コペルニシウム

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コペルニシウム[1]: copernicium)とは原子番号112の元素で、元素記号Cn である。超ウラン元素超アクチノイド元素のひとつ。2010年2月19日に正式な英語名が発表された[2]

概要

正式名称が決まるまでは、IUPAC系統名ウンウンビウム: ununbium, Uub)と呼ばれていた。周期表水銀の1マス下に位置するので、メンデレーエフの命名法に倣って「エカ水銀」とも呼ばれた。

1996年2月9日ドイツにおいて実験によって発生が確認されたと発表された。周期的な特性からみると液体の金属で、水銀よりも蒸発しやすいものであると考えられている。

確認されている最も長命な同位体は半減期29秒のコペルニシウム285である。ただし 289Fl のα崩壊で生成するコペルニシウム285では半減期8.9分と報告されており、より長命な核異性体の存在が示唆されている。同様にコペルニシウム283は半減期4秒だが、約5分という実験結果もある。

同位体に関しては、コペルニシウムの同位体を参照。

歴史

1996年2月9日[3]ドイツダルムシュタット重イオン研究所 (GSI) が、亜鉛70原子核を重イオン加速器鉛208に衝突させて2つのコペルニシウム277の原子核を合成した。

[math]\,^{70}_{30}\mathrm{Zn} + \,^{208}_{\ 82}\mathrm{Pb} \to \,^{278}_{112}\mathrm{Cn} ^{*} \to \,^{277}_{112}\mathrm{Cn} + \,^{1}_{0}\mathrm{n}[/math]

その後2000年2004年にロシアのドゥブナ合同原子核研究所2007年理化学研究所の仁科加速器研究センターで追試に成功している。

2009年国際純正・応用化学連合 (IUPAC) より正式に新元素と認定された[4]。発見者のGSIは「私たちの世界観を変えた傑出した科学者」であるコペルニクスにちなんで[5]、“copernicium” という名称を提案し[6]、コペルニクスの誕生日である2010年2月19日にIUPACから正式名称として発表された。

脚注

  1. 「コペルニシウム」は報道などでの使用が先行していた和名であったが、日本化学会により日本語名称として決定された。
  2. Terrence Renner (2010年2月20日). “News: Element 112 is Named Copernicium”. IUPAC. . 2015閲覧.
  3. 9月の説もあり。
  4. Barber, R. C.; Gaeggeler, H. W.; Karol, P. J.; Nakahara, H.; Vardaci, E.; Vogt, E. “Discovery of the element with atomic number 112” (IUPAC Technical Report). Pure Appl. Chem., 2009, 81, 1331-1343. DOI: 10.1351/PAC-REP-08-03-05
  5. 勝田敏彦 (2009年8月24日). “112番目の元素認定 命名候補「コペルニシウム」”. Asahi.com (朝日新聞社). オリジナル2009年8月27日時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/20090827104320/http://www.asahi.com/science/update/0824/TKY200908240040.html . 2009年8月24日閲覧. 
  6. “'Copernicium' proposed as name for newly discovered element 112” PhysOrg.com, 2009年7月14日