サングラス

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ファイル:B&W girl portrait with sunglasses.jpg
サングラスをかけた女性

サングラス英語: sunglasses)とは、日差しや強い照明から眼を守るために着用する保護眼鏡のこと。眩しさや紫外線などを低減するために着用する。白人は、日光から健康被害を受けやすいため、瞳を日光から守るという健康上の理由でよく使う。オゾンホールの影響で紫外線が強いオーストラリアニュージーランドなどでは、児童がかける事も珍しくない。目元が隠れるという付随効果もあり、19世紀末の書籍によれば、盲人が視力を失っただけでなく見た目にも見苦しくなった目を隠すためにサングラスを着用することは当時から一般的であった[1]

黒眼鏡色眼鏡グラサンなどとも言う。黒眼鏡の語は、年配の世代で用いられることが多い。なお、色眼鏡は、「予断」「偏見」「先入観」の比喩として用いられることもある。

なお、日本では家庭用品品質表示法の適用対象とされており、雑貨工業品品質表示規程に定めがある[2]

概要

サングラスの起源は明らかでない。古代ローマ皇帝ネロ(在位54~68)も円形闘技場の催しを観戦する際にエメラルドのレンズを入れた眼鏡を使っていたとされる。また、12世紀頃の中国では、スモーキークォーツを使用したものを裁判官が着用していた。最初の安価な大量生産品は、1929年(昭和4年)にアメリカ人事業家のサム・フォスターによってもたらされた。

黒っぽい色がついているものが主で、マジックミラーを用いたもの(ミラーグラス)もある。外から不透明に見えるものがサングラスに分類されることが多く、黒っぽくない色や透明度が高いものは伊達眼鏡に分類されることもある。

偏光フィルターを用いたものは偏光グラスと呼ばれ、水面や雪面で反射して来た光を選択的に反射でき、スポーツ釣りなどの際に使用される(波からの反射を防ぐので水中が見通せる)。基本的にミラーグラスでもあるが、反射防止コートにより反射を軽減させたものもある。

日本の雑貨工業品品質表示規程ではサングラスの規格を「屈折力がいかなる経線においてもマイナス〇・一二五ディオプトリから〇・一二五ディオプトリまでの範囲内であり、かつ、任意のいかなる二経線間の屈折力の差が〇・一二五ディオプトリ以下であって、平行度が〇・一六六プリズムディオプトリ以下のもの」[2]としている。さらにはサングラスの項に掲げる区分に該当するもののうち、偏光度が九十パーセント以上であるもので偏光軸のずれが十五度以下であるものを「偏光サングラス」と定義している[2]

色が濃いほど紫外線を低減する能力が高いとは限らない。透明でもUVカット加工を施した眼鏡がある。色が濃く視界が暗いと瞳孔が開き、サングラスと顔の隙間から入った紫外線が眼球内に届きやすくなるため好ましくないともされるが、この言説に対しては、屋外の太陽光は濃いサングラス越しでも瞳孔を閉じさせるに十分だし、顔とサングラスの隙間から紫外線が入るのならば、同じ隙間から入る可視光線で瞳孔が閉じるので、現実にはほとんど心配する必要はないとする反論もある[3]。眼鏡の専門学校であるワールド・オプティカル・カレッジの提供するサイトでは、濃いサングラスをかけると薄いサングラスをかけるより僅かに多い紫外線が眼に入る可能性があるが、勘違いしてならないのはそれでもサングラスをかけていないときよりは圧倒的に紫外線が減ることだとしている[4]

そもそも紫外線をカットすることが眼に良いことかを疑う声もある。紫外線に近い可視光線であるバイオレットライトに近視の進行を抑制する効果が確認されたことから、眼鏡や窓ガラスの紫外線カットは波長の近いバイオレットライトまでカットしてしまい近視を招くとするものである[5]。さらには、紫外線そのものに近視抑制効果があるとする説もある[6]

なお、日本の雑貨工業品品質表示規程では「サングラス」の規格を満たさないものは「ファッション用グラス」に区分している[2]

派生的な用法

本来は外出時に着用されることを想定した製品だが、目元が隠れるという付随効果があるため、失明により視線が定まらなくなり周囲に不気味な印象を与えるようになった人が視線を隠す目的で、あるいは目元に傷を負っている人が患部を隠す目的で、夜間や屋内であっても着用したまま過ごす場合もある。また、目元を隠すことで人相を判別しがたくしたり見る者に威圧感を与えたりできるので、日本では著名人が他人の注目を集めたくない場面で掛けることも多い。マスメディアに登場する際に常にサングラスを着用する著名人の場合は、プライベートではサングラスを外すことでその人物であることに気づかれなくなり、注目を避けることができる。映画漫画ゲームでは、盲人ヤクザマフィアの記号的な表現としてサングラスを着用した人物が設定される例が多い。

特殊なサングラス

度つきサングラス
屈折異常矯正用に、レンズに屈折度がある眼鏡機能を併せ持つサングラス。
ミラーグラス
マジックミラーを使い、透過光以外を反射させるサングラス。
調光サングラス
光によって濃度が変わる調光レンズを使ったもの。明るい場合レンズ色の濃度が増して眩しさを押さえ、暗くなればほぼ透明になるのでサングラスをかけ外しする手間が省ける。多くの調光レンズは紫外線に反応して濃度が変わる。自動車の前面ガラスは1987年以降、事故時の飛散防止の副産物として紫外線カットされているので、紫外線反応タイプの調光レンズは運転時の防眩用としては不向きである。このような欠点に対処するため、可視光線に反応するタイプの調光レンズも出てきている。調光レンズの調光性能は経年劣化する。2年ほどでほとんど調光しなくなってしまうものもある。
ラップアラウンド型(ラップ型)
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ラップアラウンド型
顔を覆うように、横幅が広く顔面に沿って曲がっているサングラス。幅広のレンズ(通常プラスチック製)を使ったものと、左右に不透明のカバーを伸ばしたものとがある。横から光が入り込まないようにすることでレンズ裏に斜め後方の風景や自分の顔が映りこみ視界を妨げるのを防ぐ効果や、正面からだけでなく横からも目元を隠す効果がある。
エスキモーのスノーゴーグル
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エスキモーのゴーグル
半透明の素材を使うかわりに、木の板に薄い覗き孔を空けている。
オーバーグラス
眼鏡着用者が眼鏡の上から掛ける、保護眼鏡風の大型のサングラス。
パソコン用眼鏡(PCメガネ)
パソコン携帯電話などの液晶ディスプレイからの光には、高エネルギー可視光線が多く含まれ、目が疲れやすいとされる。その目の疲れを軽減させる目的で、ブルーライトだけを反射もしくは吸収するレンズを採用した眼鏡のこと。
天体望遠鏡用サングラス
天体望遠鏡接眼レンズとして太陽日食の観測に使われたサングラス。長時間見続けるとレンズの破損のおそれがあるため、安全面の配慮から現在は製造されておらず[7]、減光用のNDフィルターが用いられている。

有名なメーカー

  • レイバン - 紫外線カットのサングラスで知られるブランド。
  • ペルソール - 世界で初めて強化ガラス(Temperred lens)やUVカットレンズを採用した。
  • オークリー
  • 山本光学 - 1911年創業。スワンズブランドで光学レンズ、サングラスを生産、販売している。

サングラスにまつわる逸話

  • 各国の政治家の報道写真や映像において、その人物に「独裁者」といったネガティブなイメージを加えて伝えられる際に、サングラス姿である場合が多い。例:朴正煕ピノチェトパーレビサッダーム・フセイン金正日等。またヤルゼルスキがサングラスを着用していたのは視覚障害のためであったが、1981年に戒厳令を敷いた際にはサングラス姿の写真・映像が同様の意図で用いられた。
  • セキュリティポリスシークレットサービスなどの警護官は、警護対象者が浴びるマスコミのカメラによるフラッシュや日光によって目を眩ますことのないように、しばしば着用する。なお、シークレットサービスといえば「スーツにサングラス」のイメージが一般的だが、シークレットサービスによる公式のFAQでは、いつもサングラスを掛けているわけではない、との説明がなされている。
  • 野球選手が屋外球場のデーゲームの守備時に太陽の眩しさで捕球に支障を来さないように着用することも多い。こちらはアイウェアとも呼ばれる。スポーツモデルなので非常に軽い上、激しい動きをしても落ちにくいようになっている。
  • 公の場で常にサングラス姿の著名人も多い。有名なところではタモリ浜田省吾鈴木雅之井上陽水桜井賢THE ALFEE)、サンプラザ中野くんみうらじゅんChageCHAGE&ASKA)、スガシカオATSUSHIEXILE)、村上てつやゴスペラーズ)、黒田俊介コブクロ)、m-floDJ KOOtrf)、宇多丸などが挙げられる。彼らの場合、ファッションではなく、ある種のキャラクター・アイテムとして着用していると言える。多くの著名人は既存ブランドのサングラスだが、哀川翔白竜など自らサングラスをデザイン、ブランド化し、テレビや映画で着用するケースもある。
  • 東京都江東区豊洲にあるセブンイレブン1号店で最初に売れた商品は800円のサングラスだった。
  • 寺尾聰は「西部警察」に出演した時素顔のシーンも多いがサングラスを掛けるシーンが多い。

脚注

関連項目