オストロフスキーの定理
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数論において、オストロフスキーの定理 (Ostrowski's theorem) とは、有理数体 Q 上の全ての非自明な付値は、通常の実数の絶対値か、または、p-進付値に同値であるという定理である[1]。1916年にアレクサンドル・オストロフスキー (Alexander Ostrowski) によって証明された。
Contents
定義
体 K 上の 2つの絶対値(付値) [math]|\cdot|[/math] と [math]|\cdot|_{\ast}[/math] は、ある実数 c > 0 が存在して
- 全ての [math]x \in K[/math] に対し、[math]|x|_{\ast} = |x|^{c}[/math]
となるとき、同値であると定義される。
任意の体 K 上の自明な絶対値は、
- [math]|x|_{0} := \begin{cases} 0, & \text{if } x = 0 \\ 1, & \text{if } x \ne 0 \end{cases} [/math]
と定義される。
- [math]|x|_\infty := \begin{cases} x, & \text{if } x \ge 0 \\ -x, & \text{if } x \lt 0\end{cases} [/math]
と定義される。添え字は無限大の代わりに 1 とすることもある。
素数 p に対し、Q 上の p-進絶対値は、次のように定義される。0 ではない任意の有理数 x は、どの2つも互いに素な整数 a, b, p および整数 n により一意的に [math]x=p^{n}\dfrac{a}{b}[/math] と書くことができる。そこで
- [math]|x|_{p} := \begin{cases} 0, & \text{if } x = 0 \\ p^{-n}, & \text{if } x \ne 0\end{cases} [/math]
と定義する。
他のオストロフスキーの定理
他にもオストロフスキーの定理と呼ばれる定理が存在し、それは「アルキメデス付値に関して完備な任意の体は、(代数的にも位相的にも)実数体か複素数体に同型である」ということを主張する[2]。
脚注
- ↑ Koblitz, Neal (1984). P-adic numbers, p-adic analysis, and zeta-functions, 2nd, New York: Springer-Verlag. ISBN 978-0-387-96017-3. Retrieved on 24 August 2012. “Theorem 1 (Ostrowski). Every nontrivial norm ‖ ‖ on ℚ is equivalent to テンプレート:Absp for some prime p or for p = ∞.”
- ↑ Cassels (1986) p. 33
参考文献
- Cassels, J. W. S. (1986). Local Fields, London Mathematical Society Student Texts. Cambridge University Press. ISBN 0-521-31525-5.
- Janusz, Gerald J. (1996, 1997). Algebraic Number Fields, 2nd, American Mathematical Society. ISBN 0-8218-0429-4.
- Jacobson, Nathan (1989). Basic algebra II, 2nd, W H Freeman. ISBN 0-7167-1933-9.
- Ostrowski, Alexander (1916). “Über einige Lösungen der Funktionalgleichung φ(x)·φ(y)=φ(xy)”. Acta Mathematica 41 (1): 271–284. doi:10.1007/BF02422947. ISSN 0001-5962 .