キープレフト
キープレフトとは、道路における車両の左側通行を定めた国において、原則として道路の左寄りを通行すべきことを表す言葉である。これに対して、右側通行の国において右寄りを通行すべきという原則は「キープライト」と呼ばれる。
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日本におけるキープレフト
日本の道路交通法においては、車両通行帯の有無により二通り規定されている。
- 道路交通法第18条(左側寄り通行等)[1]
- 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。(以下略)
この条項では、車両通行帯のない道路(中央線のみの片側1車線道路、片側2車線以上でも公安委員会の指定がないもの等をいう。)では、自転車を含む軽車両については車道の左側端(路肩を除いた左端)を、自動車・原動機付自転車は左寄り(左側端および中央付近を除いた部分)[2]を通行すべきことが規定されている。
この条項では、一方向に2つ以上の車両通行帯が設けられた道路(公安委員会の指定がある片側2車線以上の道路)では、原則として一番左の車両通行帯を通行すべきことが規定されている。
これらの規定は、高速道路に限らず、いわゆる一般道路を含めた規定であるが、大多数のドライバーには、一般道路であっても一番左側の車両通行帯を走行すべきという原則が存在することが理解されていないのが実情である。 また近年の自動運転車において、カメラで読み込まれた通行帯の中央付近を走らせる傾向にあり、これらの点も懸念されている。 さらに全国的にみられる問題点として、このキープレフトを理由に二輪車が左側から前走車を追い抜く(禁止の道路でない限り違法ではない)ことが常態化しており、これに対する接触を予め避ける理由で中央を走る傾向にある。 また慢性化する渋滞などで少しでも前方を視たいという右ハンドルのドライバーが、自然と右に寄ってしまい、一つの車線に「左・中央・右」というように各車バラバラに走行するという無秩序で法が活かされていない問題も散見される。
キープレフトの意義
18条・20条いずれも、通常は道路の中央付近を空けておく[3]ことで対向車との接触を防ぎ、また、追越しや右折等がスムーズに行われることによる円滑な交通の実現を意図している。
キープレフトに対する誤解
前述のように、キープレフトとは単なる左側通行を意味するものではなく、であり、道路交通法においても左側通行(法17条4項)とキープレフト(法18条1項及び20条1項)とはそれぞれ別個の条文により規定されているものであるが、必ずしも理解が進んでおらず左側通行との混同も少なくない。 また、「二輪車は常に左側端を通行するべきだ」「キープレフトの規定は二輪車や自転車のみである」との誤解もあるが、キープレフトは四輪車を含む全ての車両について適用されるものである。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 道路交通法 第3章第1節 通則より
- ↑ 「……軽車両が左側端に寄って通行するために必要とされる道路の部分を除いた左側部分の左端に寄ってということである」執務資料道路交通法解説(東京法令)17訂版より
- ↑ 高橋幹夫・警察庁交通局長「通俗的に、常識的に申し上げますと、道路の中央部分をいつでもあけておくというのが、またキープ・レフトの原則をほかの面から言いあらわすところの表現かと思うのでございます」 参議院・地方行政委員会・昭和39年04月02日