キンモクセイ
キンモクセイ(金木犀、学名: Osmanthus fragrans var. aurantiacus)はモクセイ科モクセイ属の常緑小高木樹で、モクセイ(ギンモクセイ)の変種。
中国では、正しくは丹桂がこれに当たるが、一般には桂花の名で呼ばれることがある。しかし、桂花は木樨属におけるひとつの種名であり、金桂(ウスギモクセイ)、銀桂(ギンモクセイ)などを含む全ての亜種・変種・品種を総括するものである。
形態・生態
秋に小さいオレンジ色の花を無数に咲かせる。雌雄異株であるが、日本では雄株しか入っていないので結実しない。雄しべが2本と不完全な雌しべを持つ。花は芳香を放つ。芳香はギンモクセイよりも強い。香りの主成分はβ-イオノン、リナロール、γ-デカラクトン、リナロールオキシド、cis-3-ヘキセノールなど。このうち、γ-デカラクトンなどはモンシロチョウなどへの忌避作用があることが判明している[1][2]。
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キンモクセイの木
分布
人間との関わり
花冠は白ワインに漬けたり(桂花陳酒)、茶に混ぜて桂花茶と呼ばれる花茶にしたり、蜜煮にして桂花醤と呼ばれる香味料に仕立てたりする。また、桂花蟹粉(芙蓉蟹の別名)、桂花鶏絲蛋、桂花豆腐、桂花火腿などのように、鶏卵の色をキンモクセイの花の色に見立てて名づけられた卵料理は多く、正月用の菓子である桂花年糕のようにキンモクセイの花の砂糖漬けを飾るなど実際にこの花が使われる料理もある[3]。
キンモクセイの花は甘めでしっかりした強い香りであることから、日本において汲み取り式便所が主流で悪臭を発するものが多かった時期には、その近くに植えられることもあった[4]。その要因から、香りがトイレの芳香剤として1970年代初頭から1990年代前半まで主流で利用されていたため、一部年齢層においてはトイレを連想させることがある[4]。
秋の季語である。
都道府県・市区町村の木に指定している自治体
- 都道府県
- 市区町村
脚注
- ↑ 広島大学生物圏科学研究科・化学生態学研究室. “チョウ成虫の採餌行動”. 研究内容紹介. . 2013閲覧.
- ↑ Hisashi Ômura; Keiichi Honda, Nanao Hayashi (2000). “Floral Scent of Osmanthus fragrans Discourages Foraging Behavior of Cabbage Butterfly, Pieris rapae”. Journal of Chemical Ecology 26 (3): 655-666. doi:10.1023/A:1005424121044. ISSN 0098-0331.
- ↑ 『調理用語辞典』 全国調理師養成施設協会編、全国調理師養成施設協会、調理栄養教育公社(発売)、1998年、改訂。ISBN 4-924737-35-6。
- ↑ 4.0 4.1 田幸和歌子 (2006年10月24日). “トイレの「キンモクセイの香り」が衰退した理由”. Excite Bit コネタ. エキサイト. . 2013閲覧.
参考文献
- 茂木透写真 『樹に咲く花 合弁花・単子葉・裸子植物』 高橋秀男・勝山輝男監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、2001年。ISBN 4-635-07005-0。