アメリカ合衆国憲法

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Constitution of the United States of America

1788年発効されたアメリカ合衆国の憲法。 76年の独立革命の結果 13の邦 (ステイツ) が成立し,そのほとんどは成文憲法を制定して新しい統治機構を確立した。これら諸邦は 81年の連合規約 Articles of Confederationを成立させて中央組織をつくったが,この組織は各邦が主権を留保する連合形体で強力な権限の裏づけを欠いたことから,外交上あるいは通商・財政上の困難に対応することができなかった。これを克服する強力な統一政府を確立するため,87年5月,フィラデルフィアで憲法制定会議が開かれ,主として J.マジソン起草のバージニア案を基礎にした憲法草案が作成された。

これは独立革命推進派内の保守派の考えを反映するものであったことから,各邦の承認に付された際に急進派による激しい反対にあったが,結局,88年6月,所定の9邦の承認を得て発効するにいたった。憲法は前文と7ヵ条から成り,人民主権と権力分立 (中央と州との権力分立のシステムとしての連邦制,連邦政府内部におけるシステムとしての抑制・均衡制) をその特徴とする。憲法には当初権利章典は不必要として設けられなかったが,91年に権利章典と呼ばれる修正 10ヵ条が追加された。憲法はその後も幾度か修正されたが,南北戦争を契機とする修正 13,14,15条,政治参加の拡大を意図する修正 17,19条などが特に重要である。

なお,アメリカの統治体制の特徴として,1803年のマーベリー対マジソン判決を契機に確立された裁判所の違憲立法審査制がある。これを通じて合衆国裁判所 (特に最高裁判所) は国政に大きな影響力をもち,とりわけ人権の保障において果す役割は甚大である。