ゴジラvsビオランテ
ゴジラvsビオランテ | |
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Godzilla vs. Biollante | |
監督 |
大森一樹(本編) 川北紘一(特撮) |
脚本 | 大森一樹 |
製作 | 田中友幸 |
出演者 |
三田村邦彦 田中好子 高嶋政伸 小高恵美 沢口靖子 峰岸徹 金田龍之介 高橋幸治 |
音楽 |
すぎやまこういち 伊福部昭(ゴジラテーマ曲) |
撮影 |
加藤雄大(本編) 江口憲一(特撮) |
編集 | 池田美千子 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1989年12月16日 |
上映時間 | 105分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 10億4000万円 |
前作 | ゴジラ |
次作 | ゴジラvsキングギドラ |
『ゴジラvsビオランテ』(ゴジラたいビオランテ、または、ゴジラ ブイエス ビオランテ)
1989年12月16日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第17作である。観客動員数は200万人、配給収入は10億4000万円。
キャッチコピーは「超ゴジラ それはゴジラ細胞から生まれた」「正月映画日本代表」「勝った方が人類最大の敵になる」など。また宣伝イラストでは人差し指を立てたディフォルメされたゴジラのイラストに「'90正月映画No.1宣言!」と書かれたものがある。
入場者プレゼントはゴジラスタンプ(全4種)[1]。
概要
平成ゴジラシリーズの原点となる前作『ゴジラ』(1984年)の直接の続編。平成VSゴジラシリーズの第1弾でもある。
当初の仮題は『ゴジラ2』。原案を一般公募で募集した結果、特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』の第34話「許されざるいのち」の原案者・小林晋一郎の作品が採用された[2]。バイオテクノロジーをテーマにしている点や、同話に登場する合性怪獣・レオゴンと同様に植物と動物の融合怪獣・ビオランテがやはり芦ノ湖に出現するなど、本作には共通する要素も多い。なお、公募された候補のもう一つは、ゴジラが巨大コンピュータと戦い、それが戦車もどきのメカになるという案であったが、先行公開されていた特撮ロボット映画『ガンヘッド』が興行的に不振だったことが影響し、却下されている[3]。
原案公募だけでなく、特技監督に川北紘一、脚本と監督には『ヒポクラテスたち』などの大森一樹、音楽に「ドラゴンクエストシリーズ」などのすぎやまこういちを起用するという、それまでの怪獣映画にない新たな息吹を取り入れようとした意欲作でもある[2][注 1]。また、劇中で伊福部昭の楽曲が久々に使用されている(アルバム『OSTINATO[注 2]』より「ゴジラ・タイトル」、「ゴジラ対特車隊」、「怪獣大戦争マーチ」の3曲を流用[4])。
本作は、以降のVSシリーズでメインキャラクターとなる超能力者・三枝未希の初登場作品でもある。演じる小高恵美は東宝シンデレラ第2回グランプリであり、第1回グランプリの沢口靖子演じる英理加が冒頭に死亡して彼女の場面に移る展開は、第1回から第2回への女優のバトンタッチを意識した演出となっている。また、ミニチュアセットで市街地すべてを再現した最後のシリーズ作品でもあり、次作『ゴジラvsキングギドラ』以降はCGによる描画が増えていくこととなる[5]。
映画の展開はいわゆる子供向け怪獣映画とは一線を画しており[注 3]、ゴジラとビオランテの対決よりも「ゴジラ対自衛隊」のそれに軸足を置いている。ゴジラ(略して「G」と呼称)は「特殊災害」と規定され、4段階の警戒態勢が設けられている。放射能熱線を反射して対抗できる「スーパーX2」や、ゴジラのエネルギー源である核物質を食べるバクテリアから作られた「抗核エネルギーバクテリア」 (ANEB) など、先端技術を投入して開発された対G用の超兵器に加え、未希の超能力も自衛隊の戦力として運用されている。劇中に登場する自衛官は役者(エキストラ)だが、登場する自衛隊車両(ジープ・73式大型トラック・自走砲・戦車など)はすべて現役の自衛官が操縦していた[注 4]。
作品内容については完成度の高さが評価されたが、興行収入は前作を下回った[6][7]。この結果を受け、次作以降は新怪獣ではなく人気怪獣を再登場させ、内容もエンターテイメント性を重視したファミリー向け娯楽路線に方針変更されることとなった[6][7]。
脚注
注釈
- ↑ 全体を通して絵コンテは川北が最初に書き上げ、それに沿って創られた映画だったという。
- ↑ 伊福部が作曲した特撮映画音楽をオリジナル・スコアを使用し、ステレオ録音したもの。1986年に『東宝特撮未使用フィルム大全集』のサウンドトラックとして初版された。
- ↑ プロデューサーの田中は原爆や核に続き、遺伝子工学や科学が人類の脅威になると考えており、1作目の核のように時代性を盛り込むことで作品の娯楽性につなげる狙いから大人向きの映画を志向した。
- ↑ 民間の敷地を利用して撮影したシーンも含まれ、燃料などの必要経費は現物支給とはいえ自衛隊側も訓練環境の変化に伴い、この規模の自衛隊車両の運用は現在では不可能だという。自走砲や戦車などは富士総合火力演習・駐屯地創立記念祭や航空祭などの映像も流用しているとはいえ、撮影当時はともかくとして現在ではこの規模の協力は得られないだろうと、監督らによるオーディオコメンタリーで言及されている。
出典
- ↑ 平成ゴジラパーフェクション 2012 p.20 「Memories of ゴジラVSビオランテ」。
- ↑ 2.0 2.1 東宝特撮映画大全集 2012, pp. 220 - 223
- ↑ 冠木新市『ゴジラ・デイズ』集英社文庫、1998年、p371。
- ↑ “サウンドトラック>ゴジラ”. 東宝ミュージック. . 2015閲覧. ゴジラ・サウンドトラック・パーフェクトコレクション BOX4, BOX5
- ↑ 【銀幕裏の声】ゴジラ関西へ上陸!(下)「最大の魅力は都市破壊の映像表現」大森一樹監督が語るミニチュアセットの臨場感(3/4ページ) - 産経WEST
- ↑ 6.0 6.1 平成ゴジラパーフェクション 2012, p. 147 「ゴジラVSキングギドラのポイント」。
- ↑ 7.0 7.1 東宝特撮映画大全集 2012, p. 227