クリミア・コンゴ出血熱
クリミア・コンゴ出血熱(クリミア・コンゴしゅっけつねつ、Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF))はブニヤウイルス科ナイロウイルス属に属するクリミア・コンゴ出血熱ウイルスによる感染症である。
ウイルス性出血熱の一つ。
概要
クリミア・コンゴ出血熱ウイルスは、ダニ間およびダニとヒツジやヤギなどの動物との間で生活環を形成している。このウイルスに感染したダニに咬まれたり、感染動物の組織や血液に接触したりすることで感染する。また、動物からヒトへの感染だけでなく、患者の血液や体液に触れることにより、ヒト-ヒト間での感染も起こる。日本では、一類感染症に指定されている。
発生地域
患者発生地域は宿主となるダニの分布に一致し、アフリカ大陸、東ヨーロッパ、中近東、中央アジア諸国、南部アジアである。存在が知られるようになったきっかけは、クリミア地方の旧ソビエト連邦軍兵士の間で、1944年-1945年にかけて出血を伴う急性熱性疾患が発生したことによる。その後、1956年にコンゴ地方(中部アフリカ)で分離されたウイルスと同一であることが確認され、病名に両地域の名前がつけられることとなった[1]。
症状
3 - 12日間の潜伏期の後、突然の40℃以上の高熱、頭痛、筋肉・関節痛、上腹部痛が出現する。口蓋の紫斑、結膜炎、徐脈、下痢などの症状が現れることもある。発病後3 - 5日で各粘膜に紫斑が出現する。肝・腎機能障害を伴う事が多い。致死率は15 - 30%。牛、めん羊などの家畜では感染しても無症状である。
診断と治療
検査所見では、末梢血血液検査において血小板・白血球(特にリンパ球)の減少、尿検査において血尿・蛋白尿がみられる。ウイルス抗原・抗体の検出により確定診断される。治療は、患者の隔離、輸液・電解質補正、輸血などの対症療法のほか抗ウイルス剤(リバビリン)の投与、2次感染の予防として抗生物質の投与が行われる。
出典
- ↑ “クリミア・コンゴ出血熱とは”. 国立感染症研究所 (国立感染症研究所) . 2014閲覧.
関連項目
- 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) - クリミア・コンゴ出血熱ウイルスに近縁なウイルスが引き起こす感染症。
外部リンク