ガメラ3 邪神覚醒
ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒 | |
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Gamera 3 : Revenge of Iris | |
監督 |
金子修介(本編) 樋口真嗣(特撮) |
脚本 |
伊藤和典 金子修介 |
製作 |
土川勉 佐藤直樹 南里幸 |
製作総指揮 | 徳間康快 |
出演者 |
中山忍 前田愛 藤谷文子 山咲千里 手塚とおる 螢雪次朗 本田博太郎 津川雅彦 |
音楽 | 大谷幸 |
主題歌 |
「もういちど教えてほしい」 ユリアーナ・シャノー |
撮影 |
戸澤潤一(本編) 村川聡(特撮) |
編集 | 冨田功 |
製作会社 | 大映 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1999年3月6日 |
上映時間 | 108分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 6億円[1] |
前作 | ガメラ2 レギオン襲来 |
次作 | 小さき勇者たち〜ガメラ〜 |
『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(ガメラスリー イリスかくせい)は、1999年(平成11年)3月6日に大映が制作し東宝系で公開された怪獣映画。
Contents
概要
平成ガメラシリーズの第3作で、前2作を受けての完結編として製作された。監督は前2作と同じ金子修介。
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(以降、『1』)から4年後、『ガメラ2 レギオン襲来』(以降、『2』)から3年後の世界を舞台に、とある村で覚醒した怪生物イリスと世界中で大量発生しているギャオスとガメラ、そして人々の戦いを描いているが、しばしば怪獣映画を見る人間が持つ「いくら正義の味方の怪獣でも、悪の怪獣を倒すために街中で激しく戦ったら一般市民が巻き添えとなって犠牲になるのではないか?」という疑問に挑んだ作品であり、キャッチコピーにも「わたしはガメラを許さない。」が使われた。最終決戦の舞台は京都駅であり、怪獣映画において史上初の屋内戦となった。
また、全体としてガメラがギャオスの放った光線から子供を守ったり、イリスに襲撃されて半ば壊滅した村を『1』に登場した長峰真弓と大迫力が調査したり[注 1]、前作ではガメラの味方になっていた自衛隊(人間)が倒すべきギャオスやイリスよりもガメラを危険視して攻撃を加えたり、イリスが勾玉を通して人間の少女と交信する等、『1』へのオマージュと言える演出やシーン等が多数登場する。
『1』『2』とは時系列的につながりがあり、三部作の完結編ということから、本作では『1』や『2』での出来事に直接触れられるシーンも複数あり、それらが本作に大きく関わっていく形となっている。特に『1』での出来事が本作に深く関わっており、オープニングのスタッフクレジットには、『1』のシーンを多数流用している。
劇場公開前の1999年2月には、メイキングビデオ『GAMERA1999』(VHS、メディアファクトリー)と『ガメラ巨大生物審議会』(DVD、アミューズソフトエンタテインメント)が発売された。
配給収入6億円[1]、観客動員100万人。結果的に、3部作は目標の10億円には届かなかった。
配給収入が10億円を突破していれば、すぐに4作目の製作の話になったとも言われる[2]。本作は当初から完結作の意気込みで製作されていたが、この成績を受けて正式にシリーズ終了が決定した。
大映が制作した最後のガメラシリーズ作品である。
あらすじ
ガメラとレギオンの戦いから3年後の1999年。人間を捕食する殺戮生命体ギャオスを発見し、今やその研究の第一人者となった鳥類学者・長峰 真弓は、とある赤道直下某国の村にて発見されたギャオスの死体の調査に向かっていた。村人がギャオスの死体に輪になって見守る中、調査を始める真弓。そして、このギャオスはどこからやって来たのかと 村人達に尋ねた所、全員が一斉に空のある方向を指差した。その頃沖ノ鳥島近海で深海探査機「かいこう」は、深海の調査中「ガメラの墓場」とでも言うべき、おびただしい数のガメラの骨を発見する。
4年前、東京におけるガメラとギャオスの戦いの巻き添えで両親を失った少女・比良坂 綾奈と、弟の比良坂 悟は、奈良県 高市郡 南明日香村に住む親戚の日野原家に引き取られていた。綾奈はガメラへの逆恨みからくる激しい憎悪に囚われ、未だに親戚や周囲の人々と打ち解けられずにいた。ある日、綾奈は悟をいじめる同級生の3人組に度胸試しの真似事をさせられ、南明日香の旧家・守部家の敷地内の祠に在る、古くから「柳星張(りゅうせいちょう)」が眠ると伝えられる洞窟から、「柳星張」を封印する石を持ち出す。綾奈の同級生の少年・守部 龍成は、妹から経緯を知らされ現場に急行し、綾奈と二人で封印の石を洞窟に戻す。その際、二人は洞窟の奥で奇妙な卵状の物体を見つける。
1995年以来、ギャオスやレギオンといった日本を襲う巨大生物災害に、日本政府は「巨大生物被害対策委員会」の設置を決定し、真弓にも参加の声がかかる。9月17日、真弓と共にギャオス対策に当たった斉藤雅昭、日本国の根幹に繋がる内閣官房所属の朝倉 美都を始め、各方面の専門家が集まって審議が開かれる。同日午後7時半頃、東京・渋谷上空にガメラと2匹のギャオスが出現する。ガメラのプラズマ火球で撃墜された一匹目のギャオスは渋谷駅近辺に落下し、同じく渋谷駅に降り立ったガメラに止めを刺される。ガメラはプラズマ火球を連発し、もう一匹のギャオスも粉砕するが、周囲への被害を一切顧みない戦いの果てに、渋谷周辺は完全に壊滅し、1万人以上もの犠牲者が出てしまう。この惨劇を機に政府と世論はギャオス以上にガメラを危険視し、綾奈もガメラへの更なる憎しみを深めていく。
時を同じくして、綾奈が洞窟で見つけた卵状の物体から奇妙な生物が生まれる。再び洞窟を訪れた綾奈は、封印の石の下に埋もれていた謎の勾玉を介してこの生物と心を通わせ、亡き飼猫の名を取って「イリス」と名付ける。龍成はこの生物を守部家に代々伝えられる「復活すればこの世は滅びる」災厄ではないかと考え、綾奈を諭すが、綾奈はイリスが両親の仇ガメラを殺すことを願い、密かに育てていく。綾奈の憎悪を糧に急速に成長したイリスは繭を形成し、綾奈を自身に包み込む。龍成は洞窟に駆けつけて繭の中から綾奈を救出するが、綾奈は意識不明になり、イリスは姿を消す。
エジプトでの旅客機撃墜を皮切りに、世界中でギャオスが出没する事態が起こっていた。真弓は朝倉のブレーンである倉田 真也から送られてきたシミュレーションディスクや、かつてガメラと交信した少女・草薙 浅黄との対話から、地球の生態系を循環する生命エネルギー「マナ」に関する仮説を考える。1996年にガメラがレギオンを倒すためにマナを大量に消費したことで、地球環境のバランスが大きく崩れ、ギャオス大量発生のトリガーとなったのではないか――。ギャオスらしき生物が南明日香村に出現した報告を受けた真弓は、巨大生物の災厄に人生を狂わされ、ホームレスとなっても渋谷の惨事を生き残った元長崎県警警部の大迫 力と再会し、消沈する彼を励まして共に現地へ向かう。ギャオスの捕食とは異なるミイラ化した村民の死体や、守部家の洞窟内に残された卵の殻と繭の組織片を調べる真弓は、「柳星張」を止めるための宝具・十握剣を洞窟前の祠から持ち出そうとする龍成と出会い、綾奈の存在を聞きだす。病院で眠る綾奈の元を訪れた真弓から、綾奈がガメラのものとは違う勾玉を所持していることを伝えられた浅黄は、綾奈に会うために南明日香村を訪れる。真弓が採取した組織片を受け取った国立遺伝子研究所は、その生物(イリス)はギャオスの変異体であるが、自身の染色体構造をも変えてしまうほどの極めて凄まじいもので、既にギャオスとは別の生命体であり、「どこまで進化し続けるのか予測が出来ない」という結論を真弓に伝える。
ギャオス、ガメラを創造した超古代文明人の末裔である朝倉は、イリスと交信した綾奈を調査するため、独断で綾奈を病院から移送してしまう。斉藤の情報提供を受け、綾奈を追って京都へ急行した真弓と浅黄は倉田に出迎えられる。倉田は2人を朝倉の元へ案内する途中、深海の「ガメラの墓場」はマナの器たる守護獣になれなかったガメラの廃棄場である、という自説を披露する。真弓は朝倉にイリスが綾奈と神経融合を試みた可能性を示唆し、綾奈を施設の整った東京の病院への搬送を主張する。時を同じくして、大迫に諭された龍成も綾奈を追って大迫と共に京都へ行く。そして南明日香近辺の生物を捕食し、成体となったイリスは、監視していた陸上自衛隊普通科小隊を全滅させ、綾奈との完全な融合を求めて飛び立つ。
イリスは紀伊半島上空でガメラ哨戒中だったF-15J戦闘機と、突如出現したガメラとの空中戦に入るが、ガメラの猛攻に終始押され、劣勢に回るがガメラ掃討を優先する自衛隊がガメラを妨害した隙をついて逃亡。同時に大型台風8号が京都市に接近、戦闘機も暴風雨のため接近できず、アトランティスの邪神イリスと守護獣ガメラは京都市街へ降り立つ。憎悪に満ちた綾奈の思いを受けて文字通りの邪神と化したイリスは槍腕でガメラの胴体を刺し貫くなど、圧倒しはじめ、遂にガメラは綾奈と真弓達がいる京都駅ビル内に叩き伏せられる。朝倉は綾奈から勾玉を奪い、イリスとの交信を試みるが叶わず、倉田と共に瓦礫に押し潰される。イリスはそのまま綾奈との融合を試みるが、京都駅にたどり着いた龍成が十握剣を投げつけ、イリスと綾奈の繋がりを断ち切る。イリスは龍成を吹き飛ばし、正気に戻った綾奈を体内に強引に取り込み融合を果たそうとしたが、復帰したガメラに腹部を抉られ、今度は自身が重傷を負う羽目になった上、綾奈を取り出されてしまう。
イリスはガメラの右手を槍腕で貫き、読み取った遺伝子から再現したプラズマ火球で止めを刺そうとする。ガメラは自らの右腕を火球で吹き飛ばして脱出し、イリスが放った火球をその右腕で受け止め、炎の拳に変化させてイリスの傷口を殴りつけ、粉砕させる。その後、綾奈は真弓の必死の心肺蘇生法とガメラの呼び寄せたマナによって事なきを得て、龍成も怪我もなく生還する。綾奈は自身の所業を深く悔やんで涙する。その頃、米・中・露各軍からの連絡により、世界中のギャオスが日本へ向かい始めていることを把握した日本政府と自衛隊は、優先目標をガメラからギャオスに変更し、総力を挙げての迎撃を決定する。傷が癒えぬガメラもまた、真弓、浅黄、龍成、綾奈に見送られ、ギャオスとの戦いに向かう。
登場怪獣
具体的な身体スペックの数値は、『ガメラ3』公式パンフレットに基づく。
ガメラ
- 体長:80メートル
- 体重:120トン
甲羅の側面や正面がとげとげしく変化している、飛行時に平たく伸ばした腕を翼のように可動できるようになっているなど、『ガメラ2 レギオン襲来』での作品設定から更なる進化を遂げている。ただし『1』から『2』以上に急激に進化したため、それらで見られた可愛さは一切なくなっている。
作中の登場人物である倉田は、「ガメラはギャオスに対抗するために超古代文明により作り出された生物兵器である」と主張している。また、後述するイリスと同様に、ガメラは四神の1体である黒いカメの姿をした北方の守護神玄武に対応することが示唆されている。
死にかけている(もしくは死の一歩手前)人間を、手を触れずに蘇生させるかのような仕草も見せたが、それが本当にガメラによる能力なのかは謎。
イリス
以下の数字はいずれも成体のもの。
- 体長:99メートル
- 体重:199トン
- 翼長(展開時):199.9メートル
- 触手最大到達距離:1,999メートル
- 最高飛行速度:マッハ9
南明日香村の山奥の祠から覚醒した謎の生命体。劇中では長峰の調査によってギャオス変異体と断定されてはいるものの、いつから存在しているのか、どういった経緯やきっかけでギャオスから変異したのか等は明らかにされておらず、多くの謎に包まれている。また、ガメラに対し、強い憎悪を抱いているとされているが、どう言った経緯で憎悪するに至ったかも明らかにされていない。名前は、綾奈一家が東京に住んでいた時期の飼猫の名前(ギリシャ神話におけるイーリス)に基づく。
かつてのガメラと同様に勾玉を用いて人間と精神交感を行う能力(勾玉の形状はガメラの物と異なり鋭く尖った装飾で色は黒、交感時には青みがかった発光を伴う)。捕食時に相手の体液から遺伝子情報を読み取り即時解析することで、相手のDNAを自分のDNAに組み込んで相手の能力や特性をコピーし、染色体レベルで無限に自己進化する能力を持っている。
南明日香村の八代(社)の沢に「柳星張」の名で遥かな昔から卵の状態で封印されており、仮に復活を果たすことがあれば世界を終焉に導くと恐れられていた。そのため守部一族が代々封印の防人を務めていた。
イリスの別名「柳星張」は、中国星座二十八宿の内うみへび座にあたる南方の三宿に由来する事から、イリスが中国の伝説上の神獣で南方を守護する朱雀に対応する事が劇中の会話により示唆される[注 2]。なお、変異体故に劇中での戦闘能力はギャオスより遙かに高いが、ギャオスのような強力な繁殖能力を見せる事は無く、また持っているかどうかも不明。
イリスには以下の3形態が確認されている。
- 第1形態
- 南明日香村の祠に封印されていた卵から誕生した際の姿。
- いわゆる幼体の状態であり、体長1メートル程の巨大なカタツムリのような外見(この段階から既にギャオスと容姿は異なる)で頭部には二つの黒い瞳は存在するが口は存在しない。体を覆う殻からは触手が何本か出ており、その触手の先に収納されている鋭くとがった爪のようなものをエサとなる対象に突き刺し、体液を吸い取ることで捕食を行う。
- 作中では封印を解いた綾奈の手により育てられる事になる。その心中はガメラへの憎悪で満ちており、自身と同様にガメラを憎み周囲からほぼ孤立している綾奈の心中に共鳴。彼女に対し自身を保護・育成するように仕向ける。
- 第2形態
- 南明日香村の山中にて綾奈と融合を試みた際の姿。
- 幼体であった第1形態が山中の野生動物を捕食した結果、殻を開き触手が更に増え、発光する部分が形成されるなどの成体時の特徴が表れ始めている。山中で綾奈と遭遇した際にはガメラを超える戦闘能力を得るため、かつてのガメラ同様に人間との精神交感を試みるため対象の人間との生体融合をしようと、綾奈を自身の繭の中に取り込み神経系統の融合を図ろうとするも、直後に綾奈を龍成に助け出され失敗に終わる。融合の際は彼女を取り込むために触手と薄い皮膜、粘液状の物質で覆われた繭を形成する。この段階の大きさは体長3メートル程度(融合途上段階までは目の形状は幼体同様、黒目の両眼であり、繭の中に見えるその姿からでも確認できる。更に頭の3本の突起も少し、大きく成長している)。融合こそは失敗したものの、自身の染色体構造をも変える爆発的な自己進化を遂げた後、南明日香村の多数の村人を補食し、成体に成長していく事になる。
- 第3形態
- 成体となった姿。
- 綾奈との融合に失敗したあと、南明日香村の住人達[注 3]の体液を奪い取り更に成長。体色もオレンジに変化し、無数にあった触手も槍腕や脚に姿が変わり直立二足歩行を行うなど、人間的な特徴の体を持った状態となる。最初のカタツムリのような姿から、人型に近い姿に変化したのは、綾奈との融合の際に読み取ったDNAを吸収した事に加え、村の住人の体液を吸い取る際に、同様に彼らのDNAを吸収、それに伴う爆発的な自己進化を起こした事による結果だと考えられる。
- 頭部の形は僅かにギャオスの面影を残してはいるが、新たに発光する単眼とそれを覆う外骨格が旧頭部の上部に形成されている。身体的な特徴として単眼の他にも両肩から2本ずつ計4本生えている伸縮自在の触手、両腕の鋭利な槍状の手甲、部分的に発光する胴体、背面の4枚の翼状の突起などが認められる。背中には、ガメラの甲羅に良く似た外殻が存在する。
- ギャオス同様、超音波メスを攻撃手段としてはいるものの、全体的な形態は上記の通り人型であり、頭部を除いてギャオスの原型はおろか面影を認める事すら困難である。鳴き声はギャオスのような甲高い声では無く、フクロウやキジバトなどの鳥類の声を濁らせたような低い声で発声する。
- 自衛隊の一個小隊を全滅させ、自衛隊のF-15並びにガメラとの空中戦を展開。ガメラの猛烈な追撃に苦戦しながらも両者を振り切った後、綾奈との完全融合を求めて京都に飛来し、JR京都駅ビルにてガメラとの死闘を繰り広げる。空中戦とは一転して綾奈の憎悪に呼応するようにガメラを圧倒、手甲を使った攻撃で胴体を貫通、重傷を負わせて一時戦闘不能に追い込む。その場で綾奈と再会するも駆けつけてきた龍成によって自身と綾奈を結ぶ繋がりを絶たれ激昂する。龍成を攻撃し、再度強引に彼女を自らの体内に取り込み、ついに彼女との融合を果たしたかに見えたその時、再起したガメラの逆襲で腹部を抉られ、今度は自身が重傷を負わされた上、融合寸前の綾奈を掴み出されてしまう。手甲でガメラの右手を壁に突き刺し反撃を計るも、ガメラは自らの右手をプラズマ火球で爆砕させて切り離して脱出。吸収したガメラの体液からコピーしたオーバーブースト・プラズマを放つも、ガメラは破砕した右腕で受け止め、起死回生のバニシング・フィストを発動させ、綾奈の救出時に開けられた傷口に炎の塊となったガメラの右掌をねじ込まれて爆死。その後、その亡骸も頭部をガメラに踏み潰される。
能力
- ジーン・スナッチャー
- 腹部の中心の発光体部分が開いて、強力な吸引力で生き物を吸い込み、体内に取り込んでしまう。綾奈を完全に融合させるために使用したが、一度目は龍成に、二度目はガメラに阻止された。
- テンタクランサー
- 4本の触手。先端は矢じり状になっていて、ギャオスより遥かに高出力の超音波メスを放つほか、生き物に突き刺して、獲物の体液を吸い尽くしてしまう。また、この部分には独立した中枢器官(副脳)があり、それぞれ個別に自己判断を下し、敵からの攻撃に対処する。
- この他、下記の通り飛行する際にも利用する。
- 飛行能力
- テンタクランサーを展開させ、その間に両肩の翼から発生させた半透明の膜で軌道をとり飛行。攻撃の際は1本ないし、2本閉じて攻撃に使う。また、両肩にある突起の付け根部分から、ジェット噴射のような役割を担う部分があり、ここでも機動調整を行っている。飛行速度はマッハ9で、この際脚も触手状に変化している。
- 超音波メス
- テンタクランサー先端から放たれる。その性能は単純な威力面でもギャオスのものを上回り、縦横無尽に動く触手の機能も相まって、全方向・広範囲に向かって計4つものメスを放つ事が可能。空中戦でガメラに放ち、ガメラの皮膚だけで無く、甲羅にまでダメージを与えた。
- アンチ・プラズマ・フィールド
- テンタクランサーを振り回してガメラのプラズマ火球を払いのける技。作中では撥ね除けられた火球の着弾によって京都は激しく炎上してしまう。
- スピア・アブソーバ
- 腕の手甲部分が伸びて、槍状に変化する。ガメラの甲羅を刺し貫くほどの威力で、更にはテンタクランサー同様、この部分からも相手の体液やDNAを取り込むことが可能。作中では復帰したガメラに対し、右掌に突き刺すことで動きを封じるも、これで墓穴を掘る事となる。
- オーバーブースト・プラズマ
- スピア・アブソーバから吸収したガメラの血液を体内で解析、ガメラのプラズマ火球をコピーし、テンタクランサーの展開した先端から発射する。別名「偽プラズマ火球」。しかし、右掌を捨てその火球を受け止めたガメラに「バニシング・フィスト」を編み出され、そのカウンターを受けて爆砕されてしまった。
ギャオス・ハイパー
レギオン戦でのマナの消費により生まれた、『1』の個体とは別種のギャオス。『1』のギャオスと比べると繁殖力、攻撃力、飛行力は大幅に上がっている。
体格はほっそりとした動物的なものになっており、体色は黒く、一部に赤が混じっている。渋谷浜辺でも2頭が確認されたが、1頭はガメラにプラズマ火球を当てられて渋谷駅へ墜落して重傷を負った身にとどめを刺され、残る1頭もプラズマ火球を3発連続で当てられて爆死する。
その後、世界中で現れるも全てガメラに殺されている(「倒している」という台詞のみであり、描写はされていない)。
ラストでは、大量の個体が日本に向かって飛行する姿が描かれている。
なお、『1』のラストでは「もしギャオスが古代の時代に渡りを行っていたとしたら、世界中にギャオスの卵があってもおかしくない」と今作におけるギャオスの大量発生を示唆する会話がなされている。
劇中においてはギャオス・ハイパーの名称は一度もなく、「ギャオス」と称されている。
登場人物
- 長峰 真弓(ながみね まゆみ)
- 演:中山忍
- 本作の主人公で、鳥類学者。
- 『1』の頃、ギャオスと初めて遭遇し、ガメラとギャオスの戦いが終わった後もギャオスの生態研究をしており、本作ではギャオス研究の第一人者となっている。『1』の後、ギャオスに関する事柄をまとめた『怪鳥と遭遇した日』という著書を出版しており、『2』では直接は登場しないが、その著書が登場人物の私室に置かれている(今作でも、比良坂綾奈の私室に置かれる形で登場している)。
- 浅黄から地球の生命エネルギーマナについて聞かされ、3年前のレギオンとの戦いで、ガメラがそれらを使ったことがギャオス大量発生の要因であったことを知ると同時に、奈良県の南明日香村でイリスの存在を知ることになり、やがてガメラとイリスとの死闘に関わっていく。
- 比良坂 綾奈(ひらさか あやな)
- 演:前田愛(4年前:前田亜季〈声は前田愛〉)
- もう一人の主人公。中学生の少女。1984年10月4日生まれ。
- 4年前までは都内のマンションに一家で住んでいたが、ガメラとギャオスの戦いに巻き込まれて両親を失い、それ以来ガメラを激しく憎み続けている。やがて南明日香村に住む親戚の日野原家で居候となるが、日野原への改姓を要求する繁樹の母親や、よそ者扱いする同級生、知美・早苗・夏子の悟に対するいじめにより、悟や理解者の繁樹以外とは心を閉ざしてほとんど口を聞かず、自分の殻に閉じこもる生活を送る。
- 偶然にも山中の社の沢で「柳星張」に封印されていた災厄(イリス)を解放させてしまう。やがて両親の仇と見なすガメラに対する憎悪からイリスを育て始め、交信するようになる。
- ガメラに対する憎しみは、両親を失ったショックや当時の悪夢がフラッシュバックし、その現実を受け入れられないことでガメラを非現実的なほど凶悪な存在に増長したものである。イリスとの最初の融合に失敗した後、意識不明となり奈良県内の病院に搬送されたが、彼女の存在を重要視した朝倉により、京都に連れ去られる。その知らせを聞いた長峰が彼女の居場所を突き止め、東京の病院に運ぼうとした際、京都には台風が上陸していたため、立ち往生。その最中にイリスが飛来、その後遅れて飛来したガメラを浅黄の制止も耳に入らず殺すように懇願。イリスに取り込まれた後は、ガメラに対する憎しみは思い違いであった事、そのショックと現実を受け入れられなかったせいで周りの多くの人が犠牲となった事を知り、困惑し助けを求めたと同時にガメラに救われ、ガメラがイリスを撃破した直後に長峰達のおかげで一命を取り留め、龍成の腕の中で泣きながら謝り続けた。
- 草薙 浅黄(くさなぎ あさぎ)
- 演:藤谷文子
- 前2作ではガメラの心を知る人間として活躍したが『2』の後に留学していたようで、本編中盤に帰国。長峰にコンタクトを取り、再び長峰と行動を共にして活躍する。勾玉が壊れた後もガメラを信じている。
- 守部 龍成(もりべ たつなり)
- 演:小山優
- 数百年続く旧家で柳星張を代々守ってきた守部家の長男。
- 日野原家に身を寄せる綾奈とは同級生で幼馴染みの間柄である。綾奈に恋心を寄せているが、話しかけてもほとんど無視されて相手にされない日々が続く。
- 伝えきれない綾奈への好意と優柔不断な性格から柳星張に封印されていた災厄(イリス)の解放を許し、間接的ではあるがイリス覚醒の原因となってしまっている。
- 祖母(守部家の刀自)から柳星張の伝説を聞き、守護を受け継ぎ十束剣を持ち出す。明くる夜にイリスの繭に取り込まれた綾奈を十束剣を用いて救出するが、イリスが作った繭で全身が濡れて気絶していた状況から、繁樹や駐在に綾奈を暴行したと在らぬ疑いをかけられてしまう。
- イリスの襲撃で南明日香村が壊滅した後も生存しており、祠に立ち寄った長峰と遭遇したことで比良坂姉弟との接点を導く。綾奈の事で苦悩していたところを大迫に励まされ、綾奈を救うため共に京都に向かう。
- ギャオス、レギオンを倒して地球の危機を救ったガメラに憧れを抱くという幼心を持ち合わせており、ガメラの行動も弁護する。
- 綾奈のことは当初「比良坂」と呼んでいたが、物語の中盤から「綾奈」と呼ぶようになる。綾奈からは「守部くん」と呼ばれている。
- 守部 美雪(もりべ みゆき)
- 演:安藤希
- 龍成の妹。
- 綾奈が知美、早苗、夏子の3人に杜の沢へ連れられてきたことを兄へ伝えるなど、正義感が強い。また、繁樹から兄の龍成が綾奈に暴行したと疑われた際は強く庇うなど兄想いな性格でもある。
- 本編ではイリスが南明日香村を襲撃した後の出番は無くなるが、その後聞き込みに訪れた警察に対し祖母と共に応対する未公開シーンがある為、生存している。
- 比良坂 悟(ひらさか さとる)
- 演:伊藤隆大
- 綾奈の弟で、4年前のギャオス東京襲撃時は千葉県 松戸市の親類宅に避難していたため無事であった。父親の遺品であるカメラを持ち歩いている。綾奈の同級生3人組から「よそ者」扱いをされいじめを受ける。姉の綾奈とは違いガメラへの憎しみは皆無。
- 朝倉 美都(あさくら みと)
- 演:山咲千里
- 内閣官房・内閣情報調査会所属で巨大生物被害災害審議会メンバーであり、日本国の根幹に通じているとされる謎の女。
- 倉田をブレーンに仕立て、被害規模などさまざまな事柄をシミュレートする。倉田によるとギャオスを創造した超古代文明人の末裔であり、イリスと交わるのは本来なら彼女の役割だったらしい。最期はガメラとイリスの戦いで火の海と化した京都の街を目の当たりにし、綾奈の勾玉を奪い、自らがイリスとの融合を図り進撃を阻止しようとするも、イリスとガメラの激突により破壊された京都駅の崩落に巻き込まれ、断末魔の叫びを残し死亡する。
- 倉田 真也(くらた しんや)
- 演:手塚とおる
- 推計統計学をモチーフにしたゲームで有名となったコンピュータープログラマー。
- 長峰に謎のプログラムディスクを郵送してくる。長らく行方不明とされていたが、実際は京都におりブレーンとして朝倉を補佐していた。
- ガメラやギャオス、そしてそれらと繋がった浅黄や綾奈のような特殊な存在に対して独自の見解を語る。
- 未公開シーンでは、京都を訪れた浅黄に「ガメラが人を踏み潰す理由、聞いてる?」と言うなど結構毒舌である。「人類は怪獣によって滅んだ方がいい」と考えている節がある。
- 最期は、ガメラとイリスの戦いで破壊された京都駅の落ちてきた天井の瓦礫の下敷きになり、死への恐怖を実感し、笑いながら死亡する。
- 大迫 力(おおさこ つとむ)
- 演:螢雪次朗
- 3部作を通して登場しており、怪獣の出現で人生を狂わされた男。
- 『1』では長崎県警の刑事、『2』では北海道の酪農家からビール工場の警備員と職を転々とし、最終的に流れ着いた渋谷の街で古雑誌を売るホームレス生活をしていた。そして、偶然長峰にばったり会うが、この時は「別人だ」と言って話をしなかった。
- ガメラとギャオス・ハイパーの激戦による渋谷の炎上後、他のホームレス仲間はギャオスの飛散した肉片に押し潰されて死亡し、逃げるのに疲れ果てていたところで長峰と三度再会、彼女に励まされて奮起する。その後、壊滅した南明日香村の調査に同行した際、以前の自分と同様に失意の底にいた龍成を諭し、共に京都に向かうが、そこにイリスが降り立ち、更にはそれを追ってガメラも降り立ち、激戦によって生じた大混乱に巻き込まれる。その後の行方は明かされていない。
- ギャオスとレギオン双方の第一発見者の1人である。
- 斉藤 雅昭(さいとう まさあき)
- 演:本田博太郎
- 『1』からは出世しており、朝倉に対し不信感を抱き警戒している。いまや怪獣の専門家で通っており(この事は巨大生物災害被害審議会の開始される直前に長峰に明かしているが、当の長峰は困惑した反応を見せている)、『1』とは一転して、ガメラを弁護する立場へ回り、長峰たちに協力する。京都での綾奈の居場所を長峰に教えたのも彼である。
- 日野原 繁樹(ひのはら しげき)
- 演:堀江慶
- 日野原家の長男で21歳前後の大学生。
- 母親と違い心優しい性格で、改姓を拒む綾奈の主張も尊重している。通っている大学が社の沢を調査しようとしたことがあるらしく、社の沢について自分が知っていることを綾奈に教える。
- 社の沢から綾奈を救出した龍成に対して、「綾奈を暴行して気絶させたのではないか」と年齢の近い男として強く疑う。
- その後、両親と共に自宅に奇襲してきたイリスに捕食され死亡する。
- 桜井
- 演:八嶋智人
- 長峰の後輩で、国立遺伝子研究所に勤務している。長峰から送られたイリスの細胞を分析する。
- 野尻 明雄(のじり あきお)
- 演:川津祐介
- 前作にも登場。札幌市青少年科学館の館長。『2』からは出世している。ギャオスやレギオンの脅威から人類を救ったガメラを弁護するが批判される。
- 綾奈の両親
- 演:三田村邦彦、かとうかずこ
- 1995年のギャオス東京襲来時、娘の綾奈が手術を受けた直後のため避難が遅れ、マンションの部屋に残っている飼い猫の「イリス」を部屋から車に連れ出そうとした時に上空から偶然ガメラが落下。さらに綾奈の眼前で、戦いの衝撃によりマンションは崩壊し、飼い猫の「イリス」と共に2人共死亡する。
- 守部家の刀自
- 演:清川虹子
- 龍成、美雪の祖母。
- 孫の龍成に封印されている柳星張(イリス)についての歴史や言い伝えを教えた。イリスの襲撃後も上述の通り未公開シーンで登場しているので生存している。
- 女性キャンパー
- 演:仲間由紀恵
- 南明日香村で友人の大輔(演:本田大輔)たち数人とキャンプをしていた女子高生。イリスに捕食され最期はミイラ化され死亡する。劇中の出演時間は、ほぼ1分ほどしかない。
- 八洲海上保険・応対の社員
- 演:生瀬勝久
- 八洲海上保険会社に訪れた朝倉に、ガメラから採取された割れた勾玉を見せていた人物。
- 彼の口から3年前にレギオン襲来時に仙台にてガメラが復活した際、浅黄の持っていたものも含め全ての勾玉が砕けていたことが明かされる。
- 知美、早苗、夏子
- 演:竹村愛美(知美)、藤崎安可里(早苗)、山口日記(夏子)
- 3人とも綾奈と悟をいじめていた同級生で(間接的ではあるが)イリス誕生の元凶ともいうべき存在。イリス襲撃後の3人の消息は不明。
- 先遣小隊小隊長
- 演:高杉俊价
- 大野一等陸佐(第37普通科連隊 連隊長)
- 演:渡辺裕之
- シリーズ3作すべてに登場。奈良県 南明日香村の山中で成体化したイリスと交戦するが歯が立たず、部隊は壊滅してしまい、その後の行方は不明。
- 奈良の駐在
- 演:徳井優
- 社の沢で龍成が綾奈を救出し救急車に搬送する際、「龍成が綾奈を暴行したのではないか」と繁樹と共に問い詰める。
- 京都の警官
- 演:伊集院光
- 京都駅の近くでイリス出現にともなう避難誘導を行うが、京都駅の方向へ行こうとした龍成を取り逃がしてしまう。自分を押さえつけた大迫を背負い投げし逮捕するが、ガメラとイリスの戦いを見て大迫共々絶叫する。
- 奈良の巡査
- 演:野口雅弘
- イリスの襲撃によって「村の半分ほどやられた」と南明日香村の被害状況を本部に無線で伝える。長峰、大迫達に社の沢の存在を教える。
- 渋谷のOL
- 演:川嶋朋子
- 渋谷の女子高生
- 演:三輪明日美
- 繁樹の両親
- 演:斉藤暁、根岸季衣
- 綾奈と悟の親戚で2人を引き取る。母は綾奈が名字を変えないことに不満を抱いている。父は改姓しないことに不満を抱いていないが、母に促され綾奈に苗字を変えるよう諭した。2人ともイリスが南明日香村を襲撃した際に犠牲となり死亡。遺体を長峰、大迫達に発見される。
- 医師
- 演:田口トモロヲ
- 「かいれい」チーフ
- 演:廣瀬昌亮
- 「かいれい」クルー
- 演:石橋保、鴻上尚史、小瀬川理太
- 航空総隊・コントローラー
- 演:上川隆也、嶋田豪
- 航空総隊・先任管制官
- 演:石丸謙二郎
- 航空総隊・司令
- 演:津川雅彦
- ホームレス
- 演:掛田誠、栩野幸知、山東蒼
- 街頭インタビュー対象者
- 演:重松収、仁科克子
- 護衛の自衛隊員
- 演:仁科貴
- 『ザ・ワイド』ディレクター
- 演:近江谷太朗
- 『ザ・ワイド』プロデューサー
- 演:渡辺いっけい
- 『ザ・ワイド』出演者
- 演:草野仁、小沢遼子
- 『きょうの出来事』キャスター
- 演:鷹西美佳
- 臨時ニュースアナウンサー
- 演:増田隆生、舟津宜史、角田久美子、松永二三男
- ウェザーキャスター
- 演:松本志のぶ
- 渋谷のレポーター
- 演:小松みゆき
登場兵器・メカニック
- 自衛隊
- 82式指揮通信車
- 73式大型トラック
- 73式中型トラック
- 新型73式小型トラック
- 高機動車
- 偵察用オートバイ
- 1トン半救急車
- 地対空誘導弾ペトリオット
- F-15J戦闘機
- E-2C早期警戒機
- UH-1H多用途ヘリコプター
- SH-60J哨戒ヘリコプター
- こんごう型護衛艦「みょうこう」
- あさぎり型護衛艦「やまぎり」
- 110mm個人携帯対戦車弾
- 84mm無反動砲
- 64式7.62mm小銃
- 62式7.62mm機関銃
- 海洋研究開発機構
スタッフ
- 監督:金子修介
- 脚本:伊藤和典、金子修介
- 特技監督:樋口真嗣
- 怪獣造型:原口智生
- 怪獣デザイン:前田真宏、樋口真嗣
- 繭雛型:竹谷隆之
- イリス造型:品田冬樹、山部拓也 ほか
- 操演:尾上克郎
- CGディレクター、予告編制作:佐藤敦紀
- 音楽:大谷幸
- 主題歌:「もういちど教えてほしい」
- 作詞:金子修介 作曲:大谷幸 編曲:ヨシオ・J・マキ 唄:ユリアーナ・シャノー
- 撮影:戸澤潤一
- 照明:吉角荘介
- 美術:及川一
- 録音:橋本泰夫
- 編集:冨田功
- 助監督:村上秀晃、山口晃二、山川雅彦、堀川慎太郎、窪田祐介
- 音響効果:伊藤進一、小島彩
- サウンドエディター:浅梨なおこ
- スタントコーディネーター:阿部光男
- A.S.Pユニットラインプロデューサー:和田倉和利
- フィリピンロケラインプロデューサー:大西洋志
- スタジオ:大映スタジオ
- 現像・製作協力:IMAGICA
- 特撮ユニット
- ビジュアルエフェクト:ビジュアルサイエンス研究所、デジタルフロンティア、デジタルエンジン研究所、ゴンゾ、日本エフェクトセンター、日本映像クリエイティブ、ツドー工房、IMAGICA
- 特別協力:防衛庁、西日本旅客鉄道、京都駅ビル開発
- 宣伝協力:セガ・エンタープライゼス、東芝、メディアファクトリー
- 総指揮:徳間康快
- 製作代表:加藤博之、石川一彦、小野清司、鶴田尚正
- プロデューサー:土川勉、佐藤直樹、南里幸
- アソシエイトプロデューサー:奥田誠治、藤巻直哉
- 製作:大映、徳間書店、日本テレビ放送網、博報堂、日本出版販売
スーツアクター
受賞歴
- 1999年日本インターネット映画大賞 日本映画作品賞
備考
- 前作のヒロイン・穂波碧を演じた水野美紀を同役で再登場させる予定だったが、スケジュール[注 4]等の諸事情により実現しなかった。
- 助演であった守部龍成役の小山優については、妹・美雪役の安藤希(新人表記)とは異なりプロフィールがパンフレットでは取り上げられず、関連書籍『ガメラ3 バニシングブック』で簡潔なフィルモグラフィーと樋口のコメントが紹介された程度であった。メイキング映像にもごくわずかしか登場していない。BD版の「15年目の証言」では、助監督の堀川慎太郎[注 5]が自宅に居候させたエピソードが語られている。
- 前2作と同様に日本テレビが制作に関わっているため、当時できたばかりのCSニュース専門チャンネル「NNN24(現・日テレNEWS24)」の麹町スタジオが報道スタジオとして登場している。番組としては『THEワイド』『NNNきょうの出来事』『NNNニュースダッシュ』が劇中に登場し、『THEワイド』のシーンでは司会の草野仁らと共に、前作に登場した野尻(札幌市青少年科学館館長、演:川津祐介)がゲストコメンテーターとして登場している。また、過去2作品では関わった町の地元系列局が登場していたが、本作の舞台だった奈良や京都の地元局・よみうりテレビは登場していない。
- セガのドリームキャストとタイアップしており、長峰の自宅のゲーム機として登場している。ビジュアルメモリ『ガメラ ドリームバトル』も発売された。
- 冒頭の渋谷の戦闘シーンでは、NHK放送センターの局舎が何度か大映りしている。これは監督が破壊する中心エリアを渋谷駅 - 渋谷センター街周辺か、シブヤ西武やNHK局舎などの宇田川町周辺に候補を絞っていたからとされる。なお、特技監督の樋口が『トップランナー』に出演した際、ギャオスに向けて放たれたプラズマ火球がNHKを直撃する絵コンテを描いているが、完成した映画本編では被害を受けていない。
- 渋谷の破壊シーンは実際の渋谷駅前や渋谷センター街での大規模なロケを予定していたが、許可が下りなかった(渋谷は映像作品のロケに対する許可が下りにくい)ためにセットおよび極力雰囲気の似た別の場所(主に吉祥寺)で撮影された。また、ギャオスから発せられた超音波メスによって建物が切断された丸井(マルイシティ渋谷)からは建物破壊の描写への承諾を得られたが、名称使用については難色を示された(既に丸井「0101」ビルとしてミニチュアが完成していたという)ため、ビル壁面の「0101」ロゴが「9191」という架空の名称に変更されている[注 6]。
- 舞台の奈良県高市郡「南明日香村」は実在しない。ロケの大半は山梨県大月市周辺で行い、ミニチュア特撮シーンのいくつかはさがみ湖ピクニックランド(神奈川県相模原市)および大映撮影所で撮影された。山梨県で撮影した国鉄115系電車をそのまま奈良の電車として登場させた。
- 渋谷でのギャオス戦でガメラがギャオスの超音波メスから逃げ遅れた子供をかばうようなシーンがある。監督の金子は「もっとガメラが子供を守るように見せたかった」と語っている。
- 奈良山中での陸上自衛隊先遣小隊とイリスの戦闘シーンは、陸上自衛隊第1師団第1普通科連隊の協力により撮影された。射撃場面では空包が使用されている。空包射撃の場面は実際の陸自隊員によるものであるが、台詞のある場面は役者によるものであり、別録りの両シーンをつなげて編集された。
- 映画公開時に舞台となった京都駅ビルにて、作品にまつわる写真や模型などを展示した「ガメラ展」が東広場で開催された。
- ゲーム『The Tower II』のプラグインマップに、本作とタイアップした「京都駅ビル GIII」がある。
- 監督の金子は、平成ガメラ三部作の終了後に始まったゴジラのミレニアムシリーズの『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の監督も担当したため、ガメラとゴジラの両怪獣映画を撮った初の監督となった。
- 「かいれい」のチーフを演じた廣瀬昌亮は、本作が公開された翌日の3月7日に肝臓癌のため、53歳で死去している。
- 前作でウルティメイト・プラズマを出した後での今作の必殺技に悩む樋口真嗣に、怪獣造型の原口智生が香港映画の『片腕ドラゴン』を思い出し「腕の一本でもちぎれちゃえば」と助言したところファイヤーハンド(バニシング・フィスト)が生まれた。ガメラも人間同様痛みを伴わないとヒロイズム的にどうか、と言う意味が込められている[3]。
映像ソフト
発売元は大映→角川エンタテインメント→角川映画(現:角川書店)。大映時代は徳間ジャパンが販売元となる。
- VHSは1999年9月1日に発売。2000年2月4日に廉価版発売。
- LDは1999年10月にLD-BOX「ガメラ3 邪神覚醒 特別版LD-BOX」として発売。3枚組で、メイキング映像(GAMERA1999とは異なる)・オミット集・「もういちど教えてほしい」ミュージッククリップ・スタッフインタビューなど本タイトルのみの特典映像を多数収録している。
- DVDは2001年2月21日に発売(ジュエルケース)[4]。
- 2001年3月23日発売の「ガメラ THE BOX(1995-1999)」[4]、2006年8月31日発売の「ガメラ 生誕40周年記念Z計画 DVD-BOX」に収録されている。
- 2007年10月26日に単巻(トールケースに改訂)が再発売。
- 何れも2001年発売の単巻版マスター(メニュー画面含む)を使用している。
- 2010年7月23日にBlu-ray Disc版のデジタルリマスターを使用したDVDデジタル・リマスター版が発売。
- Blu-ray Discは2009年8月28日発売の「平成ガメラ ブルーレイ BOX」および単巻版が同時発売。HDリマスター処理を施しており、特典映像として制作陣のインタビュー集「15年目の証言」の一部[注 7]を収録している。
脚注
注釈
- ↑ 『1』には、ギャオスに襲撃された島の集落を調査するシーンがあり、同じく長峰と大迫が調査に携わっている。
- ↑ 江戸時代に力自慢の力士でも動かせなかったと伝えられている、亀の甲羅を模した封印の要石には「柳星張」という名で、朱雀の姿に酷似したギャオスらしき怪鳥の姿が刻まれている。
- ↑ 作中の警察無線によると被害者は集落の約半数に相当する27人(男性11・女性16)と台詞があるので下記のように生存者はいる模様。
- ↑ 本作とほぼ同時期に撮影されていた『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年10月公開)に、メインキャストの一人として出演していた。
- ↑ 現・アルタミラピクチャーズ プロデューサー。
- ↑ 丸井ビルの名称変更についても、ガメラ3関連書籍にて特技監督の樋口がインタビューに答えている。
- ↑ 全3作のディスクに五十音順・三分割で収められており(各2時間前後)、本作には3つめのパートを収録。
出典
参考文献
- 『平成ガメラパーフェクション』 電撃ホビーマガジン編集部、KADOKAWA〈DENGEKI HOBBY BOOKS〉、2014年。ISBN 9784048918817。