いすみ市
いすみ市(いすみし)は、千葉県の房総半島南東部に位置する市。茂原市への通勤率は10.2%(平成22年国勢調査)。
Contents
概要
平成の大合併によって2005年12月5日に夷隅郡夷隅町、大原町、岬町が合併し、千葉県内34番目の市として誕生。千葉県内において名前に平仮名を用いた市町村はいすみ市が初であり、唯一の存在。
地理
千葉県の房総半島東部に位置し、当市内を夷隅川と支流の落合川・桑田川が流れる。穏やかな起伏の丘陵地の谷津には水田が見られる。
北東部には九十九里平野の南端に位置する太東岬があり、ここで九十九里浜は終わる。これより南方は、少しずつ丘陵地になっている。北東部では、稲作と合わせて梨栽培をする兼業農家も見られる。南西部はなだらかな房総丘陵に連なっている。中央部には溜池や河川水を利用した水田が広がる。南部では、特に国道128号沿線から海岸まで丘陵地が続き、磯海岸になっている。
当地域の海底は機械根と呼ばれる日本最大級の岩礁群を有し好漁場となっている。1900年代後半は宝の海とも呼ばれていた。
地下資源としては世界有数のヨウ素があり西部では、天然ガスも含めて日宝化学、合同資源、伊勢化学工業などがかん水から採掘を行っている。
用水は、地下水に乏しく、夷隅川など天水に頼らなければならない。
交通は、半島東部に位置するため、首都圏中央連絡自動車道に接続する長生グリーンラインの市内への延長(茂原・一宮・大原道路)や東京湾アクアラインへのアクセスの改善(国道465号線の改良)が望まれる。平日の日中や土日、祝日、観光シーズンの国道128号線の渋滞は市民生活にも影響を与えるため並行するバイパスや4車線化等の改善が望まれる。 夷隅地区では、茂原駅へのアクセスに運行されるバスの本数、いすみ鉄道の本数に利便性が乏しく、外房線から離れた市の西部では、路線バスの廃線などで、過疎化が進行している。
大原駅から千葉駅までは、普通列車で所要時間65分程度、特急わかしおで蘇我駅までが40分、東京駅まで1時間10分である。
隣接する自治体
現在の住所表記
旧大原町および旧夷隅町は現在、「いすみ市」となるが、旧岬町(みさきまち)は「いすみ市岬町(みさきちょう)」となる。
- 夷隅郡大原町○○ → いすみ市○○
- 夷隅郡夷隅町○○ → いすみ市○○
- 夷隅郡岬町○○ → いすみ市「岬町」○○
歴史
沿革
- 1899年(明治32年)12月13日 - 房総鉄道(現在の外房線)一ノ宮 - 大原間が開業。
- 1912年(大正元年)12月15日 - 千葉県営大原大多喜人車軌道(後の夷隅軌道)開業
- 1930年(昭和5年)4月1日 - 木原線大原 - 大多喜間開業(上総東、国吉、上総中川駅開業)。
- 1950年(昭和25年)11月 - 太東埼灯台が設置。
- 1953年(昭和28年)5月18日 - 国道128号が制定。
- 1988年(昭和63年)3月24日 - JR木原線廃止。いすみ鉄道いすみ線が開業。
- 1993年(平成5年)4月1日 - 国道465号が制定。
- 2005年(平成17年)12月5日 - 夷隅町・大原町・岬町が合併しいすみ市が発足。
行政区域変遷
現いすみ市市域に関連する行政区域変遷
1889年(明治22年) | 4月1日 | 町村制施行により、以下の町村が発足。[1][2][3]
国吉村は町制施行し国吉町となる。
1899年(明治32年) | 12月22日 中魚落村が町制施行・改称し大原町となる。
1900年(明治33年) 7月25日 旭町は改称し長者町となる。
1953年(昭和28年) | 7月1日 長者町と中根村が合併し長者町が発足。
1954年(昭和29年) | 4月29日 国吉町・中川村・千町村が合併し、夷隅町が誕生。
1955年(昭和30年) | 3月31日 大原町・東海村・東村と浪花村の大半(岩和田を除く)・布施村の一部(下布施と上布施の一部)が合併し、大原町が発足。
1961年(昭和36年) | 8月1日 長者町と太東町が合併し岬町が発足。
2005年(平成17年) | 12月5日 夷隅町・大原町・岬町が合併しいすみ市が発足。
- 変遷表
いすみ市市域の変遷表 | ||||||||||
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1868年 以前 |
明治元年 - 明治22年 | 明治22年 4月1日 |
明治22年 - 昭和19年 | 昭和20年 - 昭和64年 | 平成元年 - 現在 | 現在 | ||||
長柄郡 | 椎木村 | 太東村 | 明治30年4月1日 長生郡発足 |
昭和29年12月1日 太東町 |
昭和36年8月1日 岬町' |
平成17年12月5日 いすみ市 |
いすみ市 | |||
和泉村 | ||||||||||
中原村 | ||||||||||
夷隅郡 | 桑田村 | 古沢村 | 古沢村 | |||||||
岩熊村 | 明治10年 岩熊村 | |||||||||
勝間村 | ||||||||||
市野々村 | ||||||||||
谷上村 | ||||||||||
榎沢村 | ||||||||||
長者町 | 旭町 | 明治33年7月25日 長者町に改称 |
昭和28年7月1日 長者町 | |||||||
江場土村 | ||||||||||
三門村 | ||||||||||
井沢村 | ||||||||||
小高村 | 明治12年 東小高村 | |||||||||
部田村 | 明治12年 中滝村 |
中根村 | 中根村 | |||||||
福原村 | 明治4年 東中滝村 | |||||||||
小福原村 | ||||||||||
押日村 | ||||||||||
嘉谷村 | ||||||||||
鴨根村 | ||||||||||
中魚落郷 | 中魚落村 | 明治32年12月22日 大原町に町制改称 |
昭和30年3月31日 大原町 | |||||||
山田村 | 東村 | 東村 | ||||||||
長志村 | ||||||||||
長志郷 | ||||||||||
沢部村 | ||||||||||
佐室村 | ||||||||||
高谷村 | ||||||||||
新田野村 | ||||||||||
下原村 | ||||||||||
細尾村 | ||||||||||
若山村 | 東海村 | 東海村 | ||||||||
新田村 | ||||||||||
深堀村 | ||||||||||
日在村 | ||||||||||
釈迦谷村 | ||||||||||
小池村 | 浪花村 の一部 |
浪花村の一部 | ||||||||
小沢村 | ||||||||||
岩船村 | ||||||||||
下布施村 | 布施村 の一部 |
布施村の一部 | ||||||||
上布施村の一部 | ||||||||||
苅谷村 | 明治7年 苅谷村 |
国吉村 | 明治26年9月22日 町制 |
昭和29年4月29日 夷隅町 | ||||||
小苅谷村 | ||||||||||
弥正村 | ||||||||||
深谷村 | ||||||||||
今関村 | ||||||||||
島村 | ||||||||||
楽町村 | 明治7年 楽町村 | |||||||||
小国吉村 | ||||||||||
万木村 | ||||||||||
国府台村 | ||||||||||
増田村 | 中川村 | 中川村 | ||||||||
行川村 | ||||||||||
引田村 | ||||||||||
大野村 | ||||||||||
札森村 | ||||||||||
柿和田村 | ||||||||||
正立寺村 | ||||||||||
作田村 | ||||||||||
八乙女村 | ||||||||||
松丸村 | 千町村 | 千町村 | ||||||||
荻原村 | ||||||||||
須賀谷村 | ||||||||||
神置村 | ||||||||||
小高村 | ||||||||||
小又井村 | ||||||||||
能実村 |
人口
平成27年国勢調査より前回調査からの人口増減をみると、5.78%減の38,594人であり、増減率は県下54市町村中38位、60行政区域中44位。
いすみ市(に相当する地域)の人口の推移 | |
総務省統計局 国勢調査より |
行政
市長
市役所
- いすみ市役所
- 本庁舎 (旧大原町役場)
- 千葉県いすみ市大原7400-1
- 夷隅庁舎 (旧夷隅町役場)
- 千葉県いすみ市国府台1524-1
- 岬庁舎 (旧岬町役場)
- 千葉県いすみ市岬町長者549
- 本庁舎 (旧大原町役場)
警察
- いすみ警察署(旧大原警察署。いすみ市、御宿町を管轄。)
消防
夷隅郡市広域市町村圏事務組合(いすみ市、勝浦市、大多喜町、御宿町で構成)による広域消防、およびいすみ市消防団。
- 大原消防署
- 夷隅分署
- 岬分署
- いすみ市消防団
その他
- 千葉地方法務局いすみ出張所
- ハローワーク大原(茂原公共職業安定所いすみ支所)
- 夷隅地域整備センター
- 夷隅農林振興センター
- 南部漁港事務所大原支所
- 夷隅環境衛生組合
- いすみクリーンセンター
- 大原クリーンセンター
経済
平地や人口が少ない夷隅郡市北西部や南部に比べ、国道128号線沿線は比較的平地が広く人口も多いので、大型店が出店しやすいためか、当市内の国道128号沿線にはスーパーセンター(ベイシア、せんどう)、ホームセンター(カインズホーム、コメリ)、家電量販店(ケーズデンキ、ヤマダ電機)などが出店し、今日における夷隅郡市の経済の中心地となっている。
産業
- 農業
- 漁業
姉妹・友好都市
旧夷隅町、旧大原町、旧岬町の姉妹・友好都市は、いすみ市に引き継がれる。
国内
- 旧大原町と長野原町との間で交流都市の提携。
海外
教育
小学校
- 大原地区
- いすみ市立大原小学校
- いすみ市立東小学校
- いすみ市立東海小学校
- いすみ市立浪花小学校
- 布施学校組合立布施小学校(所在地は御宿町上布施)
- 夷隅地区
- いすみ市立夷隅小学校
- いすみ市立国吉小学校、いすみ市立千町小学校、いすみ市立中川小学校の夷隅地区3校を統合
- いすみ市立夷隅小学校
- 岬地区
- いすみ市立太東小学校
- いすみ市立長者小学校
- いすみ市立中根小学校
- いすみ市立古沢小学校
中学校
- 大原地区
- 夷隅地区
- いすみ市立国吉中学校
- 岬地区
- いすみ市立岬中学校
高校
特別支援学校
その他
公共施設
文化施設
- 夷隅文化会館
- 大原文化センター
- 岬ふれあい会館文化センター
公民館
- 夷隅公民館(夷隅文化会館内)
- 大原公民館(大原文化センター内)
- 岬公民館
医療機関
交通機関
鉄道路線
路線バス
以前は小湊鐵道・千葉中央バス・都自動車の路線が市内域を運行していたが、現在では純然たる民営の路線バスは市内では運行されていない。
- IsumicityBus.JPG
いすみ市民バス
- IsumiShuttle.JPG
いすみシャトルバス
道路
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
祭事・催事
- 大原はだか祭り
- 万木城まつり(万木城跡公園・毎年5月3日)
- 岬サーフタウンフェスタ
- 増田明美杯いすみ健康マラソン(毎年12月上旬ごろ)
- 港の朝市(大原漁港・毎週日曜日 ほか特別開催日あり)
- いすみ市ふれあいコンサート(岬ふれあい会館・毎年10月中旬。三代目海沼実率いる児童合唱団、「音羽ゆりかご会」ほか地域合唱団によるコンサート)
名所・旧跡
- 万木城跡公園(万喜城、戦国時代の国衆・土岐氏の居城)
- 太東岬(太東埼灯台)
- 八幡岬(小浜城跡)
- 大聖寺不動堂(国指定重要文化財、波切不動の別名で親しまれる海難除けの寺。サクラ、アジサイの名所)
- 岩船地蔵尊
- 発坂峠(万木城主・土岐氏と、安房里見氏・安房正木氏との古戦場)
- 善福寺(曹洞宗)
- 光福寺(波の伊八、向拝彫刻「龍」、「鯉」、「兎」、「唐獅子」)
- 行元寺(波の伊八、欄間彫刻「波と宝珠」)
- 飯縄寺(波の伊八、本堂外陣欄間彫刻「波と飛龍」、「天狗と牛若丸」)
- 長福寺(波の伊八、欄間彫刻「波雲に龍」、「波に麒麟」)
- 清水寺(坂東三十三観音霊場32番札所)
- 大栄寺(日蓮宗)
- 妙泉寺
- 出雲大社上総分院
- 海雄寺(銅像釈迦涅槃像) - 「万木の寝釈迦様」として知られる。
- 鉄造仏頭 - 鎌倉時代中後期作の頭部のみの仏像。
いすみ市旧大原町(城山地区、深堀地区)の文学碑は、山本有三の代表作「真実一路」の一路橋のそばに「真実一路碑」・若山牧水の歌碑 八幡岬に若山牧水・林芙美子の歌碑 椿の里に窪田空穂の歌碑がある。 いすみ市大原の美しい風景や素朴な人情は多くの文人に愛され、昔から訪れた文人達の足跡が町内に散在している。 別荘「鴎荘」をこの地に建てた森鴎外はじめ、若山牧水、井伏鱒ニ、前田夕暮、窪田空穂、斉藤茂吉、竹久夢二、鈴木信太郎、宇佐美灊水、林芙美子など文人・墨客の心をとらえた。
観光スポット
- 八幡岬 - つげ義春が絶賛し、石子順造などを伴い度々来訪、石子も絶賛した。また大原海水浴場とともに、つげ義春の漫画『海辺の叙景』の舞台ともなった。
- 鵜之島
- 千葉県いすみ環境と文化のさと(ホタルの里、トンボの沼など)
- 椿公園
- 童謡の里 - 作曲家・海沼實が滞在した岬町岩熊地区に所在。童謡『里の秋』、『蛙の笛』の歌碑。
- 太東海浜植物群落(国指定天然記念物)
- 海水浴場
- 太東海水浴場
- 大原海水浴場
- 小浜八幡神社
- 木戸泉酒造
- オーハラライデイングパーク
- 大原公園(上記、ダルース市より返還された平和の鐘)
- 麻雀博物館(年1回開催の岬町ふれあい麻雀大会は200名を集める国内最大規模の大会である)
- 椿の里-5000本以上の古い椿が生垣として植えられており、2~3月が見ごろ。
- ポッポの丘-県内に縁のある鉄道車両を中心に屋外展示している。養鶏場の運営であり、新鮮な卵かけごはんが名物。
出身有名人
- 渡辺正行(コント赤信号、旧夷隅町出身)
- 増田明美(元陸上競技選手、陸上競技解説者、旧岬町出身)
- 春日錦孝嘉/竹縄親方(大相撲、旧岬町出身)
- 齋藤圭祐(プロ野球選手、旧大原町出身)
- 内田浩一(競馬騎手、旧大原町出身)
- 森花子(NHKアナウンサー(NHK水戸放送局)、旧岬町出身)
- 森葉子(テレビ朝日アナウンサー、旧岬町出身、森花子の実妹)
- つげ義春(漫画家)幼少期の1年余りを母とともに過ごし、大原周辺をその作品『海辺の叙景』に描いた。その後も、住むことを考え大原を幾度も訪れている。特に八幡岬から見る風景を好んだ。
- 平川浪竜(作曲家、旧大原町出身、『岸壁の母』の作曲者)
関連項目
脚注
外部リンク
- [{{#property:P856}} 公式ウェブサイト]
- 夷隅郡市広域市町村圏事務組合
- 夷隅東部漁業協同組合
- いすみ市観光協会