ゲータレード
種類 | スポーツドリンク |
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製造元 |
クエーカーオーツカンパニー ペプシコ サントリーフーズ(日本のみ) |
発祥国 | アメリカ合衆国 |
販売開始 | 1965年 |
ゲータレード(Gatorade)は、アメリカのストークリー・ヴァンキャンプ社(現在はペプシコ傘下)が製造・販売する清涼飲料水。スポーツドリンクの草分け的存在として知られる。日本では2015年までサントリーフーズがライセンス契約を結び、製造・販売を行っていた。
現在日本では生産されていないが、世界70か国以上で愛飲されており、2016年現在もスポーツドリンクの世界シェア1位である。
Contents
歴史
ゲータレードは1965年に、フロリダ大学のアメリカンフットボールチーム「フロリダ・ゲーターズ」(Florida Gators)のために、同大学の医学・生理学者ロバート・ケード博士によって開発された。ゲータレードという名称は、チーム名と「エード」(ade:レモネード(lemonade)等、飲料の意)の合成語である。ゲーターズは、1967年にゲータレードを公式に使い始めたが、その年、初めてオレンジボウルに進出して勝利するというめざましい成績を上げた。
ケード博士はこの飲料に関する権利をフロリダ大学に譲渡しようとしたが、大学側が応じなかったため、1968年に製造権がストークリー・ヴァンキャンプ社に委譲された。その後同社はクエーカーオーツカンパニーに買収されたが、クエーカー・オーツが2000年12月にペプシコに買収されたため、現在はペプシコ傘下のブランドとなっている。
ゲータレードの製法に関する権利を巡っては、ケード博士、ストークリー・ヴァンキャンプ社とフロリダ大学との間で裁判まで起きる事態になったが、この係争は1973年に解決し、フロリダ大学はそれ以来、累計で1億5千万ドルを超えるロイヤルテイを受け取っている。
日本における歴史
日本では1970年4月に大正製薬が導入して販売を開始。当初の製品はスクリューキャップを使用した250ミリリットルガラスびん入りのものと粉末タイプであった。だが大正製薬はわずか1年で撤退。その後、販売権は日本アイソトニックが取得したが資金難に陥り、当時サッカニーシューズを輸入していたスポットビルト(アジア)がアイソトニックを吸収し販売は継続された。
スポットビルトは改めて米国ストッコリーバーンキャンプ社とライセンス契約を結び、得意とするスポーツ用品店ルートを使い、ユーザーが水に溶いて飲む粉末スタイルを浸透させることで爆発的な人気を得た。スクイーズボトル(水筒)をはじめ色々なノベルティーグッズが小中学生のファションとなり、スポーツ飲料マーケットを独占的に作り上げた。しかしさらなる拡大を希望するアメリカサイドとの意見が合わず、商権は雪印食品→雪印乳業(現雪印メグミルク)に移ったが、缶や瓶入りに商品を変えたことが原因で流通コストがかかり苦戦することになってしまった。しかも、それに追い打ちをかけるように大塚製薬が発売したポカリスエットがマーケットに登場すると、市場の主役はポカリに移った。苦境を打開すべく1998年にはポッカコーポレーション(現:ポッカサッポロフード&ビバレッジ)と提携し、ポッカの自販機網でも販売されるようになったが、日本コカ・コーラのアクエリアスというライバルまで現れ、販売は縮小した。
2000年に発生した雪印集団食中毒事件の影響で雪印からの発売は事実上終売となった後、スポーツドリンク分野において強力なブランドを欲していたサントリー(現・サントリーホールディングス)がペプシコ社から日本におけるマスターフランチャイズ権(マーケティング及び製造販売総代理権)を2004年1月に取得[1]し、同年3月に装いも新たに「ゲータレード エクストラ」として発売を再開した。当初は500mlペットボトル(広口キャップ採用)と2Lペットボトルの2サイズだったが、スポーツユーザーや若年層の要望に応える形で同年6月には中間サイズの900mlペットボトルを追加、2005年3月には発売当初から販売を望む声に応え、1L用パウダーを追加。同年5月にはボトル製品をリニューアル。後口をよりよくするとともに、エネルギー代謝をサポートするビタミンB群を増量した。
2006年3月のリニューアルで商品名を「ゲータレード」に変更。ブルー基調のパッケージに変更するとともに、500mlペットボトルは25ml増量して525mlとなった。また、同年4月からは2Lペットボトルに「ゆびスポットボトル」を導入した。2007年5月のリニューアルでは鉄(Fe)を新たに配合。容量を元に戻した500mlペットボトルは新形状の「トルネードスピードボトル」を採用。900mlペットボトルは容量をアップして1Lとなった。
2007年7月にはシリーズ製品としてアメリカなどで発売されている「Propel(プロペル)」を日本向けの味わいに変更した「ゲータレード フィットネスウォーター」を発売。ビタミンB6・ナイアシン・カルシウムを配合し、カロリーゼロを実現した。
2008年4月のリニューアルではマルトデキストリンを使用することで、甘みを抑えよりすっきりとした味わいに改良し、商品名を「ゲータレード トリプルチャージ」に改名。リニューアルにより1Lペットボトルを廃止した。
2009年5月のリニューアルでは「エネルギーinスポーツドリンク」のコンセプトを掲げ、商品名を「ゲータレード」に戻して全面刷新。複数の炭水化物とグルタミン酸を配合し、甘さを低減。液色もこれまでの無色からオレンジ色に変更した。2010年4月のリニューアルでは液色を元の無色に戻り、パッケージをリニューアル。また、ボトルタイプのサイズラインナップを500mlペットボトルのみとし、1L用パウダーを2年ぶりにリニューアルした。2011年4月のリニューアルではよりスッキリとした味わいに改良した(なお、1L用パウダーは東日本大震災の影響により、当初の予定から約1か月遅れの同年5月発売)。
2012年5月には「ゲータレード」ボトルタイプとの入れ替えで、異なるエネルギー源を配合した「ハイブリッドエネルギー」によってエネルギーを時間差で補給するとともに、発汗によって失われる4種のミネラルも配合した走る人に向けたスポーツドリンク「ゲータレード ラン」を発売した。
2013年5月に「ゲータレード ラン」をリニューアル。従来のライムグリーン基調からブルー基調にパッケージデザインを変更し、ボトル形状も変更した。
2015年、サントリーによるライセンス生産が終了した。
ゲータレードシャワー
NFLを始めとするアメリカンフットボール界では、リーグ優勝などの節目において、本来選手の水分補給用に置かれているスポーツドリンクのタンクの中身をチームのヘッドコーチの頭上にぶちまけて優勝を祝う行為が広く行われており、これを通称「ゲータレードシャワー」(Gatorade Shower)と呼ぶ。タンクの中身はゲータレードとは限らないが、米国内ではゲータレードがスポーツドリンクの代名詞といえるほど普及していることに加え、特にNFLではゲータレードが試合中のオフィシャルドリンクに指定されていることから[2]、この名称が定着している。
NFLのプレーオフやスーパーボウルは1月から2月にかけて行われるため、開催地によっては気温が零下となることも珍しくない(その上、タンクには氷も入っている)が、そういった場合でもゲータレードシャワーはほぼ例外なく行われる。ちなみにNHKのNFL中継においては商品名が使えないため、ゲータレードシャワーのことを「スポーツドリンクシャワー」と呼ぶことが多い。
近年はバスケットボール界などにも広がりを見せており、NBAでも2007-2008シーズンにボストン・セルティックスのエースであるポール・ピアースが、優勝を決めたゲームの終盤でヘッドコーチのドック・リバースにタンクのスポーツドリンクをかけ、リバースのシャツはピンクに染まっていた。ただし屋内スポーツの場合、ドリンクをぶちまけた後の清掃作業がどうしても大掛かりになってしまう問題があるため、アメフト界ほど定着はしていない。
また、MLB、近年は日本プロ野球の試合でもサヨナラ勝ちやヒーローインタビューの時に行うことがある(ただし、日本ではゲータレードがアメリカほどメジャーでないので「ゲータレードシャワー」と言わないことが多い。また、NPBではタンクごとかけることは少なく、大抵は500mlペットボトルの水をかけることが多い)。MLBでの「ゲータレードシャワー」の様子が「野球好きニュース」(J SPORTS)で放送されたが、その時「スポーツドリンクシャワーと言うこともありますが、正しくはゲータレードシャワーです」とナレーションを入れていた(前述のようにNHKでは商品名を使えないことへの皮肉)。MLBでのヒーローインタビュー時のゲータレードシャワーではインタビュアーがインタビューを受ける選手の巻き添えになることがよくある。
エルヴィス・プレスリー
エルヴィス・プレスリーが好んで飲んでいた。1970年代は主にラスベガスなどの乾燥した地域でライブを行っていたため、いわゆる「ベガス喉」になってしまうのを防ぐために好んで飲んでいた。エルヴィスは「これはゲータレードです。つまりワニ('gator)用の飲み物です。」と語った。
脚注
- ↑ 「ゲータレード エクストラ」新発売 - サントリー株式会社 ニュースリリース 2004年1月20日(2012年5月8日閲覧)
- ↑ NFLとペプシコが大型スポンサー契約 - tv asahi america・2011年9月15日
関連項目
- ひとりぼっちの君に - 1998年のテレビドラマ。物語の舞台となるコンビニに商品として販売およびポスターが貼られており、登場人物が飲むシーンが出てくる。