アートコーポレーション

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アートコーポレーション株式会社: ART CORPORATION)は、大阪府大阪市に本社を置き、引越業の「アート引越センター」を運営する総合運輸業会社である。みどり会の会員企業であり三和グループに属している[1]

概要

特色

寺田寿男寺田千代乃夫妻により創業、設立時からの社長である寺田千代乃は他社との差別化を図るため作業員が新しい靴下に履き替えて引越先に入るようにするなどのサービスを展開。電話番号の「0123」や「荷造りご無用」などのキャッチフレーズで認知を広げる。

21世紀に入ってからも全員女性スタッフという女性向けの引越プランや60歳以上を対象とした高齢者向けのシニアパック、耐震マットの提供、食器を簡単に整理して収納できるエコ楽ボックスの貸し出しなど、新たなサービスを次々と打ち出している。同じく大阪に本社を置く、センコーフットワークエクスプレスと並ぶ、在阪総合運送業社の一つ。TOKYUポイント加盟店。

引越事業を始めるに当たって社名を決める際、多くの人は運送業者を探す時に電話帳を使うため、できるだけ最初の方で見つけやすい位置に乗る社名にと考えた。電話帳では五十音順で「あ」が最初に来て、次に「ー」が来るということで名前を考えた結果、「アート」に決まった。しかし、その理由が業界で広く知られたこともあり、現在では「アーアーアーアンシン引越サービス」「アーアーアイ引越サービスセンター」「アーア引越センター」「アーク引越センター」という名称の企業もあるため、地方によっては初めから3-4番目となっている[2]

2008年からは郵便局株式会社の「郵便局のお取り次ぎ」サービス提供により、郵便局で引っ越しサービスの申し込みができるようになった。

ラジオ関西で2015年から日曜の昼3時前のみ時報CMをOAしているが、そこではチャイムの代わりに「ゼロ、イチ、ニ、サ~ン」という女性のアナウンスが流れるという独特なものである。

沿革

  • 1968年9月 - 寺田寿男の個人事業として寺田運輸を創業。
  • 1972年
    • 3月 - 大阪府で区域貨物事業免許を取得。
    • 6月 - 免許取得を受けて(旧)寺田運輸株式会社を大東市で設立。
  • 1976年
    • 2月 - 引越事業を開始。
    • 6月 - (旧)寺田運輸内にアート引越センター事業部を開始させる。
  • 1977年6月 - アート引越センター事業部を独立させてアート引越センター株式会社東大阪市で設立(現在のアートコーポレーションの創業年度はこのアート引越センターの独立を基点としている)。各サービスセンターの加入者電話番号(最後の4桁)を0123で統一し、職業別電話帳に掲載するようになる。
  • 1985年 - アマチュア無線を業務通信に使用した(不法無線局)として近畿電気通信監理局の摘発・処分を受ける。11月にアート運輸株式会社設立。  
  • 1986年
    • 2月 - アメリカ事務所を開設し海外展開を開始。
    • 5月 - (旧)寺田運輸株式会社がアート引越センター株式会社と合併。アート運輸株式会社が(新)寺田運輸株式会社に社名変更。
  • 1990年
    • 6月 - 事業多角化を目指し社名を「アートコーポレーション株式会社」に改める。
    • 9月 - 大阪市に輸入車ショールームを開設する(その後1995年に東京ショールーム開設)。
  • 1991年 - スポンサーとなりル・マン24時間レースに参戦する。
  • 1993年6月 - ワンストップサービス事業(引越の諸手続きを代行)開始。
  • 1995年12月 - ドラえもんをイメージキャラクターに起用する(2008年頃まで)。
  • 1997年8月 - 物流事業強化を目指しアートバンライン株式会社設立。
  • 1998年 - ISO 9000シリーズを千葉支店で取得。住宅関連事業の会社・株式会社ABCジャパン(現・アートプランニング株式会社)を買収。
  • 2001年
    • 5月 - 無許可で高級外車を貸し出すレンタカー事業を営んだとしてアート商事とアートコレクションが摘発される。
    • 10月 - (新)寺田運輸、アート商事、アート引越センター四国の3社をアートコーポレーションが吸収合併。またアライドインターナショナルと業務提携を結ぶ。
  • 2004年10月22日 - 引越業界では2番目(サカイ引越センターが第1号)となる株式上場東証2部、大証2部)。
  • 2005年10月 - 東証、大証1部へ指定。
  • 2007年10月 - SBSホールディングスより株式会社ダックの発行済み株式の90%を取得し、子会社化[3]
  • 2010年
    • 6月 - 創業者・会長の寺田寿男が代表取締役会長と取締役を辞任。
    • 9月 - 保育事業のパンプキンガーデン、株式会社コティ、株式会社グレースを統合し、アートチャイルドケア株式会社発足。
  • 2011年2月 - 経営陣による自社買収(MBO)を実施すると発表。創業家が出資するCTトータルトランスポート株式会社が株式公開買付けを実施、同時に俳優の佐々木蔵之介をイメージキャラクターに起用した企業CM(2014年頃まで)を新たに上場廃止直前に放映開始。
  • 2011年6月27日 - 上場廃止。
  • 2011年9月 - 子会社であったダックを合併する[4]
  • 2016年11月 - アートスポーツ事業と購買課をアートプラスへ移管。
  • 2017年6月 - 本社を大阪府大東市からクリスタルタワー16階へ移転。

車両

2トントラックを中心に全国で1500台以上を保有する。”独創的な引っ越しサービス”の一環として特別車両の開発にも力を入れていて、家財道具と家族を1台の車で輸送できる「客室付き引っ越し専用車」はそのひとつである。現在の客室付き専用車は三菱ふそう・ファイターをベースに運転席と客室を三菱ふそう・エアロクィーンI風とした「ファミリーサルーン」で、かつてはネオプラン観光バスをベースにした「ドリームサルーン・ナイス21」、日野・レンジャーをベースにフロントを日野・レインボーRR風とした「カーゴサルーン」などが導入されている。引っ越しに伴う自家用車の輸送を家財道具と同時に輸送できる「カーゴキャリー」や自家用車積載用のトレーラー「カーキャリー21」なども開発された[5]

提供番組

現在

過去

イメージキャラクター(架空のキャラクターを含む)

  • ドラえもん、ドラミ(1995年-2008年)
    • ドラえもんの絵柄はテレビアニメ第2作第1期を引用している。千葉県習志野市にあるアート引越センターの事業所では巨大なドラえもんを電車から眺める事が出来たが、2011年頃に別の絵に変わっている。
    • 一時期、コマーシャルでドラえもんが最後に「電話してね」と締めるのでドラえもんと話せると信じた子供による間違い電話が多かったという[6]
    • 主な契約促進グッズとして「ドラえもん冷温庫」がある。期間限定で「ドラミちゃん冷温庫」(CMのドラミの声は2代目ドラミ役の千秋が担当)や、クリスマス前には無彩色の「ホワイトドラえもん冷温庫」になる場合もある。入手できる条件はキャンペーン期間内の契約・規定額以上の契約・同社が販売する防災商品の購入特典などで、時期によって異なる。
  • 佐々木蔵之介(2011年-2014年)
  • C-3POR2-D2(映画「スター・ウォーズ」シリーズより)
    • スター・ウォーズ プロモーションTVCM『家族の絆』篇(2015年4月-)
    • スター・ウォーズ プロモーションTVCM『新たなる力』篇(2015年11月-)
  • 葵わかな(2015年-)

不祥事

会長による16歳少女へのわいせつ事件

2009年8月に芸能プロダクションに所属する16歳の少女にわいせつな行為をしたとして、2010年6月、警視庁が東京都青少年健全育成条例違反(淫行)の容疑で同社の会長であった寺田寿男を書類送検。寺田は容疑を認めており会長職を辞任した。

寺田は「昨年7月に芸能プロダクション社長から『会長の力で(女子生徒を)芸能界入りさせてほしい』と頼まれ、女子生徒を紹介された」と話し、携帯電話で女子生徒を呼び出し、わいせつ行為に及んだ後、小遣いとして女子生徒に3万円を手渡したという[7][8]。なお、この芸能プロダクション事務所の社長が、「誠意を見せないとマスコミにばらす」などと示談金名目で寺田から現金800万円を脅し取ったとして、大阪府警に恐喝容疑で逮捕されている[9]

引っ越しゴミの不法投棄

2011年12月3日、同社社員数名が、引っ越しを依頼した男性から指示を受け、大阪市浪速区内の路上に、家財道具などを不法投棄した。大阪府警は男を廃棄物処理法違反容疑で逮捕するとともに、当該の引っ越し業務に関わった男性社員及び、同社本社を書類送検した[10]

極端な長時間労働と労働基準法違反

2012年3月から4月にかけて、アートコーポレーション株式会社は、千葉支店の従業員5人に対し、月45時間の時間外労働上限を定めた労使協定を無視して月101時間から179時間の残業を命じ働かせた。2013年4月18日、労働基準違反を捜査した船橋労働基準監督署は、アートコーポレーション株式会社と実行犯の千葉支店長を千葉地裁に書類送検した。[11]

引越作業員による窃盗事件

2015年4月。アート引越センター西宮支店に所属するアルバイト作業員(当時45歳)が、引越作業を請け負った西宮市内の住宅で女性客の荷物から高級ブランドのバッグ4点(時価総額、約500万円相当)を盗んで神戸市内のリサイクルショップに売却し、兵庫県警西宮警察署に逮捕された。

給料からの未払い賃金・天引きに関する元従業員からの提訴

元従業員ら3名が未払い残業代など計376万円の支払を求め横浜地裁に提訴した。1カ月の時間外労働が過労死ラインの100時間を超えるなど長時間労働が常態化していたのにも関わらず、残業代が全額払われていないとし、これを求めて提訴した。併せて、顧客荷物の破損時、社内規定に基づいて賠償金の一部を現場のリーダーが1件につき3万円を上限に負担することとなっていたものの、社内規定の手続きに反し本人の同意なしに賠償金相当の金銭を給与から天引きされたとしている[12]。給料からの天引きについて、原則は禁止である。例外規定もあるが、本件では労働基準法24条1項但書の例外規定があるにしても、事例の状況から損害の公平な分担の見地から信義則の観点で天引きの適法性について認められる可能性は低いという見解がある[13]

出典

  1. メンバー会社一覧 - みどり会
  2. タウンページの上位を狙う 「ア」で始まるユニークな企業名列伝!」 R25.jp、2008年5月9日。
  3. アートコーポレーション/ダック引越センターを子会社化、SBSから株式取得LNEWS 2007年10月2日
  4. 会社合併のご案内とご挨拶”. アートバンライン、ダック (2011年9月). . 2014閲覧.
  5. ワーキングビークルズ」33号 ぽると出版、2006年12月、24-33ページ。ISBN 4899800339
  6. 『ドラえ本 ドラえもんグッズ大図鑑』小学館、1997年、124頁。ISBN 409102582X
  7. 淫行で引っ越しの「アート」会長を書類送検 元芸能プロ代表も逮捕 産経新聞 2010年6月21日 インターネットアーカイブ
  8. アート引越センター会長が辞任 わいせつ行為で引責 共同通信 2010年6月04日
  9. 「アート」前会長を恐喝容疑 芸能事務所元代表を逮捕 共同通信 2010年6月14日
  10. 客の依頼で引っ越しごみ投棄の疑い アートコーポレーションを書類送検 産経新聞 2012年3月5日
  11. 引越業大手のアートを書類送検 労基法違反容疑で 産経新聞 2013年4月18日 / 2013年5月12日閲覧
  12. 引っ越し大手アートに未払い残業代請求 元社員らが横浜地裁に提訴 産経新聞 2017年10月10日
  13. 元従業員らが「アート引越センター」を提訴、給与天引きの可否について 企業法務ナビ 2017年10月11日

関連項目

外部リンク