クール・ジャズ
提供: miniwiki
クール・ジャズ (Cool Jazz) とは、ビバップの反動として1940年代後半に生まれた、白人寄りの傾向をもつジャズのジャンル。理知的でコントロールされて聞こえる一方、ビバップにある躍動感や情緒感は欠ける傾向にある。反対のジャンルにホット・ジャズがある。
スウィング・ジャズの反動から出たビバップは、陽気で奔放な演奏主体を持っていた。しかし、音楽的成熟のピークを経た後には、命でもあったアドリブ(即興演奏)も単調になりがちになった。その反動として奏法・展開などに抑制の効いたスタイルを持ち味とする、このジャズが生まれた。一連のニューオーリンズ・ジャズなどの反動からスウィング・ジャズが生まれた当初と、このビバップからクール・ジャズが出てきた音楽的背景が似ていることを指摘する評論家もいる。クール・ジャズはビバップに比べ、控えめなテクニック表現とリズムで、クールにも聞こえた一方、アンサンブルサウンドやその楽器編成、音楽構成も重要視されていた。
ビバップが黒人のためのジャズであるのに対し、クール・ジャズは白人による白人のためのジャズと、後に定義づけられることになったが、創始者はマイルス・デイヴィスと言われ、彼のアルバムクールの誕生 (Birth of the Cool)がその起源とされている。常に進化を望む彼が打ち出したこのスタイルは、彼らが自らを黒人であることさえを否定するかのようにも見え、彼の思惑通りか「ジャズは黒人が演奏するもの」という当時の概念を結果として否定することになったのである。
クール・ジャズの代表的なアーティスト
- レニー・トリスターノ (1919-1978)
- リー・コニッツ (1927-)
- スタン・ゲッツ (1927-1991)
- ジョージ・シアリング (1919-2011)
- ジェリー・マリガン (1927-1996)
- ウォーン・マーシュ (1927-1987)
- ギル・エヴァンス (1912-1988)
参考文献
- 細川周平、後藤雅洋、村井康司、寺島靖国、小川隆夫、加藤総夫、柳沢てつや、北里義之、大村幸則、瀧口秀之、西島多恵子、山下泰司、黒田京子、桜井圭介、上野俊哉、米田栄、田辺秀樹、高橋順一、川竹英克、田村和紀夫、大宅緒、高見一樹、島原裕司、柴俊一 『新版 ジャズを放つ』 洋泉社、1997年。ISBN 4896912500。
- Frank Tirro 『ジャズの歴史 その誕生からフリー・ジャズまで』 音楽之友社、1993年。ISBN 4276232511。