ケレス (準惑星)
ケレス25px (セレス) Ceres | |
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分類 | 準惑星 |
軌道の種類 | 小惑星帯 |
発見 | |
発見日 | 1801年1月1日[1] |
発見者 | ジュゼッペ・ピアッツィ[1][2] |
発見方法 | パレルモ天文台からの観測[2] |
軌道要素と性質 元期:2015年6月27日 (JD 2,457,200.5) | |
軌道長半径 (a) | 2.7679724 au[1] |
近日点距離 (q) | 2.5582084 au[1] |
遠日点距離 (Q) | 2.978 au[1] |
離心率 (e) | 0.0757825[1] |
公転周期 (P) | 4.61 年[1] |
平均軌道速度 | 17.91 km/s |
軌道傾斜角 (i) | 10.59230 度[1] |
近日点引数 (ω) | 72.65410 度[1] |
昇交点黄経 (Ω) | 80.32720 度[1] |
平均近点角 (M) | 138.66214 度[1] |
物理的性質 | |
三軸径 | 964.4 x 964.2 x 891.8 km[2] |
直径 | 939.4 km[2] |
質量 | main|20}}kg |
平均密度 | 2.05 g/cm3 |
表面重力 | 0.26 m/s2 |
脱出速度 | 0.51 km/s |
自転周期 | 9.074170 時間[2] |
スペクトル分類 | G / C[2] |
絶対等級 (H) | 3.34[1] |
光度係数 (G) | 0.12[1] |
アルベド(反射能) | 0.090[2] |
表面温度 | ~230 K |
色指数 (B-V) | 0.713[2] |
色指数 (U-B) | 0.426[2] |
■Template |
ケレス(Ceres)は、準惑星の1つで、小惑星帯に位置する最大の天体。セレスとも発音する。小惑星として初めて発見された天体でもあり、小惑星番号1番を持つ(1 Ceres)。
Contents
名称
ケレス (Ceres) の名称は、後述のようにローマ神話の女神ケレス(ケレースとも)に由来する。日本語では、Ceres のラテン語読みに近いケレスに加え、フランス語/スペイン語読みのセレスの名称で表記されることも多い。なお、英語読みをした場合はシリーズといった表記となる[3]。現代中国語では穀神星と訳されている。
概要
ケレスは小惑星帯における最大の天体であり、その質量は小惑星帯の天体の総質量の4分の1から3分の1を占める。小惑星帯で2番目に質量の大きいベスタの質量はケレスの約3.5分の1、パラスの質量はケレスの約5分の1である。
ケレスは、太陽光によって温められていることから、ごくわずかな大気と霜が存在すると考えられている。また、形状がほぼ球形であり、表面の凹凸が少ない事から、ケレスは岩石の核を持つと考えられている。コーネル大学のピーター・トーマスは、薄い地殻と岩石の核との間に厚さ60 - 120kmの氷のマントルが広がっているというモデルを提示している。
ケレスと同じような軌道を持つ小惑星族があり、かつては「ケレス族」と呼ばれていたが、ケレスのスペクトルはこの族のほとんどの小惑星と違っているため、ケレスの方がこの族の中に紛れ込んだものと考えられるようになった。そのため、小惑星族の方は「ゲフィオン族」と改名されている。
歴史
発見
1801年1月1日にシチリア島にあるパレルモ天文台の台長ジュゼッペ・ピアッツィによって発見され、ローマ神話の女神ケレスから命名された。その後、見かけ上太陽に接近したために行方が分からなくなったが、カール・フリードリヒ・ガウスが最小二乗法を改良して編み出した軌道計算法によって同年の12月31日にフランツ・フォン・ツァハとハインリヒ・オルバースらにより再発見された。
分類の変更
発見当時は新しい「惑星」とみなされていたが、その後近くの軌道に同じような天体が続々と見つかってきたこと(小惑星帯の発見)や、惑星にしては小さすぎる(最小の惑星である水星の約5分の1)ことなどから、1850年頃から「小惑星」として惑星とは区別されるようになった。それでもケレスは直径約950kmと小惑星の中では際だって大きく、その後何万という小惑星が発見されてきたにもかかわらず、およそ150年の間、ケレスは「太陽系最大の小惑星」とされていた。
2000年代に入り、海王星以遠にクワオアー(直径1,250 km ± 50 km)などケレスを上回る大きさの太陽系外縁天体が複数発見されてきたことで、ケレスは最大の小惑星ではなくなった。しかし、その質量が自己重力によって球形を保つのに十分であるため、2006年8月のIAU総会で採択された太陽系の天体の定義により、「dwarf planet(準惑星)」として扱われることとなった。
観測
2001年、ハッブル宇宙望遠鏡で紫外線により画像が撮影され、暗色の円状の地形(クレーターと推測された)に「ピアッツィ」の名が付けられた。2004年、マウナケア山のW・M・ケック天文台で補償光学によりケレスの高精度観測が行われた。その結果、2つの衝突クレーターと思しきアルベドが低い地点が発見され、そのうちの一つには明るい平野が認められた。しかし、ハッブルが認めた「ピアッツィ」は、ケックの観測では発見できなかった。
2014年1月には、ハーシェル宇宙望遠鏡の観測により2箇所からの水蒸気の噴出が確認された。量は1秒あたり6kgであると推定されている。小惑星帯で彗星として活動するメインベルト彗星の存在は確認されていたが、水蒸気を観測したのは今回が初めてとなる。論文は1月23日にネイチャーに掲載された[4] [5]。
探査機ドーンによる観測
アメリカ航空宇宙局 (NASA) は2007年9月に探査機「ドーン」を打ち上げた。この探査機は2006年6月に打ち上げる予定であったが、技術的な問題や当初予算より高額となったことなどから一旦は計画中止とされ、ジェット推進研究所 (JPL) などによる抗議によって再開、打ち上げに至った。
小惑星ベスタの観測後、ケレスに接近したドーンは、2015年1月13日からケレスの撮影を開始した。同年3月6日にはケレスの周回軌道に入り[6]、4月以降本格的な観測を開始した。
ドーンは2015年2月27日に、クレーターの中で眩しく輝く二つの点を発見した。ハッブル望遠鏡の画像から、以前から一部の表面の輝きが強いことが知られていたが、ドーンの新しい写真により、初めてこれらが何か特殊な小さな物体によるものであることがわかった。その正体については議論となっていたが、5月11日により詳細な画像が公開された。探査チームの研究者は「反射性の高い物体が太陽光を反射したものと断定できる」と声明しており、氷などであろうと推測されている[7]。
地形
2015年3月、ケレスを15の四角形に区分し・それに仮称を命名した[8]。
同年7月、国際天文学連合は18個のクレーターに命名した。これらはケレスが豊穣の神であることにちなみ、世界の農耕、豊穣や植物神の名が付けられている。発見されたクレーターはいずれも深度が浅いのが特徴である。
画像
- Ceres Orbit.svg
ケレスの軌道
- PIA19063-Ceres-DwarfPlanet-DawnMission-March2015.jpg
ケレスの初めてのカラー写真。
- PIA19571-Ceres-DwarfPlanet-Dawn-VIR-Image-20150516.jpg
ケレスの赤外分光法の地形図。
- PIA19316-Ceres-DwarfPlanet-DawnMission-VIR-20150413.jpg
ケレスの明るい点、スポット1(上)とスポット5(下)。
備考
セリウム
1803年に発見された元素セリウムはその2年前に発見されたケレスにちなみ命名された。
作品
脚注
- ↑ 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 “(1) Ceres = A899”. 小惑星センター. . 2015閲覧.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 2.8 “1 Ceres”. ジェット推進研究所. . 2018閲覧.
- ↑ 佐藤勲 (2013年6月29日). “小惑星名の発音調査”. 第9回小惑星ライトカーブ研究会. Minor Planet at 366. . 2015閲覧.
- ↑ “Localized sources of water vapour on the dwarf planet (1) Ceres”. nature (2014年1月23日). . 2015閲覧.
- ↑ “Herschel Telescope Detects Water on Dwarf Planet”. NASA. (2014年1月22日) . 2014-2-11閲覧.
- ↑ “探査機「ドーン」、準惑星ケレスに到着”. AstroArts (2015年3月6日). . 2015閲覧.
- ↑ “Ceres Animation Showcases Bright Spots”. ジェット推進研究所 (2015年5月11日). . 2015閲覧.
- ↑ Dwarf planet Ceres gets place names、Andrew R. Brown、EarthSky(2015年3月24日)、2015年7月25日閲覧
関連項目
外部リンク
テンプレート:小惑星ナビゲーター テンプレート:ケレス (準惑星)