クローズドドアシステム
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クローズドドアシステム(英: Closed door system)は、路線バスで途中停留所の利用条件を乗車もしくは降車のみに制限する制度である。
概要
路線バスにおいて、他社エリアに乗り入れる時の乗降制限方法として用いられた。特に都市部と空港や港(フェリー発着所)を結ぶ空港連絡(リムジン)バス・フェリー連絡バスでは大半の路線・系統でこの方式を採用している。1982年以降に新設された高速バス路線でクローズドドアシステムが確立され、高速バス路線が拡大する源泉となった。このシステムは祭りやイベントが開催された場合に運行される会場と駅や駐車場を結ぶシャトルバスなどでも採用されている。
クローズドドアシステム採用路線では路線形態によって以下のような扱いとなっている
- 1.路線バス
- 自社エリアから他社エリアに乗り入れる際は他社エリアでは降車、他社エリアから自社エリアに乗り入れる際は他社エリアでは乗車のみ取扱
- 2.高速バス・都市間バス
- 起点地周辺エリアで乗車のみ、終着地周辺エリアで降車のみの制限が取られる方法が一般的
- 3.空港連絡バス・フェリー連絡バス
- 行先が空港・港の場合は途中停留所は乗車のみ、始発が空港・港の場合は途中停留所は降車のみ取扱
- 4.商業施設・病院等へのシャトルバス
- 駅・ターミナル・住宅街発は乗車のみ、施設発は降車のみ扱う。
以下に述べるように、バス事業者にメリットが大きいが、利用者にとってはデメリットが大きく、昼行高速バス路線では、クローズドドアシステムによる弊害も生じている。
長所
- 短距離利用客によって満席になってしまい、本来の目的である長距離利用客が乗れなくなるという事態が避けられる。
- 他社事業者のエリアであまり営業侵害にならないため、事業者間の摩擦が少ない。
- 高速バスで、近距離利用を制限できるため、静粛が保たれやすく、一般路線バスへの影響も最小限にできる。また、運賃の精算作業も容易にしやすい。
- 高速バスでは、拠点間の運賃設定で済むため、プール精算制といった方法で運行事業者間の収入分配が公平、簡便になる。
- 降車のみの扱いとなる停留所では時間調整が行われないため、これらの停留所は到着時刻より早着することがある。乗車のみの扱いとなる停留所及び乗降車共に可能な停留所は、旅客自動車運送事業運輸規則第12条で「所定の発車時刻より前に発車させること」が禁止されているため、停留所に早着した場合は時間調整が行われる。
短所
- 短距離路線のクローズドドア区間では、乗車もしくは降車に制限されるため、バスが低乗車率のまま運行するケースが生じやすい。
- 高速バスでは、利用が拠点間に限定されるため中間地での利用ができない。
- クローズドドアシステムを採用している路線で、当該路線がそのシステムになっている事を知らない乗客が、誤って乗ってしまいトラブルとなる事がしばしある。
短所を補う工夫
- 山陽自動車道では、高坂パーキングエリアを乗り換え専用の停車地とし、直行路線のないしまなみ海道沿線や広島県東部各地から広島空港へのアクセスの確保を行っている。
- 国土交通省関東運輸局の要請で上信越自動車道の藤岡パーキングエリアを乗り換え専用停車地とし、直行路線のない区間でも相互乗り換えでアクセスを確保する社会実験を行うべく、アンケートを実施している。
- 九州自動車道では、2007年7月1日より基山パーキングエリアに多くの高速バスを停車させ(九州号・ひのくに号のスーパーノンストップ便を除く)、直行路線の無い方面(北九州 - 鹿児島間など)や直行便が少ない都市間(大分・宮崎・鹿児島 - 長崎など)へのアクセスの確保を行っている。
- 山交バス・宮城交通の高速仙台 - 山形線では、山形市内の一般道区間においてクローズドドアシステムの一部を緩和し、山形県庁前と南高校前の2つのバス停で山形駅前行の片方向のみを乗降可能とした。山交バスの山形市内線は赤字が原因で路線廃止と減便が続き年々利便性が低下しているが、高速バスの山形市内区間を活用することによって、わずかな経費で山形市内利用者の利便性を高めることができた。山形県庁→南高校前→山形駅前の市内路線バスは平日1日23本しかないが、同じ区間を走る仙台からの高速バスは平日1日80本ある。なお、同じバス停の仙台方面行と、同路線の仙台市内区間[1]は緩和されていない。
脚注
- ↑ 但し、昭和60年台頃、仙台駅前 - 県庁市役所前間での乗降が可能であった。(出典:日本交通公社発行の大型形時刻表1986年12月号と1987年11月号の該当路線のページから)