アスワン・ハイ・ダム
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アラビア語: سد أسوان العالي sadd 'aswān al-'ālī, 英語: Aswan High Dam
エジプトのカイロの南方約 400km,既存のアスワン・ダムの上流 7kmの地点に建設されたロックフィル方式のダム。
1952年の革命後,ナイル川の氾濫を防御し,大量の灌漑用水を確保して農耕地をふやし,大規模な電力を起して工業化を進める目的でナセル大統領が建設を計画した。当初は世界銀行,アメリカ,イギリスからの資金・技術援助で建設する予定だったが,56年にアメリカが援助を撤回,これに対しナセルはスエズ運河国有化に踏切って,スエズ動乱 (第2次中東戦争) へと発展した。その後,ソ連からの資金・技術援助により 60年に着工,70年に完成した。これにより約1万 km2の土地への灌漑用水と年間 100億 kWhの電力が利用可能となったが,半面,ダム建設前には洪水により自然に淘汰されていた動植物の生態系に異常がみられるなど,環境への悪影響も起った。また古代遺跡の多くが水没することとなり,エジプト新王国時代のアブシンベル神殿などその一部を保存するための大がかりな移転工事も行われた。