イタリアの地方行政区画

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本項ではイタリアの地方行政区画（イタリアのちほうぎょうせいくかく）の詳細をしめす。

イタリア共和国の行政区画は、基本的には 州 ― 県 ― コムーネという階層構造をとっている。2015年5月現在、全土には20の州があり、県相当の区画が110ある（99県、10大都市、下位に県が置かれない1州）。制度としては県の方が古い歴史を持っており、州はいくつかの県を束ねる形になっている。

2014年には「大都市、県、コムーネの連合および合併に関する規定」(Disposizioni sulle città metropolitane, sulle province, sulle unioni e fusioni di comuni) が制定され、2015年には県級の広域自治体として10の大都市（Città metropolitana）が発足するなど、行政区画の改編が進められつつある。

地方行政の階層

州

州（レジョーネ、Regione）はイタリアの第一級行政区画で、イタリア全土に20個ある。「地方」と訳されることもあるが、公選の首長 (presidente)・評議会 (giunta)・議会 (consiglio regionale) を持つ広域自治体である。州はイタリア共和国憲法114条に規定されている。

州には通常州（普通州と訳されることもある） (regione a statuto ordinario) と特別自治州（特別州と訳されることもある） (regione autonoma a statuto speciale) がある。このうち、制度が先にできたのは特別自治州のほうである。

特別自治州はイタリアに5つあり、シチリア、サルデーニャ、トレンティーノ=アルト・アディジェ、ヴァッレ・ダオスタが1948年に、フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州は1963年にイタリア共和国憲法116条にて制定された。特別自治州は一定の分野における独占的な立法権が認められる、それぞれの地域で徴税される国税のうち付加価値税を除いた税収配分を受けるなど通常州よりも大きな地方自治権を有する。

通常州は、1972年に制定された。

最も広い州はピエモンテ州、人口の多い州はロンバルディア州。面積と人口ともにヴァッレ・ダオスタ州が最も少なく、人口は単なるコムーネであるモンツァ（人口で全国33位）よりも少ない。州には州都があり、各州都は所属する県の県都を兼ねている（ただし、県が設置されていないヴァッレ・ダオスタ州の州都アオスタを除く）。

以下はイタリア各州とその州都の一覧である。

テンプレート:Italy Labelled Map

イタリア北西部
01. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Piemonte|border|25x20px|テンプレート:Country alias Piemonteの旗]] ピエモンテ州 - トリノ
02. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Valle d'Aosta|border|25x20px|テンプレート:Country alias Valle d'Aostaの旗]] ヴァッレ・ダオスタ州（特別自治州） - アオスタ
03. リグーリア州の旗 リグーリア州 - ジェノヴァ
04. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Lombardia|border|25x20px|テンプレート:Country alias Lombardiaの旗]] ロンバルディア州 - ミラノ
イタリア北東部
05. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Trentino-Alto Adige|border|25x20px|テンプレート:Country alias Trentino-Alto Adigeの旗]] トレンティーノ＝アルト・アディジェ州（特別自治州）- トレント
06. ヴェネト州の旗 ヴェネト州 - ヴェネツィア
07. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Friuli-Venezia Giulia|border|25x20px|テンプレート:Country alias Friuli-Venezia Giuliaの旗]] フリウリ＝ヴェネツィア・ジュリア州（特別自治州）- トリエステ
08. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Emilia-Romagna|border|25x20px|テンプレート:Country alias Emilia-Romagnaの旗]] エミリア＝ロマーニャ州 - ボローニャ
イタリア中部
09. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Toscana|border|25x20px|テンプレート:Country alias Toscanaの旗]] トスカーナ州 - フィレンツェ
10. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Umbria|border|25x20px|テンプレート:Country alias Umbriaの旗]] ウンブリア州 - ペルージャ
11. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Marche|border|25x20px|テンプレート:Country alias Marcheの旗]] マルケ州 - アンコーナ
12. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Lazio|border|25x20px|テンプレート:Country alias Lazioの旗]] ラツィオ州 - ローマ
イタリア南部
13. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Abruzzo|border|25x20px|テンプレート:Country alias Abruzzoの旗]] アブルッツォ州 - ラクイラ
14. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Molise|border|25x20px|テンプレート:Country alias Moliseの旗]] モリーゼ州 - カンポバッソ
15. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Campania|border|25x20px|テンプレート:Country alias Campaniaの旗]] カンパニア州 - ナポリ
16. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Puglia|border|25x20px|テンプレート:Country alias Pugliaの旗]] プッリャ州 - バーリ
17. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Basilicata|border|25x20px|テンプレート:Country alias Basilicataの旗]] バジリカータ州 - ポテンツァ
18. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Calabria|border|25x20px|テンプレート:Country alias Calabriaの旗]] カラブリア州 - カタンザーロ
イタリア離島部
19. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Sicilia|border|25x20px|テンプレート:Country alias Siciliaの旗]] シチリア州（特別自治州） - パレルモ
20. [[ファイル:テンプレート:Country flag alias Sardegna|border|25x20px|テンプレート:Country alias Sardegnaの旗]] サルデーニャ州（特別自治州） - カリャリ

県

県（プロヴィンチャ、Provincia）および県相当の広域自治体は、2015年末時点で、全土に110個ある。ただし、サルデーニャ州で県の統合プロセスが進められており、2016年9月現在のイタリア語版ウィキペディアにおいて県級行政区画は107と数えられている。

県には公選制の議会と首長 (presidente)、首長によって任命される評議会（giunta）があり、このほかに政府（内務省）に任命された官選知事 (prefetto) もいる。県には中核となる都市 (Capoluogo di Provincia) があり、「県都」と訳される。県の名前は、県都の名がそのまま用いられている場合がほとんどである。なお、一つの県に複数の「県都」があることも多い。最も狭い県であるトリエステ県は、面積順で100位のコムーネよりも狭い。人口の少ないのはイゼルニア県である。

ヴァッレ・アオスタ州は特殊な位置付けで、県は設置されておらず、統計等では便宜上、州が県を兼ねるものとされている。

県の数（ヴァッレ・ダオスタ州を県として含む）は1974年以来長らく95個であったが、1990年の地方自治法改正以後の地方分権化の中で増加し、2014年末には110となった。

サルデーニャ自治州では、県級行政区画の統廃合のプロセスが進められている。2016年2月に新たな行政区画の設置が行われが、地方自治上は過渡期である（2016年9月現在）。新制度では、サルデーニャ州は下記の1大都市5県となる。

大都市

大都市（Città metropolitana）は、イタリア共和国憲法に地方自治体の一種として規定されており[1]、地方自治統一法典では県と同等の権限を有すると規定されていたが[2]、長らく置かれていなかった。

2014年、「大都市、県、コムーネの連合および合併に関する規定」によって、県級の広域自治体として大都市の規定が行われた。2015年にはローマ県、ミラノ県、ナポリ県、トリノ県、バーリ県、フィレンツェ県、ボローニャ県、ジェノヴァ県、ヴェネツィア県、レッジョ・カラブリア県の10県が「大都市」に移行した。

大都市の首長は、「県都」にあたるコムーネの長が兼ねる（たとえば、ミラノ大都市長はミラノ市長が兼ねている）。また、大都市議会は間接選挙制であり、旧県域のコムーネの長およびコムーネ議員の互選によって議員が選ばれる[3]。

各県については、

コムーネ

"「コムーネ」"

ムニチーピオ

分離集落（フラツィオーネ）

"「分離集落」"

参考文献

脚注

  1. ↑ 工藤裕子・森下昌浩・小黒一正「イタリアにおける国と地方の役割分担」p.86
  2. ↑ 工藤・森下・小黒、p.86
  3. ↑ 芦田淳「日伊比較による地方自治の論点」『自治総研』465（2017年5月）、pp.68-69

関連項目

テンプレート:イタリア テンプレート:ヨーロッパの第一級行政区画



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