クマザサ

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クマザサ(隈笹、学名Sasa veitchii)は、イネ科ササ属の植物の1種。ただし、山地に生育する、大型のササ類一般を指す場合も多い。

種としてのクマザサ

標準和名をクマザサとよぶ植物は、高さが1-2mになる大型のササで、葉は長さが20cmを越え、幅は4-5cm。葉に隈取りがあるのが名前の由来。この隈取りであるが、若葉にはなく、葉が越冬するときに縁が枯れて隈取りになる。

非常に変異が多く、原名亜種は京都に産するものである。多くの変種が北日本の日本海側を中心に分布する。変種としてオオザサ Sasa veitchii var. grandifolia やチュウゴクザサ Sasa veitchii var. hirsuta がある。チュウゴクザサはクマザサや俗称としてのクマザサのような整った隈取りにはならない。

総称、俗称としてのクマザサ

種としては上記のものがクマザサであるが、それ以外にも近似の種が多く、分類は混乱している面もある。

日本のブナ林では林床に大型のササ類が密生することが多く、これらもまとめてクマザサと言われることもある。チシマザサ Sasa kurilensisスズタケ Sasamorpha borealis、クマイザサ Sasa senanensis、チマキザサ Sasa palmata、ミヤコザサ Sasa niponica などのクマザサと同じササ属 Sasa の笹が往々にしてクマザサ扱いされる。一般的に、多雪の日本海側ではチシマザサ、クマイザサ、チマキザサが、少雪の太平洋側ではスズタケや小型のミヤコザサがその位置を占める。

ファイル:Sasa veitchii 01.jpg
総称としてのクマザサ(種は不明)、大菩薩峠、2008年5月撮影

利用

葉の隈取りを愛でて庭に栽培されることもある。

乾燥した葉は煎じて健康茶にされたり、エキスが健康食品として市販されている。これは高血圧糖尿病などに効果があるとされるが、ヒトに対する有効性について信頼できるデータはないようである。[1] クマザサの葉を淡竹葉(たんちくよう)という生薬名でいうこともある(ただし、淡竹葉を他植物とする場合もある)。

なお、「熊笹」という表記もよく見受けられるが、ほとんどは「隈笹」の誤字である。しかし、健康食品の中には、の絵を描いたり、熊の出るような深山の笹などと称して「熊笹」としているものもある(その「熊笹」が「隈笹」と同一かは、健康食品のパッケージの表記では普通わからない)。 旧飛騨国(現岐阜県北部)では隈笹の実が野麦(のむぎ)と呼ばれ、野麦峠という地名もある。凶作の年にはその実を食べて飢えをしのいだという。

脚注

  1. クマザサ(2007/04/03) - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所

外部リンク