山英夫が作成し同社によって提唱されたものである[1][2][3]。同社は秋の文化の日を中心とした期間[1]を「シルバーウィーク」と名付け宣伝を行った[1]。なお、ごく一部の文献では、シルバーウィークの期間を「11月下旬の勤労感謝の日の前後」としているものもある[4]
9月の大型連休
2009年、2015年 | ||||||
9月 | ||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
ハッピーマンデー制度により本来9月15日だった敬老の日が9月第3月曜日となった。また、1985年12月27日には国民の祝日に関する法律(祝日法)に、「その前日及び翌日が『国民の祝日』である日(日曜日にあたる日及び前項に規定する休日にあたる日を除く。)は、休日とする。」という改正がなされた。
そのため、秋分の日になる太陽の秋分点通過日が9月21日・22日・23日のいずれかで、かつ水曜日だった場合、その2日前が必ず9月第3月曜日なので敬老の日となり、その両日に挟まれた火曜日が国民の休日となる。この結果、日曜 - 水曜日が4連休、土曜日を休日として扱うと5連休となる。なお、秋分の日は9月24日になる可能性もあるが、この日が水曜となった場合の第3月曜は22日ではなく15日なので、4(5)連休にはならない。
なお、秋分点通過日は海上保安庁の暦計算により確定し、秋分の日の日付(秋分日)は国立天文台による天体観測に依存するため、前年2月1日の官報で発表されて初めて正式な日付となる。詳細は「暦要項」を参照。
現行法では恒久的な連休ではなく、2009年・2015年の次は2026年までこの大型連休は出現しない見込みである。
この時期を「シルバーウィーク」と呼称するのは「ゴールデンウィーク」に類似する要素があることから[5][6][7][8][9]とされた。シルバーが老年世代の意味も含むことから、敬老の日を含む連休という意味もある。2000年代中盤でもその動きがあった[3]。
2008年11月、三菱電機ビルテクノサービスが「2009年カレンダーについての調査」を同社公式サイトで行い[10]、その中で「2009年9月(の連休)に名前をつけるとすれば?(回答方法:フリーアンサー)」という設問があり、「シルバーウィーク」が1位となった[10]。この結果がテレビやインターネットなどで報道され[11]、国内外ツアーを企画する旅行代理店などがこの言葉を使い始め[12]一気に定着した。
NHKや一部の民放、新聞などは「ゴールデンウィーク」については、言葉が映画業界用語だったことから、NHKで禁止されている業界の宣伝(放送法第83条(広告放送禁止規定)に抵触する)になることや、年配者に分かりづらいという理由などで、単なる「(春の)大型連休」という表現で統一している。この「シルバーウイーク」についても同様に、「(秋の)大型連休」への表現差し替えが行われている。春の大型連休や旧盆、年末年始はJRの特別企画乗車券の利用制限がかかるが、秋の大型連休には利用制限がない。
2004年5月5日放送のフジテレビ系列『トリビアの泉 〜素晴らしきムダ知識〜』では、「2009年は秋にもゴールデンウィークがある」とのトリビアが紹介されていた。その際、司会の八嶋智人は「5年先のことのため、それまでに祝日法が改正されたり地球の動きが変化し『秋分の日』がずれた場合暦は変わるが、今まで計算が狂ったことは1度もないので、祝日法が改正されなければ、2009年9月にはゴールデンウィークが来る」と説明していた。
毎年連休というわけでない希少性から「プラチナウィーク」、「(黄金週間に対比して)白金週間」と呼ばれることもある。
現行の祝日法の規定が変わらないと仮定した場合に、2099年までに該当するのは
- 9月19 - 23日のパターン
- 9月18 - 22日のパターン
の各年であると予測される。
なお、秋分の日が9月21日または22日で、かつ火曜日の場合、前日が第3月曜の敬老の日となる。この場合、国民の休日は無いものの、日曜・敬老の日・秋分の日と日曜・祝日が3日続くため、3(4)連休でのシルバーウィークとなる。最初の適用年は2020年である。
この他にも2020年には、7月23日(木)から26日(日)にも2020年東京オリンピックの開会式が予定している関係で、海の日・スポーツの日・土曜・日曜と土曜・日曜・祝日が4日続くため、夏の4連休でのシルバーウィークとしても用いられることもできるため、2020年には4連休以上が3回発生することとなる。
10月末 - 11月頭の大型連休
2007年5月、当時自公連立政権の自由民主党と公明党との間で秋に大型連休を作る構想があり、体育の日を11月1日に、勤労感謝の日を11月5日に移すことで、11月3日の文化の日と合わせて挟まれる11月2日、4日を「国民の休日」とし、11月に最低でも5連休とする提案が検討された[13]。この案では、曜日配列によって最小5連休、最大9連休が実現する可能性があった。
しかし、景気対策が狙いのこの構想に対して、勤労感謝の日が宮中祭祀で最重要とされる新嘗祭に由来するものであること、さらに直接的なつながりはないものの、1873年(明治6年)から続く最も歴史のある日本の祝日であり(固定日のものとしては唯一)、全ての年齢層に定着していることから、自由民主党内では保守派を中心に「祝日の本来の意味が失われる」と移動案に反発論が続出した[14]。
調査会社の中央調査社が2007年10月に全国の20歳以上の男女1347人から回答を得た調査では、全体の63%がこの構想を「取り入れない方がよい」という結果となった[15]。
他にも、10月に祝日分を集約し月火水か水木金を休日として、土日と合わせて5連休とする案を民主党が2012年に検討した[16]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 ゴールデンウィーク 語源由来辞典
- ↑ NHK放送文化研究所「『ゴールデンウィーク』『大型連休』どちらを使う」
- ↑ 3.0 3.1 休みが増える、昭和の日…GWここが変った All About 暮らしの歳時記 2007年4月19日
- ↑ 参考:小林信彦『物情騒然。人生は五十一から』文藝春秋、2002年、p91-p92。
- ↑ シルバーウィーク コトバンク
- ↑ シルバーウィーク(マネー用語辞典)
- ↑ ゴールデンウィーク・シルバーウィーク Yahoo!ニュース
- ↑ シルバーウィークまとめ(e-まちタウン)
- ↑ 「シルバーウィーク」認知広まるか 9月に出現した5連休に注目じわり MONEYzine 2009年7月19日
- ↑ 10.0 10.1 2009年カレンダーについての調査報告書 - 2009年秋の大型連休の名前は? シルバーウィーク!! 三菱電機ビルテクノサービスニュースリリース 2008年11月28日
- ↑ 時事通信 2008年12月16日「来年9月に大型連休=5日間の『シルバーウイーク』? - 知っている26%」
- ↑ シルバーウィーク(金融経済用語集)
- ↑ 読売新聞 2007年5月15日配信記事「秋のGW『文化の日』前後に…与党検討へ」
- ↑ 産経新聞 2007年5月19日配信記事「秋のGW与党調整 『体育の日』+『文化の日』妥協案」
日刊ゲンダイ(Yahoo!ニュース・livedoorニュース) 2007年5月22日「秋のGW構想早くもオジャン」 - ↑ 時事通信 2007年11月22日配信記事「連休増、女性がより否定的=秋のGW、6割が反対-中央調査社」
- ↑ 10月に5連休案 休日増えると消費は伸びるの? 2012/10/9 6:30 日本経済新聞