グルクロン酸
グルクロン酸(グルクロンさん、glucuronic acid)は炭素数6個のグルコースの骨格構造とC6位のカルボキシ基をもつ糖であり、代表的なウロン酸である。分子式は C6H10O7 で、分子量 194.1408 である。 光学異性体のうち、天然には D体のみが知られる。共役塩基の陰イオン、グルクロン酸イオン (glucuronate ion) はグルクロネート (glucuronates) と呼ばれる塩を形成する。グルクロン酸の名称はギリシアのγλυκός「甘い」に由来する。
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グルクロン酸抱合
グルクロン酸は水に対し高度に可溶性の物質である。そのため動物体内において、グルクロン酸はしばしば体外への排出のために毒物と結合されたり、輸送しやすくするためにホルモンと結合されたりする。この過程はグルクロン酸化あるいはグルクロン酸抱合 (glucuronidation) として知られ、一連の誘導体はグルクロニド (glucuronid)、もしくはグルクロノシド (glucuronosid) と呼ばれる。
なお、グルクロニダーゼ (glucuronidase) はグルクロン酸と他の化合物との間のグリコシド結合を加水分解する酵素で、グルクロン酸抱合とは直接は関係ない。(腸肝循環にて細菌による脱抱合を参照)
UDP-グルクロン酸
グルクロン酸抱合には中間体として UDP-グルクロン酸が使用される。UDP-グルクロン酸はすべての動物において肝臓で合成される。
毒物へのグルクロン酸の結合は UDP-グルクロン酸転移酵素 (UDP-glucuronyltransferase) によって触媒される。この酵素は心臓、腎臓、副腎、脾臓、胸腺、その他主要な体内器官で見つかる。新生児期や遺伝子的多型などでこの酵素の働きが低下すると黄疸などの症状を呈することがある。
UDP-グルクロン酸はまた、多糖類へのグルクロン酸供給源であり、また、アスコルビン酸の生合成中間体でもある(霊長類およびモルモットは除く)。
その他
分子内でカルボキシル基と3位のヒドロキシル基とが脱水縮合してエステルとなるとグルクロノラクトンとなる。
薬剤の分子構造を設計するとき、体内で輸送され易くするためにグルクロン酸の構造を O-グリコシド結合により結びつける。
N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が結びついた二糖が単位となった多糖がヒアルロン酸である。
グルコン酸とグルクロン酸は、ともに、グルコースの酸化によって生じる直鎖状のカルボン酸で、名前も似ているが、位置の異なる炭素原子(それぞれ1位と6位)が酸化された物であり、別物である。