アマチュア無線
アマチュア無線(アマチュアむせん)とは、金銭上の利益のためではなく、無線技術に対する個人的な興味により行う、自己訓練や技術的研究[1]のための無線通信である。
日本では、運用する為の無線従事者免許証と、電波法に基づいた無線局免許状が必要である。
Contents
概要
無線通信で使用する周波数は「人類共通の財産」であり、ごく微弱なものを除き、全世界の人々と分け合って利用するものとされている。従って使用可能な周波数を電波利用者に割り当て、監理する(周波数を割当・監理する)のは各国の無線主官庁であり、また各国間の周波数割当調整も行う。
アマチュア無線はその割り当てられた周波数を利用する、各国でそれぞれ区分される各種無線業務における「アマチュア業務」のことであり、学究無線業務のひとつである。なお、通信において「アマチュア」とは「私的学究」を意味し「素人」の意味ではない。→#非営利・自由な私的学究無線
アマチュア業務を行おうとする者は、各国主官庁の実施する技術・技能認定試験(無線従事者試験)に合格し、所定の無線従事者免許を受けた後、各国主官庁にアマチュア業務を行う無線局=「アマチュア局」の開設を申請・許可を受けなければならない。
電波利用、無線業務の区分は国によってまちまちであるが、アマチュア業務については、航空無線、船舶無線などと同じく、国際的にほぼ共通したものとされ、他国との通信を制限あるいは禁止している国を除き、基本的に各国のアマチュア局は全世界のアマチュア局との通信が認められている国際無線局である。
国際法、すなわち国際電気通信連合憲章に規定する『無線通信規則』においてアマチュア業務とは「金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的に無線技術に興味を持ち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務(第1条第78項)」と定義され、日本の電波法施行規則においても「金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務をいう」と定義されている。日本では単なる個人の趣味とされがちであるが、アマチュア局を利用しての有償無線通信が禁じられているだけであり、アマチュア業務によって個人が得た知見や技能を他の事業用無線局の運用や物品製造業務に有償で用いることは全く自由であり、一般的な概念の趣味とは一線を画す。→#条約・法律上の規定・定義
非営利・自由な私的学究無線
電波利用は「営利」「非営利」のふたつに大別され、アマチュア無線は後者である。Non-commercial radio の代表として、各国でアマチュア無線は法的に明確に分類、定義されている。
日本の場合、電波利用は日本国憲法を最上位主根拠として三大別(これを「三大電波利用」と呼ぶ。)されているが、その内訳は日本国憲法第23条、学問の自由の下にある「アマチュア業務」、同第21条、表現の自由の下にある「放送業務」、通信の自由の下にある、アマチュア、放送業務以外の「業務用無線」である[2]。
電波利用は、公共の福祉増進のために行われる(日本では電波法第1条)ものであり、金銭利益を目的としない(してはならない)ことが明文化されているアマチュア無線・アマチュア無線局は、世界的にあらゆる点で優遇される、自由度の高い無線局である。
電波利用の大原則から外れる、事業用無線局の場合、一つの周波数の割当てを受けるだけでも、総務省に対して膨大な書類手続きを必要とし、提供する地域、空中線(アンテナ)の性能にまで細かく制限を受ける。送信機からアンテナまで、自由に通信・製作し、サービスエリアなどの制限もなく、かつ長波からミリ波まで様々な周波数を「帯域」として広く自由に利用できるのは、今日、私的学究目的のアマチュア無線だけである。
周波数帯域を、たった一人でも自由に利用することが許されているアマチュア業務ではそれゆえに、従事者の責任は重く、アマチュア無線を始めようとする者は全て、まず無線従事者にならなければならない(日本では電波法第39条の13規定)。
限定された周波数を利用する事業用無線局では、従事する者全員に無線従事者免許は要求されないのに対し、数多くの周波数の全てについて、無線設備、すなわちアンテナや送信機の設計・製作、これらを用いての通信が認められているアマチュア無線の場合、無線従事者免許証を所有しない者が従事することはできない。この免許保持者が『アマチュア無線技士』で、日本では、第一級から第四級までの4つに区分されている。
なお日本では、一部の事業用無線従事者免許でアマチュア業務を行えるが、これは「アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作」とされる日本国内のみでの特例であり、日本国外でこの免許でアマチュア局を開設・運用しようとすると、国家によっては拒否されたり無免許とみなされることがある。
アマチュア無線技士は、アマチュア局の無線局免許状を受け、免許人となってアマチュア業務を開始できる。
事業用無線局は、その殆どが個人ではなく法人が開設するものであり、法人または経営責任者(代表取締役など)が無線局の免許人となり、業務を行うのに必要な無線従事者は、「排他的に確保(従業員として雇用する、派遣会社から派遣を受けるなど)」される。
条約・法律上の規定・定義
国際法および各国の法律で、アマチュア無線は「個人的な無線技術の興味によって行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務」と規定されている。
国際電気通信連合憲章
「国際電気通信連合憲章に規定する『無線通信規則』」における規定
- アマチュア業務
- 金銭上の利益のためでなく、もっぱら個人的に無線技術に興味を持ち、正当に許可された者が行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務(第1条第78項)
各国
日本
電波法施行規則の定義
- アマチユア業務
- 金銭上の利益のためでなく、もつぱら個人的な無線技術の興味によつて行う自己訓練、通信及び技術的研究の業務(同規則第3条第1項第15号)
- アマチユア局
- 金銭上の利益のためでなく、専ら個人的な無線技術の興味によつて自己訓練、通信及び技術的研究の業務を行う無線局(同規則第4条第1項第24号)
促音、拗音の表記は原文ママ
歴史
世界の初期
電波の商業利用や軍事利用は、それぞれの国の電信に関する諸法令のもとで始まった[3]。はやくも1903年には国際調整が必要となり、8箇国[4]の電波主管庁の代表がベルリンに集まり、無線電信予備会議(Preliminary Conference on Wireless Telegraphy)[5]を開いている。先進国の中で唯一アメリカは法による電波監理を行わず、無線実験や商用利用を国民の自由に任せていた。これこそがアマチュア無線を生み出す素地となった。
アメリカでは1905年より一般大衆に向けて、送信機と受信機の入門セットが通信販売[6]されたため、無線実験に技術力は不要だった。当初は自己の送信機と受信機の間で到達距離を試す程度だったが、1907年頃には学生達によって相互通信する楽しみが見出され、交信するアマチュア無線が誕生した[7]。そして学生を中心にアマチュア局が急増し、かつ低い周波数を使い出したため、商業局や軍事局への混信妨害が社会問題となった[8][9]。
アメリカは1912年にようやく無線法[10][11]と無線通信施行規則[12][13]を施行できた。そしてアマチュア局には1500kHzより低い(波長200mを超える)電波を許可しないことにした[14]。1500kHz以上の希望する単一波を申請し、その許可を受けなければならないが[15]、低い周波数ほど遠くへ届くと考え、最下端の1500kHzの一波に免許が集中した。やがて第一次世界大戦が勃発しアマチュア無線は禁止されたが、アメリカでは1919年10月1日より再開され1500kHzに活気が戻った。
1923年6月28日に商務省は1.5-2.0MHzをアマチュア無線用に分配した[16][17]。世界初のアマチュアバンドである。この改正で短波は使えなくなったが、1923年11月27日には短波を使う特別免許を得て、小電力による大西洋横断通信を成功させている[18]。
それまで低い周波数ほど有効との思いからアマチュアバンドの下端1.5MHzから下へオフバンドする者が後を絶たなかったが[19][20][21]、これを境に上端2MHzから上へのオフバンドが多発するようになった。1924年5月1日、取り締まりに手を焼いた商務省はアマチュア無線団体ARRLへ警告書を送り、それが機関誌QSTに掲載された[22]。1924年7月24日に商務省は4つの短波バンドを開放し[23]、1925年1月5日にはさらに帯域を拡大[24]させた。
短波を使うことで他国のアマチュア局との交信が可能となった1925年には、国際アマチュア無線連合IARUが結成された。1927年にワシントンで開催された第三回国際無線電信会議[25]ではアマチュア局を国際的に認めるかについても話し合われた。その結果アマチュア局として独立した定義は見送られ、私設実験局に包含されるものとなったが[26]、主催国アメリカの後押しもあり、アマチュア無線用の周波数帯が国際的に分配された[27]。なお棚上げにされたアマチュア無線の諸問題は、1929年の第一回国際無線通信諮問委員会CCIRにおいて協議され「アマチュア局の許可規定に関する国際特別協定」が結ばれている。
これを受けて1932年の第四回国際無線電信会議[28]において国際電気通信条約 附属一般無線通信規則の第一条(定義)に独立した無線局としてAmateur Station(アマチュア局)が盛り込まれた[29]。1934年(昭和9年)1月1日、この無線通信規則が発効し[30]、国際ルール上においてアマチュア局が明文化された。
日本の初期
太平洋戦争まで
日本では1915年(大正4年)11月1日に施行された無線電信法第2条第5号により、個人や法人が無線電信または無線電話の実験を目的とする無線施設を逓信大臣の許可を受けて開設できることになった[31][32]。もし大臣の許可を受けずに実験した場合の罰則規定は逆に強化されている[33]。法的には個人による無線実験の道が拓かれたが、当初許可されたのは無線機器メーカーや大学・専門学校による学術研究や機器に関する実験のための私設無線電信のみであった[34][35][36]。
個人による無線科学の学術研究や機器に関する実験のための施設、いわゆるアマチュア無線が法的に最初に許可されたのは1922年(大正11年)である[37][38]。2月に濱地常康(東京一番・二番)[39]、次いで8月には本堂平四郎(東京五番・六番)[40]に私設無線電話施設が許可された。また、翌1923年(大正12年)4月には安藤博に私設無線電信無線電話施設(JFWA、東京九番)が許可された[41]。さらに同年11月には安藤博に第2装置の増設(JFPA、東京十九番)が認められた[42]。大正年間に許可されたのはこれら3施設のみであった[37]。
1920年代前半、アマチュアでも真空管が入手できるようになると、中波で無線電話を実験するアンカバー局(無免許の無線局)が急増した[43]。1925年(大正14年)になると東京、大阪、神戸などに、短波の無線電信を使うあらたなアンカバー局のグループが生まれ、1926年(大正15年)6月には37人の盟員によって日本素人無線聯盟(JARL、現・日本アマチュア無線連盟)が設立された[44][45]。
1926年10月、安藤博の第2装置 JFPAに対して波長38m(7.89MHz)と波長80m(3.75MHz)の追加が認められた[46]。これが個人に対するはじめての短波長の許可である。翌1927年(昭和2年)になると、短波長が割り当てられた無線局が次々に誕生した。4月には楠本哲秀(JLZB)[47]と有坂磐雄(JLYB、有坂磐雄)[48]、5月には國米藤吉(JMPB)[49]、9月には草間貫吉(JXAX、草間貫吉)[50]に私設無線電信無線電話施設が許可された。
1930年(昭和5年)にはすでに逓信省によって「アマチュア無線」という語が使用されていたが[37]、無線電信法第2条第5号により許可された施設に対する正式な名称はまだなかった[31]。しかし1934年(昭和9年)1月に施行された私設無線電信無線電話規則の第3条で、無線電信法第2条第5号により施設する私設無線電信無線電話に対して「実験用私設無線電信無線電話」の語が正式に与えられた[51](「私設無線電信無線電話実験局」という語は戦後に広まった通称)。ただし、これには無線機器メーカーの機器実験施設なども含まれていた。
個人が開設する実験用私設無線電信無線電話の施設は、1941年(昭和16年)12月時点で331局になっていたが[52]、同年12月8日の太平洋戦争開戦に伴い、同日をもって、電波の発射は禁止された[53]。
太平洋戦争後
太平洋戦争に敗戦すると、すぐに日本におけるアマチュア無線の再開運動が始められた[54]。しかし日本の電波の全ては、占領軍の管理下に置かれ、アマチュア業務用の周波数は、占領軍およびその関係者のアマチュア業務用として占有された。
1950年(昭和25年)施行の電波法で「アマチュア局」という名称や資格制度、国家試験の内容も定められたが、GHQは、日本語で行われる通信内容の検閲が困難、米ソ対立、朝鮮戦争といった理由より再開を認めなかった。日本のアマチュア無線はサンフランシスコ平和条約が発効し、国際法上、連合国との戦争状態が終結し、主権を回復した1952年(昭和27年)に再開された。
日本では、1958年(昭和33年)11月に電信級・電話級の初級資格が創設された。1966年(昭和41年)にはその養成課程講習会制度が導入され、修了試験に合格すれば資格が与えられるようになった。こうして入門のハードルが低くなったためにアマチュア無線家の爆発的な増加をもたらした[55]。その後、高度経済成長と、科学技術に対する国民の高い関心を背景として、1970年代半ばには米国を抜いて、世界一のアマチュア無線人口を擁するに至った[55]。
現代(現状)
かつてはアマチュア無線が、科学技術に従事する人材の継続的育成に大きな役割を果たし、電気・情報分野の第一線には、現役(あるいは元)アマチュア無線家が多かった。また電気や無線関連の会社はアマチュア無線クラブを擁していることが多かった。しかし近年、アマチュア無線を趣味とする新入社員がいなくなる一方で、アマチュア無線を趣味とするベテラン社員が続々と定年を迎えており[56]、社団局の維持が困難なケースもある。
米国では、公共サービスとして地域パレードでの通信を担うなど、国際法でのアマチュア無線の定義の範囲を超える運用(臨時に・無償で公衆網を接続し有線通信の無線中継局とするなど)を国内法で認めている。
日本の現状
- 最盛期には約135万局あったアマチュア局が、1995年(平成7年)を境に減少に転じた。2017年(平成29年)では約43万局である[57]。
- 2013年(平成25年)に局数減にブレーキが掛かり、しばらく43万6千局前後の踊り場に滞留していた。しかし2016年(平成28年)頃より再び減少傾向が見え始めている。
世界の現状
- アメリカ合衆国のアマチュア局数は、1990年頃から一時、漸減傾向となり、1994年には約65万局となっていたが、その後再び漸増傾向に転じ、2009年現在、約69万局と過去最高数になっている。またアメリカ合衆国では、2005年以降、10代を中心とした若年アマチュア無線家の増加がはっきりしてきていることなどから、ARRLでは2011年現在、「静かなブームになっている。」と分析している。
- またヨーロッパ各国の状況も、横ばいか漸増傾向にある[58][59]。
免許制度
アマチュア無線(アマチュア業務)を行うには、無線従事者免許と、その業務を行う国などでアマチュア局の免許を受ける必要がある。 電波監理は国家単位で行われるため、いずれも国によって制度に違いがある。
無線従事者免許は、概ねアマチュア業務を行うために必要な「アマチュア無線技士」などとして他の無線従事者免許と独立しており、アマチュア業務を行うに必要な基本概念の理解と基本知識の取得を証明する試験に合格した者に与えられる [60]。 日本など、他の無線従事者免許でこれを満たすならば、その無線従事者免許をもってアマチュア業務を行うことができるとしている国もある。
無線局免許は、無線従事者免許と完全に分離されている国もあれば、米国のように一体としている国もある。
アマチュア局には呼出符号(コールサイン)が指定されるが、国際通信を行う無線局であることから、国籍が判別できるように最初の1ないし3文字は、ITUにより各国に分配された国際呼出符字列による。
- 「国際呼出符字列分配表」については「世界のコールサイン割り当て一覧」を参照
各国の免許制度
日本
アマチュア無線に限らず、無線の免許には、
の二つがあり、無線局免許を受けた無線設備を、無線従事者免許の所有者が運用あるいは監理することが求められる。
事業用無線局の場合、無資格の者でも無線設備の操作などが認められる[61]が、アマチュア局の場合、所定の無線従事者免許および後述の相互運用協定に掲げる国の免許を保有する者以外は認められない。
アマチュア無線技士の資格は、下位から次の4種類がある。どの級からでも受験でき、年齢制限もない。
- 第四級アマチュア無線技士
- 第三級アマチュア無線技士
- 第二級アマチュア無線技士
- 第一級アマチュア無線技士
このほかに、第三級海上無線通信士以外の無線通信士および陸上無線技術士は、アマチュア無線技士と同等以上の技術・技能・法知識を持っているとみなされ、アマチュア業務を行える。
- 詳細は「総合無線通信士#操作範囲」、「海上無線通信士#操作範囲」、「航空無線通信士#操作範囲」および「陸上無線技術士#操作範囲」を参照
個人局と社団局
アマチュア局の無線局免許には
- 個人が開設するアマチュア局に与えられる個人局(1950年より)
- 団体が開設するアマチュア局に与えられる社団局(1959年より)通称はクラブ局
の二つがある。社団局は、学校や職場、地域などのアマチュア無線クラブが開設する。博物館などの科学教育施設や福祉施設などに設置されていることもある。
呼出符号(コールサイン)
基本的に「JA1A××」のように、(日本に分配された国際呼出符字列の頭2文字)+(地域番号の1数字)+(2または3英字)で構成される。 記念局などの地域番号以降は、この限りではない。
空中線電力
電波法施行令に第一級アマチュア無線技士が操作できる空中線電力の制限はないが、国際協議の結果を受けての電波法関係審査基準に、日本の無線局の空中線電力は1kW以下までとされており[62]、アマチュア局もこれに従う。1kWを超過する空中線電力のアマチュア局の開設は不可能ではないが、当該アマチュア局の業務に必要な最小限度の電力だと国際的にも認められるような、正当で明確な理由の説明が必要になる[63]。 その場合、アマチュア局の開設の可否そのものが国際的な判断を求められるため、各総合通信局(沖縄総合通信事務所を含む。以下同じ。)決裁ではなく、本省、すなわち総務省総合通信基盤局回付、つまり他の業務用大電力局、送信所などと全く同じく総務大臣直接免許となり、個人所有の無線局ではおよそ不可能な相当の困難が伴う。実際、短波以外における大出力が月面反射通信専用設備以外で許可された例はほとんど無い[64]。
ゲストオペレータ制度
アマチュア業務を行うことができる資格者(ゲスト)が、一定の条件下で他人(ホスト)のアマチュア局の運用をすることができる制度である。
米国
下位資格から順に次の種類に分かれている。所管は連邦通信委員会 (en:U.S. Federal Communications Commission)。
- ノビス(Novice)級(廃止)
- テクニシャン(Technician)級
- ゼネラル(General)級
- アドバンスト(Advanced)級(廃止)
- アマチュア・エクストラ(Amateur extra)級
2000年にノビス級、アドバンスト級は廃止されたが、これらの試験および新規の資格付与を行わないという意味であり、当該資格を既に取得している者には影響は及ばない。
試験はElementと呼ばれる単位に分かれている。従前はテクニシャン級以外はモールス符号の試験が課されたが、2000年にElement 1に簡素化・統合され2007年に廃止された。
- Element 1(モールス)(廃止)5語/分の速度のモールス符号を受信し、内容に関する質問に10問中8問の正解、または25文字連続の正確な書取りで合格。
- Element 2(テクニシャン級)35問中26問で合格。
- Element 3(ゼネラル級)35問中26問で合格。
- Element 4(エクストラ級)50問中37問で合格。
- これらは、四年周期で見直される。
試験は最下位資格から受験しなければならない。すなわち、
- テクニシャン級の取得には、Element 2のみ
- ゼネラル級の取得には、Element 2とElement 3
- エクストラ級の取得には、Element 2からElement 4のすべて
に合格せねばならない。ただし、条件が揃えば一日で全てを受験することも可能である。
従前はElement 2とElement 1に合格した場合には上位資格に許可される周波数帯域の一部が運用できた。
- これはTechnician plus、Technician with HFなどと呼ばれていた。
- Element 1の廃止に伴いこの範囲はテクニシャン級に組み込まれている。
試験はVolunteer Examiner (ボランティア試験官、VEと略す。)と呼ばれるVolunteer Examiner Coordinator(ボランティア試験官コーディネーター、VECと略す。)により認定を受けた三名以上のアマチュア無線資格者により実施される。
資格区分を問わず最大1.5kWの空中線電力を扱えるが、資格によってコールサインを変えることができ、資格外運用を容易に判別できる上級資格を取得するモチベーションを刺激される制度である。ただし、コールサインの変更は資格保持者の任意であるため、コールサインのみでの資格の判断が困難な場合[67]がある。資格者の情報はデータベース化されていて誰でも参照できる。
また、日本でいう無線従事者免許証と無線局免許状が一体となった包括免許方式であるため、資格内での運用である限り無線機の登録などは必要なく、しかも取得の定義がFCCのUniversal License System(ULS)サーバに入力された時点なので、無線機が手元にあれば、登録確認次第、すぐに運用を開始することができる。
2015年2月17日をもって、希望しない限り免許証が発行されないと改正された。必要な場合は、FCCに発行を申請するか、前述のULSより公式写本(Official Copy)を各自プリンタで印刷する。
ノーコード・ライセンス
かつての日本の免許制度の特徴として、電波法制定以来、入門級(第四級、従前は旧第二級[68]または電話級)はモールス符号による実技試験がないノーコード・ライセンスだったことが挙げられる。
戦前の国際電気通信条約に付属する無線通信規則(Radio Regulation、以下、RRと略す)では全てのアマチュア局のオペレーターに対しモールス符号による通信技能を求めていたが、初めてノーコードを容認したのは、1947年(昭和22年)のアトランティック・シティ国際無線通信会議である。周波数1,000MHz以上のアマチュアバンド[69]では各国の電波主管庁の判断によりモールス技能を免除できると改正され[70]、1949年(昭和24年)1月1日に発効した。しかし電波監理委員会は、1950年(昭和25年)6月1日施行の電波法でノーコード・ライセンスである旧二級アマチュア無線技士の操作範囲を、RRに反して「空中線電力100W以下、周波数50MHz以上、8MHz以下」と定めた[71]。これにより旧二級でも3.5MHzや7MHzの無線電話で全国と交信が楽しめたが、アマチュア無線家側にも賛否両論があった[72][73]。なお日本に追従し、オーストラリアもRRに反するノーコード・ライセンスを1954年(昭和29年)6月より導入している[74]。
1958年(昭和33年)11月5日、旧二級を廃止して、ノーコード・ライセンスの電話級を新設した際に、郵政省はRRへの配慮から、その空中線電力を10Wに減じた[75]。そして電波法改正法の附則第2項により「旧二級資格者は電話級の資格を受けたものとみなす」ことになったが[76]、1963年(昭和38年)11月4日までの経過措置として、いわゆるみなし電話級が新しい二級を受験する際の科目免除や[77]、引き続き空中線電力100W以下の操作が認められている[78]。
再び緩和が決議されたのは1959年(昭和34年)のジュネーヴ無線主管庁会議である。モールス技能を免除できる周波数を1,000MHz以上から144MHz以上に改正し[79][80]、1961年(昭和36年)5月1日に発効した。しかし郵政省はノーコード・ライセンスである電話級の操作範囲を「空中線電力10W以下、周波数21MHz以上、8MHz以下」と拡大させ、1961年4月10日より施行したため[81]、RRと電話級の操作範囲の乖離は小さくならなかった。これにより電話級でも21MHzや28MHzの無線電話で世界と交信できる道が拓かれた。
また1970年代に、電話級を取得した学生に人気があった50MHzバンドの運用さえも、「144MHz以上のアマチュア局のオペレーターに限りモールス技能を免除できる」というRRの規定に反していた。この「144MHz以上」の規定は20年間続き、1982年(昭和57年)1月1日より「30MHz以上」へ緩和された[82]。アメリカではRRに準拠した50MHzバンド以上で運用できるノーコード・ライセンスを1991年(平成3年)2月14日より導入した[83][84]。
そして2003年(平成15年)のジュネーヴ世界無線通信会議では、モールス符号による通信技能をアマチュアに課すか否かは各国の電波主管庁の判断に委ねられることになり[85]、2005年(平成17年)1月1日に発効した。日本のノーコード・ライセンスは半世紀を経てようやくRRに準拠したのである。最終的に第三級以上に課せられてきたモールス符号の実技試験は2011年(平成23年)10月1日に全廃された。廃止後は、欧文モールス符号の知識を法規の科目内で取り扱うものとしている。また各国でも次々とノーコード・ライセンスが導入されている。
相互運用協定
アマチュア局は、電波を発射する場所の中央政府の規制を受ける(属地主義)ため、原則として当該国のアマチュア無線の許可(ライセンス)を受ける必要があるが、一部の国々との間では、相手国のアマチュア資格を自国で受け入れる代わりに、自国のライセンスで相手国でも運用ができるように、政府同士が相互運用協定を締結している場合がある。
日本から見た相互運用
告示 [86] に定める国と相互運用協定を締結している。
外国の資格による日本での運用は、アマチュア局の開局手続き#資格を、日本の資格による外国での運用は、アマチュア無線技士#外国での運用を参照のこと。
なお、臨時に告示された場合は相互運用協定を締結していない国の資格者でも運用できる。
相互運用協定を締結していない国においても、恒常的に日本の資格を認めて運用を許可したり、発展途上国の場合は、許可に関する規定が整備されていないことも多く、交渉により特別に許可する場合がある。 基本的に事前に申請し許可を受ける必要がある。書類の審査のみで、試験は課されないことがほとんどである。 例として、
- パラオ共和国は、日本のアマチュア無線技士免許を受けていれば、日本での級に関係なく最上級ライセンスが1年間認められ、持ち帰ることを条件に無線機を持ち込める。
- 中華人民共和国は、無線機の持込みはできないが、グループ運用局に訪問しゲストとして運用を2年間許される。
相互運用協定が締結されているわけではないので、逆にこれらの国々の人が日本で運用することはできず、厚意によるものであるから、爾後、許可が出ることを保証されているわけではない。
通信方式
アマチュア無線で使われる通信方式(電波型式)には以下のようなものがある。
音声による通信(電話)
- 短波では、占有周波数帯幅が狭く遠くまで電波の届くSSBが、VHF以上では音質の良いFMが使われることが多い。またAMも愛好者を中心に、周波数に余裕のある50MHz帯や28MHz帯あるいは日本では2009年に拡張された7MHz帯の上端部で使用される。符号分割多元接続やD-STARやC4FMデジタル変調方式による音声通信も、UHF帯以上の一部で行われはじめている。
符号による通信(電信)
- 自動打鍵によるもの
- アマチュア無線において、帯域が特に狭く、雑音や送信電力の条件も厳しい135kHzや475kHz帯を中心に、帯域幅を手送りよりも、さらに絞った自動打鍵が行われている。
- 短点ないしはこれに相当する打鍵の時間を数秒から数十分程度まで延ばすことにより、打鍵時の帯域広がりを抑えて帯域幅を数Hz以下に圧縮する方法が主流。極めて狭い帯域幅を実現するため、ppm単位の周波数精度が要求される。
- モールス符号に基づく通信方式としてQRSS[87]やDFCW、モールス符号以外の符号化を使用するものとしてWSPRやOpera[88]、Slow-hellなどがある。
- 打鍵時間や交信時間の長さゆえに聴覚による受信は事実上不可能であり、受信はもっぱらソフトウェアによる自動処理が使用されている。しかし、日本においては、QRSSおよびOperaは電波型式をA1Aとし、送信には第三級以上が必要となる。またDFCWおよびSlow-Hellは電波形式をF1Bとして第4級アマチュア無線技士にも許可される。
- 自動受信が必須なことから、ビーコンを用いた受信レポートの自動収集が行われている。
特殊な電波型式
- この節では電信・電話以外のものを掲げる。
- コンピュータによるデータ通信(パケット通信)
- パソコン通信やインターネットが利用されている。
- アマチュアテレビ (ATV)
- デジタルテレビ放送と同一規格(国際宇宙ステーションとのDVB)のものと、SSTV(低速度走査=スロースキャンテレビ)と呼ばれるものがある。前者は広い占有周波数帯幅を必要とするため、1200MHz帯以上で免許される。後者は1枚の静止画像を30秒かけて送信する「テレビ」である。使用する周波数帯域が音声と同程度(2.5kHz程度)なので、短波を使用して海外局とのやり取りも楽しめる。近年ではパソコンのサウンド入出力端子に無線装置を接続し、ソフトウェアのみでSSTVを実現できる。
- アマチュアFAX
- 古くからあるが事例は少ない。今ではパソコンのサウンド入出力端子に無線装置を接続し、ソフトウェアのみでアマチュアFAXを実現できる。
楽しみ方
アマチュア無線家によって楽しみ方はさまざまにある。以下は代表的なもの。
交信を楽しむ
- ラグチュー
- いわゆる雑談である。英語の「Chew the rag(チュー・ザ・ラグ=ぼろ切れを噛む)」を語源とし、転じて、くだらない話や他愛もないお喋りを指す。 アマチュア無線は、見知らぬ友人を求める趣味でもあることから、ラグチューはアマチュア無線の基本のひとつである。
- 無人島や定住アマチュア無線家のいない地域へ装備を運び、アマチュア局を臨時に開設し、全世界からの交信リクエストに応えるものを「DXペディション(DX-pedition)」(DX+Expedition、冒険)という[89]。地域によっては当該政府の免許を得るのに苦労することもある。
- アワード
- アマチュア無線のアワードとは、積み重ねた交信が決められた条件を満たしたときに与えられる賞である。
- "「アワード (アマチュア無線)」"
- QSLカード
- アマチュア無線では、交信をすると、その証明となるQSLカード(交信証明書)を交換する慣習がある。しかし交信証明書の発行は、法的な義務ではない。
- "「QSLカード」"
自作を楽しむ
- アマチュア無線は自作した無線設備で、検査に合格して運用することが許されている。今日では、検査に係る無線設備(無線機本体)は、技適マークの市販品を用い、簡易な免許手続で開局するのが一般的だが、自作した送信機で落成検査を受けるアマチュア無線家もいる。
- "「自作 (アマチュア無線)」"
外に出ることを楽しむ
- アマチュア無線には屋外へ無線機やアンテナを持ち出す移動運用の楽しみ方もある。
- フォックスハンティング
- 隠れている電波発信源(送信機)を探し出すことである。競技によってはスタッフが所持して移動することもある[92]。
- 通常、小形で鋭い指向性を有する空中線を受信機にセットし、探し出すまでの時間を競う。
- "「フォックスハンティング」"
自然物・自然現象を利用して通信する
- 自然物・自然現象を利用した通信は不安定である。しかしこの不安定さの中で、遠距離通信を追及するのもまたアマチュア無線の醍醐味である。
- 流星散乱通信
- 宇宙空間の微細な塵が大気に突入する際に大気中の原子を電離させると、一時的に微小な電離層が発生したようになり、そこで電波を反射することがある。反射された電波を受信できるのは短時間であるが、テキスト通信として実用化もされている。通信手法の確保の観点から流星バースト通信 (Meteor Burst Communication, MBC) と呼ばれることも多い。
- "「流星バースト通信」"
- 月面反射通信
- 電波を反射する相手として月を選ぶのが、月面反射通信(EME:Earth-Moon-Earth)である。
- "「月面反射通信」"
小電力通信に挑む
- 「QRP」と呼ぶ。QRPとはQ符号の一つで、空中線電力を下げることを意味するが、ここでは「限りなく小電力で」遠距離通信に挑むことを指す。
- "「QRP」"
中継設備を利用する
- 個人が開設しているものから、JARLが開設しているものまで、様々な中継設備が運用されている。これにより通信可能な範囲が広がる。
- レピータ
- 見晴らしの良い山頂やビルなどに設置されたレピータ(レピーター、リピータ)と呼ばれる中継局を介して遠距離通信を安定的に実現する。
- "「中継局#アマチュア無線」"
アパマンハム
- アパートやマンションなどの共同住宅のベランダや屋上にアンテナを設置するアマチュア無線家のことを「アパマンハム」と呼ぶ。隣家(隣室)との距離が短く、共同資産もある事から、それらに対する配慮が必要となる。小型・高性能・安全なアンテナが要求されるため、その技術的研究が盛んに行われており、個人のウェブサイトや書籍[96]にアイデアを公開しているケースも多い。
- 日本国外にもアパマンハムがいる。例えば、Hidden Stealthなどの形容詞、Apartment Dweller, Antenna Restriction, CC&Rなどの規制、制限条件などから具体的なカテゴリーや表現を用い、「限られたスペースでいかにアンテナを動作させるか」という同義での研究が盛んである。
- いわゆる日本でいうところのマンションは海外ではアパートに含まれる。アパートでは接地条件が垂直系アンテナの効率に大きく影響するため、接地の研究やアンテナの展開の仕方、材料なども論議されている。アパマンハムにとり、技術的には車や移動運用で使用するアンテナを応用、活用できるという共通部分も少なくない。また、戸建所有者でも種々の住宅事情から、その研究テーマや条件はアパマンハムと同様である。なおアメリカでは共同住宅の場合、他の全住人からの同意があろうとも無線アンテナの設置は禁止されている。
社会貢献
科学技術の発展に以外にもアマチュア無線の社会貢献はある。
非常通信
アマチュア無線の社会的貢献が取り上げられるものとして、災害時や非常時の通信がある[97]。 携帯電話やインターネットが広く普及した今日でも、アマチュア無線の災害時対応については、社会からの期待がある [98]。特に携帯電話は、電話機同士で直接通信しているわけではない。
日本では以下のような事例がある。
- 1934年 函館大火が、最初である[97]。
- 1953年 昭和28年西日本水害[97]。
- 1964年 新潟地震では、連絡の途絶えた佐渡島の無事を確認した[97]。
- 1995年 阪神・淡路大震災では、郵政省からJARLに臨時発給局が免許され、日本アマチュア無線機器工業会 (JAIA) の協力により被災地に無線機を送った[99]。
- 2008年 岩手・宮城内陸地震では、中山間地で孤立した集落や山中の行楽客からのアマチュア無線を活用した通報により、多数の孤立者が迅速に救助され、人的被害の拡大を防いだ。
- 2011年 東日本大震災でも、総務省からJARLに臨時発給局が免許された。
国際的にも、2004年に発生したスマトラ島沖地震を契機に、国際条約の整備を目指した国際会議が発足し、各国関係主管庁への働きかけが進められている。先進的な法整備がなされている米国では、災害時など非常時の通信を主目的とするアマチュア無線による非営利の公共業務 (public service) を従来のアマチュア業務に加え、これを推進するための関連法を整備している[98]。
なお、日本におけるアマチュア局の非常通信の取扱いについては議論がある。詳しくは「日本でのアマチュア無線をめぐる諸問題」を参照。
社会福祉
障害者、特に視覚障害者にとっては、アマチュア無線は社会参加の有力な手段の一つである。そのため、社会福祉施設などにクラブ局が設置され、アマチュア無線の交信を通じて社会参加を図る場面が見受けられる。
特殊な場所のアマチュア局
アマチュア無線従事者資格を持つ、特殊な環境下で観測などの業務を行っている科学者や技術者が、業務時間外の余暇を利用してアマチュア局を運用することがある。かつては過酷な環境下に居る運用者の精神衛生を保つ効果もあったが、衛星通信の発達によりイベント的な要素が強くなった。アマチュア無線家にとっては機会の少ない場所との通信という希少価値がある。
大きなイベント、特に国際的なイベントの際には記念局が開設されることがあり、来訪するアマチュア無線家が運用する。アマチュア無線の交信は最もわかりやすい民間レベルの国際交流であるため、国際的なイベント(万博、オリンピック、FIFAワールドカップなど)には記念局が積極的に開設される。記念局の運用やそことの交信も、アマチュア無線家にとって記念になる。
日本の事例はアマチュア局#特殊なアマチュア局を参照。
国際宇宙ステーション
国際宇宙ステーションでは、アマチュア無線局ARISS (Amateur Radio on the ISS) が運用されている。各宇宙飛行士が余暇時間を用いて運用を行う。 通常の通信の他に教育を目的として、あらかじめ特定の学校と日時を決めて通信を行う、スクールコンタクトと呼ばれる運用も行われている。 この際のコールサインはNA1SSとRS0ISSが用いられる。
他にスペースシャトルやミールでも同様の運用実績があり、それぞれSAREX, MIREXと呼んだ。
南極
- 昭和基地(日本)の8J1RL
- アムンゼン・スコット基地(米国)のKC4AAA
- マクマード基地(同上)のKC4USV
- ボストーク基地(ロシア)のR1ANC
- デービス基地(Davis Station)(オーストラリア)のVK0BP
などが知られている。
アマチュア無線家
アマチュア業務をおこなう無線従事者のことを一般に「アマチュア無線家」 (radio amateur) という。
アマチュア・コード
JARLが1959年に社団法人化された際、アマチュア無線家が社会人・市民として守るべき以下の5つの徳目を定めた。これが「アマチュアコード」である。
- アマチュアは善き社会人であること(法令に遵い、マナーを身に着け、連盟と共にアマチュア無線の発展に努める)
- アマチュアは健全であること(アマチュア無線は趣味である。本分を疎かにしてはならない)
- アマチュアは親切であること(通信には友愛の心を、初心者には親切な指導を、社会へは奉仕を、惜しんではならない)
- アマチュアは進歩的であること(有効で能率的な通信が出来るよう常に科学的研究を続ける)
- アマチュアは国際的であること(アマチュア無線を通じて国際親善に寄与する)
「ハム」の由来
アマチュア無線家のことをハム (HAM) とも呼ぶが、この言葉の由来には諸説あり、
- amateurの最初の2文字をとり発音しやすいようにhをつけたもの。
- いわゆる“大根役者”(アマチュア)のことを英語でhamと言うことから。
- アマチュア無線の黎明期に有名だったアマチュア局のコールサインから。
- アマチュア無線の黎明期に有名だった3人のアマチュア無線家のイニシャルから。
- 電源交流の回込みやアンプの低周波の発振によるブーンというノイズをハムノイズ、略してハムとも言い、往年のアマチュアの機材ではよくこれが電波に乗ったところから来ているという説。しかしその綴りは hum である。
などがあげられる。
また「アマチュア無線」そのものもハムと呼ぶことがあるがこれは一般的に誤用とされ、正しくは先述の通り「アマチュア無線家」のことである。英語圏では、アマチュア無線のことは、"amateur radio" または "ham radio" といい、"ham" とだけ言うことはない。"hammy"(ハミー)と呼ぶことはある。
アマチュア無線に用いられる用語
アマチュア業務では定められた無線用語(Q符号や通話表)の他、当業務に適した用語が用いられる。ただしアマチュア業務において暗語の使用は禁止されている(日本では電波法第58条)。これはアマチュア局の通信の相手方が「全世界不特定のアマチュア局」であることに由来する。他の無線通信業務においても通信の相手方が同様のものについては暗語の使用は禁止されている。
通信内容
アマチュア無線は法律上、発信者の身元保証や通信内容について厳格に規定されており(虚偽の通信の禁止と罰則規定―電波法第106条)、通信内容の正確性が担保されている。なお無線局運用規則第259条により、非常通信などを除いて、第三者の依頼による通報はできない。
アマチュア無線が引き起こす問題
他の機器などへの電波障害
アマチュア局はその近隣に電波障害を与えることがある。テレビ(地上デジタル放送化されてからは減少傾向にある)・ラジオ・パソコン・無線LAN[100]、医療機器 [101] あるいは他の無線装置などにアマチュア無線の電波が妨害・混信を与え問題となることがある。
アマチュア局は、自局の発射する電波が他の無線局の運用または放送の受信に支障を与え、または与えるおそれがあるときは、すみやかに当該周波数による電波の発射を中止しなければならない[102]。アマチュア局はそのような状態を避けるため細心の注意を払わなければならないと法令に定められている。
電波の人体に与える影響
他の無線局と同様、電波、すなわち電磁波が健康に悪影響を及ぼしている、あるいは及ぼしている可能性があるとされることがある。
2013年現在、病理学的に電磁波の生体に与える影響は明確ではない。 どのくらいのレベルの電磁波から規制するかは、国によって差がある[103]。 日本では、アマチュア局を含む無線局は周波数と輻射電力などに応じた防護策を講じること(電波防護指針と呼ぶ。)が電波法施行規則第21条の3 [104] に定められている。
国際非電離放射線防護委員会ガイドラインや電波防護指針を基に磁界強度だけでなく電界強度まで考慮すると、例えば磁界放出型のループアンテナ(周波数14MHz、空中線電力10Wと想定)などは、人体から2m以上の距離を確保しなければならない[105]とされる。
アマチュア無線が登場する作品
アマチュア無線が登場する作品。点景に過ぎないもの、SFまたはファンタジーなど現実離れした設定のものも含まれている。
- 映画
- 『空と海の間に』(1955年・フランス映画)
- 『十一人の越冬隊』(1958年・日本) 第一次南極観測越冬隊の記録映画
- 『ハムの仲間たち』(1960年・日本) 東映児童映画
- 『空をかける友情』(1961年・日本) 同上
- 『世界大戦争』(1961年・日本)
- 『海の若大将』(1965年・日本)
- 『彼女について私が知っている二、三の事柄』(1966年・フランス)
- 『復活の日』(1980年・日本) JARL、JAIAが撮影協力
- 『植村直己物語』(1986年・日本) 植村直己がモデル
- 『私をスキーに連れてって』(1987年・日本) スキーヤーに一時的にアマチュア無線が普及した契機となった。しかし免許を受けずに使用して、地元のアマチュア無線の運用に影響を与えた事例もあった。
- 『デッドチャンネル』(1988年・イタリア)
- 『ヴァルビィの奇跡』(Miracret l Valby)(1989年・スウェーデン、デンマーク)
- 『七人のおたく』(1992年・日本)
- 『コンタクト』(1997年・アメリカ)
- 『オーロラの彼方へ』(2000年・アメリカ)
- 『リメンバー・ミー』(2000年・韓国)
- 『時の香り -リメンバー・ミー-』(2001年・日本) 『リメンバー・ミー』のリメイク
- 『スカイ・オブ・ラブ』(2003年・香港)『リメンバー・ミー』のリメイク
- 『ミッドナイトイーグル』(2007年・日本) バーテックススタンダード(現八重洲無線)が美術協力し、シャックをリアルなものにしている。
- 『崖の上のポニョ』(2008年・日本)
- 『コクリコ坂から』(2011年・日本)
- 『和〜WA〜』(2014年・日本)
- 『君の名は。』(2016年・日本)
- 『海底人8823』(1960年・フジテレビ)
- 『CQ!ペット21』(1960年 - 1961年・NTV)
- 『ハローCQ』(1964年)東京12チャンネル(現テレビ東京) 開局記念作品
- 『仮面ライダー』第19話「怪人カニバブラー北海道に現る」(1971年・NET(現テレビ朝日))
- 『帰ってきたウルトラマン』第21話「怪獣チャンネル」(1971年・TBSテレビ)
- 『ミラーマン』第36話「怪獣軍団ミラーマンを襲う」(1972年・フジテレビ)
- 『緊急指令10-4・10-10』(1972年・NET(現・テレビ朝日))
- 『愛よ、いそげ!』(木下恵介・人間の歌シリーズ)(1972年 - 1973年・TBSテレビ) 主人公の二人は、アマチュア無線で知り合い結婚する。
- 『イナズマンF』第14話「大空中戦 !! 合体ウデスパー戦略舞台」(1974年・NET)
- 『五丁目に咲いた恋は、絶対に結ばれないと人々は噂した』(1976年・NTV) 主人公の二人は、アマチュア無線家で何度も交信しているが、そのことに気づいていない。
- 『太陽にほえろ!』第227回「CQ・CQ・非常通信!」(1976年・NTV) 殿下(島刑事)は、免許を持っているが開局していない。
- 『大西洋を乗っ取れ!』(1979年・アメリカ、日本ではテレビ朝日が1981年放送)
- 『怪人二十面相と少年探偵団』第17回「謎を呼ぶ恐怖の発明(前篇)」(1984年・フジテレビ)
- 『西部警察 PART-III』第46話「冬の軍団長」(1984年・テレビ朝日)
- 『じゃがいもと三日月』(東芝日曜劇場(現日曜劇場))(1985年・TBSテレビ)
- 『ウルトラマンメビウス』第45話「デスレムのたくらみ」(2007年・TBSテレビ)
- 『She』(2015年・フジテレビ)
- 『W3』第35話「片目の灰色狼」(1966年・フジテレビ)
- 『ちびまる子ちゃん』第133話「まる子アマチュア無線にあこがれる」(1997年・フジテレビ) 原作者のさくらももこはアマチュア無線技士である。
- 『ガールズ&パンツァー』「第10話クラスメイトです!」(2012年)
- 『AKIBA'S TRIP -THE ANIMATION-』TRIP4(第4話)「無線HAMファイターズ」(2017年)
- 小松左京の作品には、しばしば登場する。
- 『大西洋を乗っ取れ』(The French Atlantic Affair) アーネスト・レーマン作(1977年、邦訳1980年) 上記のテレビドラマの原作 レーマンはアマチュア無線家でコールサインはK6DXK
- 『コンタクト』(Contact) カール・セーガン作 (1985年、邦訳1986年) 上記の映画の原作
- 『ミッドナイト・イーグル』高嶋哲夫作(2000年) 上記の映画の原作
- 『WORLD WAR Z』マックス・ブルックス作(2006年)
- 『釣りキチ三平』矢口高雄作「幻の大岩魚アカブチ」(1973年)
- 『ブラック・ジャック』手塚治虫作 第82話「ハローCQ」(1975年) 上記のテレビドラマとは無関係。
- アニメ化(「Karte18 メールの友情」・2005年)にあたりチャットに置き換えられている。
- 『少年の町ZF』小池一夫原作、平野仁作画(1976年 - 1979年)
- 『ゴルゴ13』さいとうたかを作
- 第125話「チチカカ湖はどしゃぶり」(1977年)
- 第264話「シビリアンコントロール」(1988年)
- 第574話「涙も凍る」(2017年)
- 『聖子と吉三郎』沖倉利津子作(1979年) 全編にわたり、主人公の一人・吉三郎の趣味として描かれている。
- 『メインチャンネルで待ってて…』小塚敦子作(1986年)
- 『電波の男(ひと)よ』西炯子作(2007年)
- 『三丁目の夕日』西岸良平作 第952話「アマチュア無線」(2016年)
参考文献
- 日本アマチュア無線連盟編『アマチュア無線のあゆみ ―日本アマチュア無線連盟50年史―』(CQ出版)
- 『新・ハムになる本』(CQ出版) ISBN 4-7898-1123-9
- 『アマチュア無線用語事典』(オーム社) ISBN 4-274-03479-8
- 『アマチュア無線をはじめよう』(CQ出版) ISBN 978-4-7898-1524-6
- 『アマチュア無線教科書』(CQ出版) ISBN 978-4-7898-1368-6
- 『電波法令抄録』(CQ出版) ISBN 978-4-7898-1988-6
- 『コミック版ハム入門』(CQ出版) ISBN 4-7898-1266-9
- 『コミック版最新ハム問題集』(CQ出版) ISBN 978-4-7898-1271-9
- 『楽しみ広げるアマチュア無線』 (CQ出版)ISBN 4-7898-1319-3
- 『はじめてみようアマチュアアマチュア無線』(CQ出版) ISBN 4-7898-1320-7
- 『もう一つ上のアマチュア無線』(CQ出版)ISBN 4-7898-1321-5
- 『もの知りアマチュア無線』(CQ出版) ISBN 978-4-7898-1322-8
- 『アマチュア無線局業務日誌』(CQ出版) ISBN 978-4-7898-6101-4
- 『上級ハムになる本』(CQ出版)
- 『楽しく始めるアマチュア無線ハンドブック』(新星出版社)
- 『これから始めるアマチュア無線』(新星出版社)
- 『だれでも楽しめるアマチュア無線』(成美堂出版)
脚注・出典
- ↑ 電波法施行規則第3条第1項第15号 総務省サイト
- ↑ 『放送ハンドブック:文化をになう民放の業務知識』 日本民間放送連盟編、東洋経済新報社、1992年3月16日(原著1991年5月23日)ISBN 4492760857
- ↑ 当初は電報を有線で届けるか、無線で届けるかという、「手段」の違いに過ぎないとの考えから、電信法などが適用された。
そのため無線黎明期より、好き勝手な電波利用や実験はできなかった。 - ↑ ドイツ、オーストリア=ハンガリー、英国、フランス、イタリア、ロシア、スペイン、アメリカ
- ↑ 電波監理委員会編 「ベルリン国際無線電信予備会議」 『日本無線史』 第5巻 1951年 35-45ページ
- ↑ 広告-Scientific American 1905年11月25日号 MUNN & Co. 427ページ
広告「Wireless Telegraph」 商品名:テリムコ(TELIMCO) 価格:8ドル50セント 製造・販売:The Electro Importing Co.
無線機テリムコはヒット商品となり、数年間販売された。 - ↑ Boys' Wireless Stations The San Francisco Call 1907年10月7日
- ↑ "STOP IT, KID!" Cries CONGRESS to the AMERICAN BOY The San Francisco Call 1908年3月29日
- ↑ Youths Crowd Air The Washington Herald 1909年2月14日
- ↑ Radio Act of 1912 (Public Law 264, 62nd Congress, "An Act to Regulate Radio-communication")
[1912年8月13日公布、1912年12月13日施行] - ↑ なお無線法Radio Act of 1912は第4条の規則15で私設無線局を定義したが、「アマチュア局」という言葉はこれにはない。
- ↑ Regulations Governing Radio Communication, Sep. 28, 1912
[1912年9月28日公布、1912年12月13日施行] - ↑ この施行規則により、世界で始めて"Amateur Station"が定義された。アマチュア局という言葉は米国で誕生した。
- ↑ 無線通信施行規則 Part C. 5
『5. General amateur stations are restricted to a transmitting wave length not exceeding 200 meters and a transformer input not exceeding 1 kilowatt. (Sec.4, fifteenth regulation, act of Aug. 13, 1912.) 』
一般アマチュア局は波長200mを超えてはならず、かつ入力1Kwを超えてはならない。 - ↑ 米国商務省電波局編 Radio communication laws of the United States and the International Radiotelegraphic Convention 1914年 政府印刷局GPO 85-86ページ
アマチュアは1500kHz以上の周波数を包括的に使えたのではない。なお単一波が基本だが、別波長の追加申請は可能だった。 - ↑ "REGULATIONS GOVERNING GENERAL AND RESTRICTED AMATEUR RADIO STATIONS AND AMATEUR OPERATORS. June 28, 1923" Radio Service Bulletin No.75 1923年7月2日 米国商務省電波局 16ページ
- ↑ また同時にサイレントタイム(平日20:00-22:30, 日曜午前の礼拝タイムの 運用禁止)を施行した。
- ↑ Transatlantic Amateur Communication Accomplished! QST 1924年1月号 ARRL 10ページ
- ↑ Roy Stanley Copp "QSY 200 Meters!" QST 1920年3月号 ARRL 48ページ
- ↑ Pierre H. Boucheron "Two Hundred Meters and What It Means" Radio Amateur News 1920年4月号 Experimenter Pub. Co. 584ページ
- ↑ Get Down to 200 Meters! QST 1921年1月号 ARRL 32-33ページ
- ↑ 商務省 "Watch Your License" QST 1924年7月号 ARRL
- ↑ "Amateur Stations Authorized to Use Short Wave Lengths, July 24 1924" Radio Service Bulletin No.88 1924年8月1日 米国商務省電波局 10ページ
従来の1.5-2.0MHzバンドに、3.75-4.0MHz、6.98-7.5MHz、13.64-15.0MHz、60-75MHzが加わった。 - ↑ 3.5-4MHz、7-8MHz、14-15MHz、56-64MHz
"Regulations Governing The Operation of Amateur Stations (General letter No.256、Dec.24,1924)" Radio Service Bulletin No.93 1925年1月2日 米国商務省電波局 11ページ
[1925年1月5日施行] - ↑ 電波監理委員会編 「ワシントン第三回国際無線電信会議」 『日本無線史』 第5巻 1951年 196-257ページ
- ↑ 国際無線電信条約 附属一般規則第一条(定義)に"Private Experimental Station"(私設実験局)が追加され、そのパラグラフ2に"Amateur"が記された(Amateur Station ではない)。
- ↑ 専用帯:7.0-7.3MHzおよび14.0-14.4MHz
共用帯:1.715-2.0MHz、3.5-4.0MHz、28-30MHz、56-60MHz
[1929年1月1日施行]
28MHz帯はアメリカでも使われていなかった新バンドだった - ↑ 電波監理委員会編 「マドリッド第四回国際無線電信会議」 『日本無線史』 第5巻 1951年 365-398ページ
- ↑ General Radiocommunication Regulations Annexed to the International Telecommunication Convention
Article 1. Definitions
「Amateur station: A station used by an "amateur", that is by a duly authorised person, interested in radioelectrical practice with a purely personal aim and without pecuniary interest.」 - ↑ 昭和8年逓信省告示第2923号 『官報』号外(1933年12月28日) 72ページ
国際電気通信条約附属一般無線通信規則 第一條 定義
「素人局 素人即金銭上ノ利益ノ為ニスルニ非ズシテ専ラ個人的ニ無線電気技術ニ興味ヲ有シ成規(原文ママ)ニ依リ許可ヲ受ケタル者ノ使用スル局」 - ↑ 31.0 31.1 「無線電信法」(大正4年法律第26号) 『官報』第865号(1915年6月21日) 481 - 483ページ
- ↑ 「無線電信法施行期日ノ件」(大正4年勅令第185号) 『官報』第971号(1915年10月26日) 553ページ
- ↑ 第十六條 『許可なくして無線電信、無線電話を施設し 若は許可なくして施設したる無線電信、無線電話を使用したる者 又は許可を取消されたる後 私設の無線電信、無線電話をしたる者は一年以下の懲役 又は千円以下の罰金に処す処す (以下略) 』
従前は電信法第27条で「5円以上100円以下の罰金と不法機材の没収」だった - ↑ 「合資会社沖商会私設無線電信施設許可」(大正6年逓信省告示第275号) 『官報』第1391号(1917年3月24日) 530ページ
- ↑ 「合資会社安中電機製作所私設無線電信施設許可」(大正6年逓信省告示第276号) 『官報』第1391号(1917年3月24日) 530ページ
- ↑ 「早稲田大学私設無線電信施設許可」(大正8年逓信省告示第518号) 『官報』第2010号(1919年4月18日) 452ページ
- ↑ 37.0 37.1 37.2 「実験用無線施設」 逓信省編 『逓信事業史 第4巻』(逓信協会、1940年) 914 - 916ページ
- ↑ 「日本アマチュア無線局名録(昭和5年9月30日現在)」 『外国無線電信無線電話制度調査資料 第4号』(逓信省電務局業務課、1930年) 183 - 191ページ
- ↑ 「濱地常康私設無線電話施設許可」(大正11年逓信省告示第332号) 『官報』第2871号(1922年3月1日) 8ページ
- ↑ 「本堂平四郎私設無線電話施設許可」(大正11年逓信省告示第1555号) 『官報』第3018号(1922年8月22日) 601ページ
- ↑ 「安藤博私設無線電信無線電話施設許可」(大正12年逓信省告示第708号) 『官報』第3209号(1923年4月14日) 420ページ
- ↑ 「安藤博施設私設無線電信無線電話第二装置増設許可」(大正12年逓信省告示第1679号) 『官報』第3378号(1923年11月26日) 355 - 356ページ
- ↑ 安藤博、Japanese Experimenter Hears U.S. Hams、QST 1924年1月号、ARRL、ページ45
「日本には波長200-400m(750-1500kHz)の無線電話を実験する電力5Wクラスのアンカバー局がおよそ500局ほどある」と安藤博がQSTにレポートしている。 - ↑ 「JARLの成立」 日本アマチュア無線連盟50年史編集委員会編 『アマチュア無線のあゆみ - 日本アマチュア無線連盟50年史』(日本アマチュア無線連盟、1976年) 46 - 52ページ
- ↑ JARL90年のあゆみ(アマチュア無線年表)(JARL創立90周年記念サイト)
- ↑ 大正15年逓信省告示第1986号 『官報』第4247号(1926年10月19日) 474ページ
- ↑ 「楠本哲秀私設無線電信施設許可」(昭和2年逓信省告示第831号) 『官報』第77号(1927年4月5日) 137ページ
- ↑ 「有坂磐雄私設無線電信無線電話施設許可」(昭和2年逓信省告示第838号) 『官報』第78号(1927年4月6日) 165ページ
- ↑ 「國米藤吉私設無線電信施設許可」(昭和2年逓信省告示第1145号) 『官報』第106号(1927年5月10日) 241ページ
- ↑ 「草間貫吉私設無線電信無線電話施設許可」(昭和2年逓信省告示第2002号) 『官報』第212号(1927年9月10日) 256ページ
- ↑ 「私設無線電信無線電話規則」(昭和8年逓信省令第60号) 『官報』号外(1933年12月29日) 7 - 17ページ
- ↑ 小林幸雄 「日本アマチュア無線史(28)」 郵政省電波監理局編 『電波時報』 1963年4月号 電波振興会 49ページ
- ↑ 開戦当日の正午頃に、地方逓信局の役人たちが各局を回って設備を封印して回った。封止証の実物写真。
- ↑ 小林幸雄 「日本アマチュア無線史(16)」 郵政省電波監理局編 『電波時報』 1961年6月号 電波振興会 47ページ
- ↑ 55.0 55.1 大久保敦彦 「世界一になった日本のハム人口」 『モーターファン』 1975年11月号 三栄書房 232-233ページ
- ↑ 2018年に満60歳を迎えるのは昭和33年(1958年)生まれ
- ↑ 総務省 無線局統計情報 2017年
- ↑ "New FCC Licenses Issued 2005 Through 2009”ARRL 2010
- ↑ "The ARRL Letter 2011”ARRL 2011
- ↑ Recommendation M.1544 Minimum Qualifications For Radio Amateurs ITU
- ↑ 身近な例としては携帯電話がある。携帯電話端末は陸上移動局であるが、携帯電話会社により包括免許され、電波利用料を利用者に代わって収益から支払うため、誰でも使用できる。
- ↑ これは日本国政府の単独裁量で免許できる空中線電力で、短波の移動しない局の場合である。移動する局や超短波以上では、これより低い枠が周波数帯ごとに定められている。
- ↑ 電波監理審議会(第861回)議事要旨 総務省平成14年6月27日公表(国立国会図書館アーカイブ 2009年1月13日収集)
- ↑ “V/U 500W免許”. 7J2YAF/JN2SIP (現JS2HZM). . 2013閲覧.
- ↑ 郵便が受けられるという条件なので、米国内の私書箱や友人などの住所でも構わない。
- ↑ question-pools (ARRL)
- ↑ 上位資格者に限定されているコールサインであれば資格の推定は可能であるが、その逆は困難である。
- ↑ 現行の第二級とは異なるので旧を冠して区別する。
- ↑ 1.215-1.300GHz, 2.300-2.450GHz, 3.300-3.500GHz(Reg.2)/3.300-3.900GHz(Reg.3共用), 5.650-5.850GHz, 10.000-10.500GHz
- ↑ 昭和23年逓信省告示第489号 『官報』号外 第48号(1948年12月20日) 17ページ
国際電気通信条約附属無線通信規則 第42条第3項第1号
「3 (一) 素人局の機器を運用する者は、モールス字号で本文を伝送し、且つ、音響受信ができることを予め証明しなければならない。もっとも、関係主管庁は、もっぱら、一、〇〇〇Mc/sを超える周波数を使用する局の場合には、この条件を適用しないことができる。」 (1949年1月1日発効) - ↑ 昭和25年法律第131号 『官報』号外 第39号(1950年5月2日) 3ページ
電波法 第40条
「第二級アマチュア無線技士 空中線電力百ワット以下で五十メガサイクル以上又は八メガサイクル以下の周波数を使用するアマチュア無線局の無線電話の通信操作及び技術操作」 (1950年5月2日公布、1950年6月1日施行) - ↑ 梶井謙一氏がJARL理事長という肩書きで電波時報(郵政省電波監理局編)1957年(昭和32年)3月号に書いた記事"電波法はいかに改正されるべきか - アマチュアの立場"(26~27ページ)で、RRに違反している旧二級の是正、米国ノービス級にならい電信のみの三級の新設を提案している
「素人局の機器を運用する者は、モールス字号で本文を伝送し、且つ、音響受信ができることを予め証明しなければならない・・・」と規定してあるのに、第2級アマチュア無線技士の試験には電信通信術の試験の規定がない。電波法がこの国際法を無視しているかのごとき感じを与えるのは、いかなる理由に基いてであろうか。これは一日も早く国際法に基き、第2級アマチュア無線技士にも電信通信術の試験をおこない、同時に、行うことが出来る無線設備の操作のなかへ、無線電信の通信操作及び技術操作を加えるべきである。 <中略> 28Mc帯を第2級アマチュア無線技士に解放するのが適当ではあるまいか。 <中略> 第3級アマチュア無線技士の資格を増設して、8Mc以下、50Mc以上の周波数を使用するアマチュア無線局の、無線電信の通信操作及び技術操作をなさしめることを切に要望したい。」 - ↑ 日本アマチュア無線連盟編 『アマチュア無線のあゆみ 日本アマチュア無線連盟50年史』 CQ出版 1976年 361ページ
「ノビス級については、アメリカにならって電信のみでよい、国際的慣習からしてアマチュアにとってモールスは必須な知識であるとする論と、電話だけで入門する方が興味をひき易く容易である、モールスはこれからの通信方式としていささか古すぎる・・・といった論がかなり先鋭に対立しJARL内部で論議されたものであった。」 - ↑ Lloyd Butler、A history of amateur operators certificate and the morse code requirement in Australia、Amateur Radio, Nov.2011, Wireless Institute of Australia
その操作範囲は「空中線電力100W以下、周波数50MHz以上」。電波監視上で判別し易いように、Zから始まる3文字サフィックスのコールサイン(VK#Z**)が指定された。 - ↑ 昭和33年政令第306号 『官報』 第9561号(1958年11月4日) 37ページ
無線従事者操作範囲令 第2条
「電話級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力十ワット以下の無線電話で五十メガサイクル以上又は八千キロサイクル以下の周波数を使用するものの操作」 (1958年11月4日公布、1958年11月5日施行) - ↑ 昭和33年法律第140号 電波法の一部を改正する法律 『官報』 第9407号(1958年5月6日) 75ページ
附則 第2項
「2 この法律の施行の際に、現に次の表の上欄の資格を有している者は、この法律の施行の日に、それぞれこの法律による改正後の電波法の規定による同表の下欄の資格の免許を受けたものとみなす。 <中略> [表上欄] 第二級アマチュア無線技士 - [表下欄] 電話級アマチュア無線技士」 (1958年5月6日公布、1958年11月5日施行) - ↑ 昭和33年郵政省令第28号 『官報』号外 第87号(1958年11月5日) 35ページ
無線従事者国家試験及び免許規則の全部を改定する省令 附則 第12項
「12 旧第二級アマチュア無線技士であって引き続き当該資格を有する者が、この省令の施行の日から五年以内に第二級アマチュア無線技士の資格の国家試験を受ける場合は、予備試験及び学科試験を免除する。」 (1958年11月5日公布、同日施行)
言い換えると、旧二級者に限り電気通信術(欧文45字/分の送受5分間)のみの受験で済んだ。 - ↑ 昭和33年政令第306号 『官報』 第9561号(1958年11月4日) 37ページ
無線従事者捜査範囲令 附則 第2項
「2 改正法附則第二項の規定により電話級アマチュア無線技士の資格を受けたものとみなされた者の行うことができる無線設備の操作の範囲は、この政令の規定にかかわらず、この政令の施行の日から起算して五年間は、なお従前の例による。」 (1958年11月4日公布、1958年11月5日施行) - ↑ 昭和36年逓信省告示第304号 『官報』号外 特第1号(1961年5月1日) 79ページ
国際電気通信条約に附属する無線通信規則 第41条第3項第1号
「3 (一) アマチュア局の機器を運用する者は、モールス字号による本文の正確な手送り送信及び音響受信ができることをあらかじめ証明しなければならない。もっとも、関係主管庁は、もっぱら、一四四Mc/sをこえる周波数を使用する局の場合には、この条件を適用しないことができる。」 (1961年5月1日発効) - ↑ 日本語訳ではアトランティック・シティの時のものと若干の違いがあるが、原文では周波数の数字部分が異なるだけで同じ文
- ↑ 昭和36年政令第55号 『官報』 第10281号(1961年3月30日) 733ページ
無線従事者操作範囲令の一部を改正する政令
「電話級アマチュア無線技士の項中「五十メガサイクル以上又は八千キロサイクル以下」を「二十一メガサイクル以上又は八メガサイクル以下」に改める。」 (1961年3月30日公布、1961年4月10日施行) - ↑ 昭和55年郵政省告示第915号 『官報』号外 第88号(1980年12月26日) 96ページ
国際電気通信条約に付属する無線通信規則 第32条第3項第1号
「3 (一) アマチュア局の機器を操作するための許可を得ようとする者は、モールス符号の信号によって文を正確に手送り送信し、及び聴覚受信することを証明しなければならない。ただし、関係主管庁は、専らもっぱら30MHzを超える周波数を使用する局については、この要件を課すことを要しない。」 (1982年1月1日発効)
1979年のジュネーヴ世界無線通信主管庁会議WARC-79での決議による - ↑ 'Morse Code Requirement For Ham Radio Is Lifted', The New York Times, February 14, 1991
- ↑ アメリカにおけるモールス技能不要のアマチュア資格はこれがはじめてだった
- ↑ 平成16年総務省告示第975号 『官報』号外 第281号(2004年12月20日) 33ページ
国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則 第25条第3項第1号
「3 (一) 主管庁は、アマチュア局を運用するための免許を得ようとする者にモールス信号によって文を送信及び受信する能力を実証すべきかどうか判断する。」 (2005年1月1日発効) - ↑ 平成5年郵政省告示第326号 電波法施行規則第34条の8及び第34条の9の規定に基づく外国において電波法第40条第1項第5号に掲げる資格に相当する資格、当該資格を有する者が行うことのできる無線設備の操作の範囲及び当該資格によりアマチュア局の無線設備の操作を行おうとする場合の条件総務省電波関係法令集(総務省電波利用ホームページ)
- ↑ 広義にはDFCWなどもQRSSの一種であるが、単にQRSSと言った場合はon-off keyingによるものを指すことが多い。
- ↑ EA5HVK Jose Alberto Nieto Rosが考案した狭帯域デジタル通信方式、およびこれを実装するソフトウェア。[1]、2014年5月5日閲覧。
- ↑ CQ出版社編 『DXハンドブック』 CQ出版社 昭和43年
- ↑ 第71条第5号の5
- ↑ CQ出版社編 『ダイナミック・ハムシリーズ3 モービルハム ハンドブック』 CQ出版 昭和55年
- ↑ 西本陸雄著 『フォックスハンティング入門』 山海堂 昭和49年 8-10ページ
- ↑ Sun Spot Number, 太陽黒点指数
- ↑ 『電波伝播ハンドブック』Realize SE, 1999, ISBN 489808012X, p.384
- ↑ 事業法等の施行に伴う自由化の拡大 昭和60年版通信白書第1章第1節5.自営電気通信(2)(総務省情報通信データベース)
- ↑ アパマン・ハム・ハンドブック(CQ出版)など
- ↑ 97.0 97.1 97.2 97.3 非常通信 日本アマチュア無線連盟 「非常災害時にも大活躍してきたアマチュア無線」 東京都総務局災害対策本部防災計画課編 『災害に備える東京:くらしの中の防災』 1992年 東京都総務局災害対策本部防災計画課 18-19ページ
- ↑ 98.0 98.1 中山間地の孤立対策へのアマチュア無線の活用 (PDF) 上野勝利・森 篤史・中野 晋・吉田 敦也(第30回土木学会地震工学研究発表会論文集)
- ↑ 藤井史郎, 渡辺尚 「阪神・淡路大震災における非常通信の機能:JARL兵庫県支部の活動記録より」 『電子情報通信学会総合大会講演論文集』 2004(2) 電子情報通信学会 289-290ページ
- ↑ ブルース・ポッター『802.11セキュリティ』O'Reilly Japan, 2003, ISBN 4873111285 p.25
- ↑ 電磁波障害の実際 野島俊雄 医科器械学 vol.69, No.2, pp.61-66,1999(日本医療機器学会)
- ↑ 無線局運用規則第258条
- ↑ 「電波ばく露による生物学的影響に関する評価試験及び調査」平成18年度 海外基準・規制動向調査報告書 (PDF) 電波の安全性に関する調査及び評価技術(総務省電波利用ホームページ)
- ↑ 平成10年郵政省令第78号による改正時に追加
- ↑ 三浦正悦『電磁界の健康影響 工学的・科学的アプローチの必要性』東京電機大学出版局、2004, ISBN 4501324007 p.236
関連団体
- 国際電気通信連合 (ITU)
- 国際アマチュア無線連合 (IARU)
- 日本アマチュア無線連盟 (JARL)
- 日本アマチュア無線振興協会 (JARD)
- 日本アマチュア無線機器工業会 (JAIA)
- 総務省 - 所轄官庁
関連項目
電波関連
外部リンク
- 日本アマチュア無線連盟(略称:JARL)
- 日本アマチュア無線振興協会 (略称:JARD)
- International Amateur Radio Union IARU