オリエンタルエアブリッジ
オリエンタルエアブリッジ株式会社(略称 : ORC)は、長崎空港を拠点とする日本の航空会社である。
概要
1961年に長崎県などが出資する第三セクターの航空会社長崎航空として設立され、長崎県内の離島空港と長崎、福岡間を定期運航してきた。1990年代末から、従来は県OBが就任していた社長職に民間の航空関係者を招き入れる、県の出資割合を減らすなどの経営改善策を進め、2001年3月1日に社名をオリエンタルエアブリッジに変更した。
同時期にそれまでの機材より大型で就航率が高い新機材 (DHC-8-200 (DASH 8)) を導入した。その後は長崎 - 五島福江・対馬・宮崎・鹿児島線などを開設する一方で、福岡路線や小型機材を使用していた上五島・小値賀線は廃止又は休止した。
ICAOの航空会社コードは長崎航空時代から続くNGKであったが、現在ではORC。
設立以来、航空機使用事業・航空機運航受託事業を行っており、測量・航空写真撮影等のほか、長崎県の漁業取締航空機のチャーター運航や防災ヘリコプター受託運航等、第三セクター企業として行政需要に応えた業務展開を図ってきた。航空機使用事業については1999年にエス・ジー・シー佐賀航空に事業譲渡して大幅に縮小しているが、長崎県の防災ヘリコプター受託運航については現在も継続している。
2013年12月11日 オリエンタルエアブリッジは、保有している2機のデ・ハビランド・カナダ DHC-8-Q200型機が2019年と2020年に構造寿命を迎え、2016年には更新機材の方針を決定する必要があるが、現行機種はボンバルディア・エアロスペースで既に製造が終了しているため、更新機材の有力な候補として、ATR社製・ATR 42に絞り、導入検討が進められている[1]。
2016年になり国土交通省内に持続可能な地域航空のあり方に関する研究会(座長竹内健蔵東京女子大学教授)が設置され、議事進行の過程において、ANAウイングスが運用しているDHC-8-Q400をリース導入し、福岡-宮崎線の開設を明らかにした[2]。
2017年10月、ANAウイングス機材であるQ400を使用して福岡-宮崎線を開設。福岡-五島福江線の一部もQ400で運航開始。なお、Q400の乗務員はORCではあるが、ANAウイングスとの共通事業機でANAの塗装となる。そして、特定の機体番号の機材を集中的に使用するわけではない。またORC塗装のQ400も存在しない。
沿革
- 1961年6月 長崎航空株式会社 (NAW)、設立。
- 1967年 長崎 - 五島福江線、福岡 - 壱岐線を全日本空輸に委譲、旅客輸送事業から撤退。
- 1980年5月 長崎 - 壱岐線で定期旅客輸送を再開。
- 1981年4月 長崎 - 上五島線開設。
- 1984年12月 福岡 - 上五島線開設。
- 1985年12月 長崎 - 小値賀線と福岡 - 小値賀線開設。
- 1993年4月 長崎県の防災ヘリコプター受託運航を開始。
- 1999年4月 航空機使用事業の大部分を佐賀航空(現・エス・ジー・シー佐賀航空)に事業譲渡。機材も移管。
- 2000年7月 福岡空港 - 壱岐線開設。
- 2001年3月 オリエンタルエアブリッジ株式会社に社名変更。
- 2001年7月 新機材としてボンバルディア社のDASH 8 Q200を導入。
- 2001年8月 エアーニッポンが撤退した長崎 - 鹿児島線を開設し、離島路線以外に初進出。
- 2002年4月 長崎 - 五島福江線と大阪/伊丹 - 五島福江線開設。
- 2002年10月 福岡 - 五島福江線開設。
- 2003年1月 : 福岡 - 壱岐線廃止。
- 2003年8月 : 福岡 - 五島福江線と大阪/伊丹 - 五島福江線休止。
- 2003年9月 : エアーニッポンが撤退した長崎 - 対馬線開設。
- 2005年3月 : 長崎 - 宮崎線開設。
- 2006年3月31日 : 長崎・福岡 - 小値賀・上五島線を廃止。これらの路線で使用されていたブリテン・ノーマン アイランダーは全機退役。
- 2007年5月 : 搭乗者累計100万人達成。
- 2008年8月 : 赤字路線の減便・廃止、収益が見込める路線への参入、新規機材導入の見送り、全日本空輸との販売提携など、経営再建計画を公表[3]。
- 2009年1月 : 全日本空輸とコードシェア及びシステム提供等の業務提携について基本合意書を締結[4]。
- 2009年11月1日 : 全日本空輸とのコードシェア運航を開始、長崎 - 宮崎線廃止、五島福江 - 福岡線開設[5]。
- 2010年10月 : 保有機材のうち1機が新塗装となり再就航する。(JA802B型機、もう1機は来年新塗装化予定。)
- 2011年5月28日 : 東京の旅行会社「クラブツーリズム」と連携し、五島福江 - 壱岐間にチャーター便の運航(1ヶ月に3、4回)を開始[6]。
- 2012年3月31日 : 長崎 - 鹿児島線廃止。
- 2013年3月7日 : 同年9月にかけて、旅行会社ジェイティービーの東京発周遊ツアー「五島列島と長崎・天草4日間~世界遺産候補地長崎の教会群とキリスト教関連遺産の地を訪ねて」として、五島福江空港から、熊本県天草市の天草飛行場まで、合計9便のチャーター便を運航[7]。
- 2014年2月12日 13時27分、保有機材JA801B、長崎空港を離陸し、同空港において6回の連続離着陸訓練を実施し、14時22分同空港に着陸したが、4回目の離着陸訓練を行った際、強めの接地となり、胴体前方外板等を損傷した。
- 2017年10月29日 福岡~宮崎線就航。ANAウイングス機材、ORCの乗務員で運航となる。
- 2017年12月 ボンバルディアDHC8-200が不具合に伴い両機ともに使えない状態になるアクシデントが発生し、期間中ANAウィングスのDHC-8-Q400による臨時便が福岡/五島福江線で運航された。
- 2018年10月28日 福岡~小松線就航。ANAウイングス機材、ORCの乗務員で運航となる。
機材
ターボプロップ機を2機保有している。年に数回整備、点検などにより、運航便が欠航になったりする。
下記機材の他、ANAウイングスとの共通事業機としてDHC-8-Q400も運航している。
Q400についてはANAの塗装となり、特定の機体番号の機材が集中してORCで運用されるわけではない(2018年現在)。
前述、自社機材欠航時、ANAウィングス共通事業機による臨時便運航で対応する事もある。
- ボンバルディア DHC-8-Q200(JA801B、JA802B)
オリエンタルエアブリッジ 運用機材一覧[8] ※ANAウイングスとの共通事業機を除く | |||||
---|---|---|---|---|---|
機体型式 | 機体番号 | 製造番号 | 受領年月 | 備考 | |
DHC-8-201 | JA801B | 566 | 2001年03月22日 | Y37席 | |
JA802B | 579 | 2001年12月13日 | Y37席 |
退役機材
- 定期航空運送事業用
- BN-2 アイランダー : 2006年3月に退役
- GAF ノーマッド : 比較的利用客の多い路線向けとして1982年に2機を導入。長崎 - 壱岐線などで使用したが、1987年に運航を終了し新中央航空へ移籍。
- 航空機使用事業用
- セスナTU206
- セスナ172
- 航空機使用事業用の機材は、測量・航空写真撮影等のほか、長崎県の漁業取締航空機としてのチャーター運航にも使用された。1999年以降は、事業譲渡に伴ってエス・ジー・シー佐賀航空に移管されている。エス・ジー・シー佐賀航空も長崎空港内に長崎支店を開設し、漁業取締航空機運航等に対応している。
就航路線
2018年3月25日現在。福岡-福江線の一部と福岡-宮崎線を除く全便がORCの機材・乗務員を用いるANAとのコードシェア便。福岡-福江線の一部と福岡-宮崎線の全便はANAウイングスの機材・ORCの乗務員を用いるANAとのコードシェア便。
2018年現在、ORCの就航地で長崎県外にある空港は福岡空港と宮崎空港だけである。
運航・整備受託業務
- 長崎空港旧大村空港地区にある長崎県防災ヘリコプター事務所内に、防災ヘリ運航部を設置し、長崎県の防災ヘリコプター「ながさき」(川崎BK 117C-1)の運航・整備を受託している。
その他
- オフィシャルサプライヤーに日本プロサッカーリーグ加盟「V・ファーレン長崎」がなっていて、試合観戦チケットプレゼントなど企画を行っている。
脚注
- ↑ “オリエンタルエアブリッジ、ATR42型の導入検討 16年に更新機方針 19年~20年に現有機構造寿命で”. 旅行業界・航空業界 最新情報 − 航空新聞社. . 2013閲覧.
- ↑ オリエンタルエアブリッジ、Q400の副操縦士を募集 リース導入見据え
- ↑ 毎日新聞jp [オリエンタルエアブリッジ:再生案 長崎-宮崎線廃止へ 長崎] 2008年8月22日
- ↑ ANA、オリエンタルエアブリッジ(ORC)と業務提携
- ↑ 11月1日より、ORC・ANA 国内線共同運航(コードシェア)を開始
- ↑ 五島-壱岐間チャーター便スタート ORCが月3,4回運航 長崎新聞HP
- ↑ “オリエンタルエアブリッジ、五島福江/天草間でチャーター便運航へ”. FlyTeam ニュース. . 2013-2-5閲覧.
- ↑ オリエンタルエアブリッジ 運用中機材
関連項目
- 神はサイコロを振らない : 東洋航空402便として同社の機体が登場する。
- コミューター航空会社
外部リンク