ガリレオ (探査機)

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ガリレオ (Galileo) は、1989年10月18日にアメリカ航空宇宙局 (NASA) が打ち上げた木星探査機。1995年12月7日に木星周回軌道に到達し、2003年9月に木星大気圏へ制御落下させられるまで、木星とその衛星の観測を続けた。名前は天文学者ガリレオ・ガリレイにちなむ。

構造

ファイル:Galileo Preparations - GPN-2000-000672.jpg
打ち上げへ向けて準備中のガリレオ。

オービター(軌道周回観測機)とプローブ(大気圏突入観測機)で構成されている。

オービターは800×800画素のCCDカメラや各種の計測機器を搭載し、また地球との通信用に大小2基、プローブとの通信中継用に1基のアンテナを装備していたが、主アンテナ(高利得アンテナ)は予定通りに展開せず、地球との通信には小型のアンテナが用いられた。主アンテナより低速でしか交信できないため、探査機のプログラムを遠隔操作で書き換え、観測データを圧縮して送信させるようにするなどの対策がとられた。電源はプルトニウムを熱源とした原子力電池である。

プローブはオービター下部に掴まった形で軌道まで運ばれる。木星の大気圏への突入に対して耐えられるよう頑強な円錐型のカバーに包まれている(冒頭のプローブ画像は観測機本体のみのアップ)。放出された後は3段階に開くパラシュートで減速を計り、外郭部を切り離し本体のみとなり、観測機本体に繋がっている3段目のパラシュートが開かれ本格的な大気圏内の観測が始まる。

飛行過程

当初、1986年5月にスペースシャトルで打ち上げられ、セントールによって木星へ直行する軌道に乗る予定であったが、チャレンジャー号爆発事故によって打ち上げは延期された。また、液体燃料を使用するセントールをスペースシャトルに搭載する計画は液体燃料が危険との判断から変更された。液体燃料ロケットであるセントールよりも比較的安全だとされる固体ロケットの慣性上段ロケット (ISU) を用い、木星へ直接向かう代わりに一旦逆の金星に向かい、金星、地球、地球とスイングバイを行って増速する方法を用いて木星に向かった。この方法は VEEGA (Venus Earth Earth Gravity Assist) と呼ばれる。また金星周辺を通ることとなったため、強烈な太陽光線からの保護を目的として、全体が「日よけ」で覆われた構造となった。

  • 1989年10月18日アトランティス (STS-34) のペイロードベイ(貨物室)に搭載されて打ち上げられた。一旦低軌道までスペースシャトルで上がった後、ペイロードベイから探査機を放出した。オービタが充分に安全な距離をとって離れたあと、探査機を載せたIUSに点火、地球周回軌道を離れて最終的に木星へと至る旅に出発した。
  • 1990年2月10日、金星スイングバイ。
  • 1990年12月8日、1回目の地球スイングバイ。
  • 1991年4月11日、高利得アンテナの展開に失敗。事前に公表されていた想像図とは違い、実際はパラボラアンテナを閉じた状態のまま、別の小型アンテナで通信する事になった。
  • 1991年10月29日小惑星ガスプラに接近観測。
  • 1992年12月8日、2回目の地球スイングバイ。
  • 1993年8月28日、小惑星イダに接近観測。
  • 1994年7月21日シューメーカー・レヴィ第9彗星の木星衝突を観測。
  • 1995年7月13日プローブを切り離し。
  • 1995年12月7日、プローブが木星大気圏に突入し、57分後に通信途絶するまでデータを送り続けた。また同日、オービターも木星の周回軌道に入り、それから7年余りに渡って木星や各ガリレオ衛星アマルテアなどへの接近観測を繰り返す。
  • 2000年12月、土星探査機カッシーニが木星スイングバイを行う際に木星の磁気圏を共同観測する「ジョイント・ミッション」を行う。
  • 2003年9月21日、当初の予定よりはるかに長期間のミッションを経て、木星大気圏に突入することとなった。これは姿勢制御用燃料の尽きたガリレオが衛星のどれか、特に生物が存在する可能性があると考えられているエウロパに落下した場合、探査機に付着している地球の微生物が衛星の環境を汚染してしまう恐れがあったからである。

プラネタリウム作品

  • 「はるかなる木星へ -AROUND JUPITER-」(エクスプローラーズジャパン(株)/横浜モバイルプラネタリウム合作)
    • ガリレオ・ガリレイによる木星観測、パイオニア、ボイジャーによる直接探査、そして当探査機の旅立ちから本体木星突入までをCGと実際の画像を交え映像化した作品。全天周デジタルバージョンとスライド+VTRバージョンの2通り。ナレーションは野島裕史。音楽は蒲池愛。2009年5月から8月まで宮城県大崎市の、同9月から12月まで東京都府中市のプラネタリウムで上映。

備考

SF作家アーサー・C・クラークは『2061年宇宙の旅』の前書きにおいて、当初は当探査機の観測結果を作品に採り入れるつもりだったが、チャレンジャー号の事故により大幅にスケジュールが遅れる見込みになったために「待たない事に決めた」と記述している。

画像

外部リンク

テンプレート:Venus spacecraft テンプレート:Jupiter spacecraft テンプレート:NASA space program