また逢う日まで (尾崎紀世彦の曲)
「また逢う日まで」(またあうひまで)は、尾崎紀世彦の楽曲である。1971年3月5日、ソロ2枚目のシングルとして日本フォノグラム(現:ユニバーサル ミュージック合同会社)より発売。規格品番はFS-1183。
概要
もともとは1969年(昭和44年)、三洋電機(現・パナソニック)のエアコンのCMソングの候補曲として作られたものであった[1]。まず筒美京平が3曲書き下ろし、その中の1曲にやなせたかしが歌詞を付け、槇みちるが歌い完成。しかしこの曲はスポンサー側の方針変更により採用されなかった[2][3]。
筒美の楽曲を管理していた日音の村上司は、この曲を埋もれさせるのは惜しいと考え、「白いサンゴ礁」でヒットを飛ばしていたズー・ニー・ヴーの新曲として採用。曲を「白いサンゴ礁」の作詞者でもある阿久悠に渡した。阿久は「安保闘争で挫折した青年の孤独」をテーマにした歌詞を付け、1970年、「ひとりの悲しみ」というタイトルでリリースされたが、ヒットにはならなかった[2][3][4][5]。
その後、メロディの良さに惹かれていた村上は、「分かりやすい歌詞にして力強い声で歌えば、必ず聴衆の心をつかめる」と考え、尾崎に「ひとりの悲しみ」をテスト録音させる。また、尾崎自身もこの曲を気に入ったことを多くのテレビ番組で言及している。これはヒットすると確信した村上は、歌詞を書き直してくれるよう阿久を説得する。当初渋っていた阿久も度重なる依頼にリメイクを承諾し[6]、尾崎のために改めて「別れ」をテーマにした歌詞に書き換え、タイトルも「また逢う日まで」として1971年にリリースされた[2][7][8][9]。オリコンシングルチャートで1位を獲得、同チャート集計では100万枚に近いセールスを記録した[10]。累計では100万枚を突破している[11]。
同年12月31日、初の第13回日本レコード大賞・大賞と第2回日本歌謡大賞・大賞をダブル受賞する。同日に開催された『第22回NHK紅白歌合戦』に白組トップバッターとして初出場。1990年にも、『第41回NHK紅白歌合戦』で「また逢う日まで」が歌唱されている。
翌1972年、第44回選抜高等学校野球大会入場行進曲、1977年には、バレーボールワールドカップのイメージソングに選ばれた。
2003年、ブルボンから発売の食玩CD『懐メロクッキー(チョコバター味)』の1タイトルとして、ローソンにて期間限定(同年4月22日 - 5月5日)で販売された(1曲のみ収録の8cmCDシングル。CD製造はユニバーサルが担当し、本体の製品番号はBNU-003)[12]。
2005年3月23日、『速報!歌の大辞テン』最終回の歌唱前トークにて、「また逢う日まで」を「未だ(自分は)歌い切れていない」と述べている[13]。
余談だが、1980年代頃から尾崎はフェイクを入れる歌い方をしており、コンサートやテレビ出演時にレコード通り歌うことは晩年近くまではかなり少なかった。
収録曲
- オリジナル盤
- また逢う日まで(2:55)
- 帰郷(3:01)
演奏
収録アルバム
- オリジナル・アルバム
- ベスト・アルバム
- 他多数
リリース日一覧
リリース日 | 規格 | 品番 | 摘要 |
---|---|---|---|
1971年3月5日 | EP | FS-1183 | オリジナル盤 |
1975年 | EP | FX-3008 | コンパクト盤 c/w「さよならをもう一度」「愛する人はひとり」「こころの炎燃やしただけで」 |
1976年 | EP | FX-2019 | c/w「さよならをもう一度」 両A面 |
1979年 | EP | 7PL-1508 | c/w「さよならをもう一度」 両A面 |
1979年 | EP | 6PL-2009 | c/w「ゴッドファーザー・愛のテーマ」 両A面 |
1991年3月25日 | CD | PHDL-1 | 女性コーラス版 c/w「ゴッドファーザー〜愛のテーマ」 両A面 |
1992年11月26日 | CD | PHDL-1008 | c/w「愛する人はひとり」 両A面 |
2010年9月15日 | MP3、AAC | 音楽配信 | 『GOLDEN☆BEST 尾崎紀世彦』 |
2013年9月25日 | CD | MSCL-11661 | オリジナル・レコードのオンデマンドCD復刻 |
バージョン違い
- また逢う日まで(別テイク) 1971年録音、女性コーラス
- 1991年 - シングル(c/w「ゴッドファーザー〜愛のテーマ」両A面)、アルバム『THE BEST 尾崎紀世彦』初回盤のみ収録
- LOVERS & FOOLS(「また逢う日まで」英語版) 英語詞:Norman Simon(演奏:別テイク 3:00)
- また逢う日まで(ライブバージョン)
- 1973年 - アルバム『in person KIEYO/尾崎紀世彦“ライブ”』、2013年 - オリジナル・レコードのオンデマンドCD復刻
- また逢う日まで(ボサノバ・バージョン)
- また逢う日まで(タンゴ・バージョン)
- また逢う日まで(ディスコ・バージョン) Remix
- 2005年 - アルバム『The Original Soundtrack of "La Maison de Himiko"』に収録
メディアでの使用
- 特記なき作品は尾崎歌唱による「また逢う日まで」
- 1971年 - 『尾崎紀世彦ショー ナウ・ナウ』(冠番組、NET系列)オープニング曲(英語版、「LOVERS & FOOLS」とは別歌詞)
- 1972年 - 『第44回選抜高等学校野球大会』入場行進曲
- 1977年 - 『1977年ワールドカップバレーボール』イメージソング
- 1999年 - 『のど自慢』(監督:井筒和幸、映画)劇中歌:大友康平
- 2003年 - 『昭和歌謡大全集』(監督:篠原哲雄、映画)エンディング曲
- 2004年 - 『妻の卒業式』(脚本:田渕久美子、NHK総合ドラマ)主題歌(ボサノバ・バージョン)&挿入歌(別バージョン)
- 2005年 - 『メゾン・ド・ヒミコ』(監督:犬童一心、映画)ダンスシーン挿入歌(Remix)
- 2012年 - 『愛と誠』(監督:三池崇史、映画)劇中歌:安藤サクラ
- 2013年 - 『よその歌 わたしの唄』(脚本:山田太一、フジテレビドラマ)主題歌(オリジナル盤)、劇中歌:鳳蘭、いしだあゆみ
- 他多数
カバー
- また逢う日まで
- 加山雄三(1971年、アルバム『加山雄三イン・ベラミ〜ナイト・クラブの加山雄三』収録)
- 平田隆夫とセルスターズ(1971年、アルバム『愛の12章』収録)
- ザ・ピーナッツ(1971年、8トラに収録 → 1999年、アルバム『ザ・ピーナッツ・カヴァー・ヒッツ〜ナオミの夢〜』に再録)
- 仲雅美(1971年、アルバム『仲雅美とあなた』収録)
- 朱里エイコ(1972年、アルバム『これから始まるなにか〜Passionately S.EIKO』収録)
- 内山田洋とクール・ファイブ(1975年、アルバム『昭和の歌謡50年史』収録)
- 塩見大治郎(1976年、アルバム『ひとふし〜筒美京平メモリアル・アルバム』収録)
- 平尾昌晃&畑中葉子(1978年、アルバム『阿久悠 君の唇に色あせぬ言葉を 1968-1978』収録)
- 天童よしみ(1992年、アルバム『天童節昭和演歌名曲選 第十集』収録)
- 山本健二(1992年、アルバム『白い花の咲く頃』収録)
- JAJAJAH ALL STARS(1994年、アルバム『SINGS JAPANESE SONGS VOL.3』収録)
- トワ・エ・モワ(1999年、アルバム『トワ・エ・モワ メモリアル』収録)
- どんと(2000年、アルバム『一頭象 どんとスーパーベスト』収録)
- ジャッキー吉川とブルー・コメッツ(2000年、アルバム『THE TALES OF BLUE COMETS PAST MASTERS BOX 1965-1972』収録)
- 羽山晃生(2001年、アルバム『マイ・フェイヴァリット(私のお気に入り)』収録)
- 渚ようこ(2001年、アルバム『新宿マドモアゼル 渚ようこリサイタル』収録)
- 朝丘雪路(2002年、アルバム『GOLDEN☆BEST 朝丘雪路 筒美京平を歌う』収録)
- 新垣勉(2002年、アルバム『出逢い〜我が心の歌〜』収録)
- 杉村ルイ(2005年、アルバム『SUMMER OF LOVE』収録)
- 尾関美穂(2006年、シングル)
- 日下優(2006年、アルバム『SHOWA』収録)
- PE'Z(2006年、アルバム『日本のジャズ -SAMURAI SPIRIT-』収録)
- クレイジーケンバンド(2007年、アルバム『筒美京平 トリビュート the popular music』収録)
- アリヤミハル(2007年、アルバム『Heart To Heart』収録)
- 持田浩嗣(2008年、アルバム『We style'71-'75 フォークギターとベルボトム』収録)
- 桑田佳祐(2009年、アルバム『昭和八十三年度!ひとり紅白歌合戦』収録)
- スターダストレビュー(2010年、アカペラカバーアルバム『歌鬼3 〜阿久悠×青春のハーモニー〜』収録)
- 野口五郎(2010年、アルバム『Prize Years,Prize Songs』収録)
- BO GUMBOS(2010年、アルバム『新・人間万葉歌〜阿久悠 作詞集』収録)
- 佐藤重雄(2010年、アルバム『“SAKEYO”イタリア語で歌う日本の名曲の数々…。酒よ〜千の風になって』収録)
- 庄野真代(2011年、アルバム『Reminiscence blue』収録)
- 雪子姫(能登麻美子)&ハルミ(川澄綾子) (2011年、アルバム『Dororonえん魔くん メ〜ラめら 昭和ヒットスタジオ』収録)
- 犬塚彩子(2011年、アルバム『昭和を唄うボッサ』収録)
- 土橋創(2011年、配信シングル)
- 安藤サクラ(2012年、アルバム『「愛と誠」オリジナル・サウンドトラック』収録)
- 氷川きよし(2013年、アルバム『演歌名曲コレクション18 〜しぐれの港〜』収録)
- ソウル・フラワー・ユニオン(2013年、ミニアルバム『踊れ!踊らされる前に』収録)
- 尾藤イサオ(2013年、アルバム『GOLDEN☆BEST 尾藤イサオ』ボーナス・トラックに新録音収録)[17]
- 五木ひろし(2014年、アルバム『五木ひろし芸能生活50周年記念大全集 〜ライブ盤セレクション1〜』[18]収録)
- 渡辺真知子(2014年、アルバム『Amor Jazz2 〜Show-WA〜』収録)
- 松崎しげる(2015年、アルバム『私の歌〜リスペクト〜』収録)
- BEGIN(2015年、アルバム『ビギンのマルシャ ショーラ』収録)
- YUCCO(2015年、配信アルバム『Smile Fitness & Drive Vol.6 Fantastic歌謡曲』収録)
- パク・ジュニョン(2016年、アルバム『さよならは言わせない』収録)
- 鈴木タカオ(2016年、アルバム『COVER ALBUM「うたごころII」〜愛と哀しみのアリア〜』収録)
- タイム・ファイブ(2016年、アルバム『Japanese Standards』収録)
- 山崎育三郎(2017年、アルバム『1936 〜your songs II〜』収録)
関連項目
- 筒美京平(2006年、『THE HIT MAKER -筒美京平の世界-』 - 作曲家活動40周年記念CD-BOXに「また逢う日まで」収録)
- 阿久悠(1996年、『移りゆく時代 唇に詩〜阿久悠大全集〜』 - 自選ベストCD-BOXに「また逢う日まで」含む5曲収録)
- 1971年の音楽
脚注
- ↑ 亀山太一『固定客は一人もいない』日本工業新聞社、1983年、200頁。ISBN 4-8191-0592-2。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 阿久悠『愛すべき名歌たち -私的歌謡曲史-』(岩波書店 1999年7月19日) ISBN 978-4004306252
- ↑ 3.0 3.1 榊ひろと『筒美京平ヒットストーリー 1967‐1998』白夜書房 1998年、66頁。ISBN 4-89-367563-X
- ↑ ズー・ニー・ヴー4枚目のシングル「ひとりの悲しみ」1970年2月1日発売 - 『GOLDEN☆BEST 尾崎紀世彦』ライナーノーツ閲覧
- ↑ ズー・ニー・ヴーがこの曲を歌唱するシーンが、1970年公開の日活製作の映画『野良猫ロック マシン・アニマル』にある。
- ↑ 強烈だった尾崎紀世彦さん「また逢う日まで」歌詞を大幅に変えて大ヒット
- ↑ 7.0 7.1 広島FM『食卓ON楽』「また逢う日まで/尾崎紀世彦」小栗俊雄出演 - 2009年5月8日放送の要約
- ↑ NHK映像ファイル あの人に会いたい 尾崎紀世彦 尾崎自身は「ひとりの悲しみ」をカバーするつもりだった。 - NHK総合テレビ『あの人に会いたい』2012年8月25日放送の要約
- ↑ [1],価格.com
- ↑ 阿久悠『バック・トゥ・70'S 音楽シーンを彩ったヒット曲』 - ORICON STYLE ミュージック 尾崎紀世彦「また逢う日まで」95.6万枚 - 2007年8月8日閲覧
- ↑ 尾崎紀世彦さん死去「また逢う日まで」、日刊スポーツ、2012年6月2日 8:34。
- ↑ パッケージに尾崎紀世彦をあしらったクッキー登場!! - CDJournal ニュース 2003年4月22日閲覧
- ↑ 日本テレビ系列『速報!歌の大辞テン』最終回(2005年3月23日放送)のトリ歌手として歌唱。
- ↑ 榊ひろと『筒美京平ヒットストーリー 1967‐1998』白夜書房 1998年、69頁。ISBN 4-89-367563-X
- ↑ 妻の卒業式 | スタッフから 主題歌「また逢う日まで」について - NHKドラマアーカイブス
- ↑ サントリーホール(2004年3月18-19日)にて客演、4曲歌唱。 - ライブ収録版をRFラジオ日本『ソング・マイ・フレンド』2004年10月15日出演時に放送
- ↑ 尾崎がレコーディングに用いたオリジナル・カラオケ(尾崎を含むザ・ワンダースによるコーラスを省いたもの)を使用している。
- ↑ Disc 3(10年史35曲メドレー)より。
外部リンク
テンプレート:日本歌謡大賞
テンプレート:オリコン週間シングルチャート第1位 1971年
テンプレート:選抜高等学校野球大会入場行進曲
テンプレート:バレーボールワールドカップ イメージソング