アイオリス
アイオリス(古代ギリシャ語: Αιολίς, Aiolís, 英語:Aeolis)またはアイオリア(古代ギリシャ語: Αιολία, Aiolía, 英語:Aeolia)は、小アジア地方の北北西に位置する地方で、アイオリス人の古代ギリシア都市国家群があった。大部分は海岸沿いで、沖にはレスボス島などの島々もあった。北をミュシア、南をイオニア、東をリディアとそれぞれ国境を接していた。
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地理
アイオリスは小アジア西海岸に位置する古代の地方で、ヘレスポントス海峡(現ダーダネルス海峡)の玄関口から南のヘルムス川(現ゲディズ川 Gediz River)にかけて、エーゲ海沿いに広がっていた。地名は紀元前1000年以前にギリシアから移民してきたアイオリス人に由来する。しかし、アイオリスは地理的な地方というより、むしろ民族学的・言語学的包領で、ミュシアの一部(南部)と見なされることも多い。
歴史
ヘロドトス『歴史』によると(1.149)、紀元前8世紀の時点で、アイオリス人の12の都市国家があり、都市連合(ドデカポリス)を結成していた。各都市は次の通りである。
- キュメ(CymeまたはKymi)別名プリコニス(Phriconis)
- レリサイまたはラリッサ(Larissae)
- ネオン・テイコス(Neonteichos)
- テムノス(Temnus)
- キラ(Cilla)
- ノティオン(Notium)
- アイギロエッサ(Aegiroessa)
- ピタネ(Pitane)
- アイガイアイ(Aigai)
- ミュリナ(Myrina)
- グリュネイア(Gryneia)
- スミルナまたはスミュルナ(Smyrna) - 現イズミル
この中で最も有名な都市はスミルナだが、紀元前699年、スミルナはイオニア同盟に加盟した。残った諸都市はリディア王クロイソス(在位:紀元前560年 - 紀元前546年)に征服された。その後も、ペルシア、マケドニア王国、セレウコス朝、ペルガモンに支配された。
紀元前133年、ペルガモン王アッタロス3世はアイオリスをローマに遺贈し、そのすぐ後、ローマのアシア属州の一部となった。ローマ帝国が分裂した時には(395年)、アイオリスは東ローマ帝国のものとなり、その後、1400年代初期にオスマン帝国に占領された。
アイオリス地方の出身者
伝承
ホメーロスの『オデュッセイア』の中で、オデュッセウスはキュクロープスの国を脱出した後、風の神アイオロスの島に着き、西風ゼピュロスの詰まった袋を渡される(第十歌)。
参考文献
- Pierluigi Bonanno, Aiolis. Storia e archeologia di una regione dell’Asia Minore alla fine del II millennio a.C., USA, 2006