インテリ

提供: miniwiki
移動先:案内検索

インテリまたはその原語であるインテリゲンチャロシア語: интеллигенцияインテリゲンツィヤ英語: Intelligentsia, Intelligentzia)とは、知識階級を指す言葉。なおそのような立場にある個人知識人ともいう。

概要

知識階級とも表現されるこの社会的な階層は、主に学問を修め、多くの現象を広い見識をもって理解して、様々な問題を解決する知恵を提供したり、その知識によって発見発明された成果物を提供することによって、社会から対価を得て生活する。具体的には、政治家経営者として社会や経済を知識によって先導し、また芸術家クリエイターとして、文化的な創作活動によって、社会に新しい価値観を育んだり、学者として各々の分野を深く探求したり、または教師として教育の場で他を指導する立場を担い、その一方で報道関係者や評論家として道徳やモラルに関する警告を発して社会を律したりする者たちである。その一方で単にインテリと略されている場合は、単に高学歴であるというだけの意味にも使われるケースもある。

関連語

インテリジェントビル情報化に対応して、通信電力などのインフラを重点的に整備されたビル)の省略形としてインテリビルと呼ぶ場合も見られる。中で働いている人間が主にインテリだから、こう呼ばれる訳ではない。

ヤクザの中にもインテリヤクザと呼ばれる系統がある。

Intelligentsiaは内面を表す英語のインテリアと同じ語源で(英語のインテリア・デコレーションのことを日本語ではインテリアと言う)、内側の面を意味する言葉であり、インテリは外面ではなく人間の心理の内面や内面から自発的に現れる道徳観・知性・人間の心の認知構造などの内面の働きに用いられることも多く、他にも学問を修める状態にあることを表すことにも多く用いられる。

アルフレート・ヴェーバー造語知識社会学カール・マンハイムが積極的に論じた(自由に浮動するインテリゲンチャDeutsch版)といった言葉があり、社会学など学問の世界で術語として用いられている。

置き換え

特に1990年代以降ではインテリが死語(廃語)にもなってきているため、置き換えも見られる。

ハイソサエティ(=上流階級)の略だが既に死語になりつつある。インテリを含む上流社会に属する人々の層を指す。日本では近年、大衆は各々の生活において「中の上」であると考えており、大衆とは無縁とされていた家系に付属する身分―門閥・閨閥の階級は否定的に扱われる事もあるため、上流社会という社会的階層の存在も否定的に扱われるケースも見られる。
セレブリティの略で、直訳では「著名人」だが、本来の意味はマスメディアへの露出が高く社会的注目度が格別高い人々を指す。

日本国内における動向

日本では明治時代以降の、学問が広く大衆に開かれたものとなっていく過程において、労働者階級の対比語として略語のインテリが用いられるようになっていった。太平洋戦争以後は学問の大衆化が更に加速し、かつては高等教育として一般大衆には無縁と考えられていた大学大学院で、多くの人が学問を修めるようになり、次第にインテリ層の拡大が起こっている(駅弁大学を参照)。

ただ、更に時代を下がって1970年代以降に、学問が単なる就職のための踏み台として利用されるようになり、他方では知識を持っている事と選民思想が連携して、知識の無い層を否定的に扱うような風潮が出始めた辺りから、世相の上でインテリの在り様に対する否定的な見解が現れはじめた感は否めない。

1980年代に入るとこの就職のための大学という位置付けはますます加速し、同時に学問を修める過程でその理解の度合いを計測するための試験が、試験のためだけに学習する、言い換えれば学問を修めるのではなく、大学の教育課程を通過するために学習するという逆転現象が発生するに至り、学徒(学問の習熟過程にある存在)としての学生は減り、単に大学に在籍しカリキュラムを消化するだけの「大学生」の増殖によって、その学習意欲面での質の低下も懸念された。

1970年代以前より、いわゆるインテリが、その学問をもって他をおとしめるようなネガティブな印象は存在したが、学歴差別に見るような、また他方では、インテリが専門分野でのみ優れた知識を有し、

学問を真面目に修めている側が、「ガリ勉」などとして揶揄されるケースもあり、学問の習熟を妨げる事態も発生している模様である。

関連項目