オオウナギ
オオウナギ (大鰻、英: Giant mottled eel、学名: Anguilla marmorata)は、ウナギ目ウナギ科に属する魚である。和名のとおりにウナギよりも大型である。ウナギの大型個体を「大鰻(おおうなぎ)」と呼ぶこともあるが、オオウナギとウナギとは同属別種である。オオウナギはウナギよりも熱帯性が強い。地方ではカニクイなど様々な呼称で呼ばれている。
特徴
オオウナギは最大で全長2m・体重20kgに達する。背中側は黄褐色の地に黒褐色のまだら模様があり、腹側は黄白色をしている。オオウナギの若い個体はウナギと同様細長い体型をしているが、大型個体は胴回りが丸太のように太くなることから、ウナギとは別種であることがわかる。若い個体は、体表にまだら模様がある点でウナギと区別できる。ただし、個体によっては模様が薄くウナギとの区別が難しい場合もある。なお、オオウナギはタウナギとも別種(別科別属)である。タウナギには胸びれがなく、体表のまだら模様もまばらである点から、オオウナギと区別することができる。
オオウナギは、太平洋とインド洋の熱帯・亜熱帯域に広く分布し、ウナギ科全18種類のうちで最も広く分布している。日本では利根川以西・長崎県以南の暖流に面した地域に生息地が点在する。南西諸島ではオオウナギはウナギよりも多い普通種である。
オオウナギは、川の流れが緩い場所や湖、池、マングローブなどに生息している。オオウナギは日中、岩や植物の隙間に隠れて休み、夜になると泳ぎ出て獲物を探す。雨の日には、特に若い個体が水場を抜け出て他の水場へ移動することがある。
オオウナギの食性は肉食性である。主に甲殻類、小魚、カエルなどいろいろな小動物を捕食する。特にカニ類を好むといわれており、 オオウナギの地方名にはカニクイというものもある。
オオウナギは、繁殖の際に川を下り、外洋域の深海で産卵する。この点でウナギと同様である。卵から孵ったオオウナギの稚魚はレプトケファルスの形態で外洋を漂いながら成長を続け、全長5cmほどのシラスウナギとなって各地の海岸に現れ、川を遡上する。寿命は40年という記録がある。
鹿児島県南部や南西諸島、台湾などではオオウナギは食用や強壮剤にされる。ただし、ウナギより不味とされている。
別名
ゴマウナギ(高知県)、カニクイ、カニクイウナギ、アカウナギ(九州)など
天然記念物
オオウナギは熱帯性の種であるため、日本の九州以北では目にする機会が少ない。1999年に公表された環境省レッドリストには記載されていないが、オオウナギの生息地は各地で天然記念物に指定されている。
- 和歌山県田辺市・白浜町富田川流域 - 国指定(1935年)
- 徳島県海陽町母川流域 - 国指定(1923年)
- 長崎県長崎市樺島 - 国指定(1923年)
- 千葉県館山市佐野川流域 - 市指定(1958年)
- 鹿児島県指宿市池田湖 - 市指定(1969年)
- 池田湖では未確認生物「イッシー」の目撃情報があるが、オオウナギではないかとする意見もある。
これら以外にも、各県や市町村レベルでオオウナギが天然記念物に指定されている場合があるため捕獲には注意を要する。
参考文献
- 山と渓谷社「山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚」川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編 ISBN 4-635-09021-3
- 山海堂 フィールド総合図鑑「川の生物」財団法人リバーフロント整備センター編 ISBN 4-381-02140-1
脚注
- ↑ 話題:8代目「うな太郎」が大往生/長崎市の井戸に20年余 - 毎日jp(毎日新聞)、2011年2月25日
関連項目
- 大うなぎ水族館イーランド - オオウナギをテーマにした水族館。2005年10月31日に閉館。
- ニュージーランドオオウナギ‐世界最大のウナギとして知られている。
外部リンク
- 長崎市立樺島小学校 - オオウナギ生息地の紹介